【REVIEWS】Ice Nine Kills – Every Trick In The Book 〜デカダンさを強めた哀愁のポストハードコア〜
Released: 12/4/2015 – Fearless
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何気に2006年結成と中堅の域に入ってきた彼等が、昨年リリースした前作に続きここは早いペースで4枚目となる新作を発表。その前作「The Predator Becomes the Prey」がFearless傘下であるOuterloopからのリリースである事を考えればさほど驚きもないが、この最新作はFearlessからのリリースとなる。結成年にリリースされた2枚のフルアルバムと3枚のEPが全て自主でのリリースであった彼等にとって、まさに念願の契約後リリースだった前作。初期からのファンにとっても感無量であるとは思うが、その満を持して感も伴い、バンドの人気はここ一、二年で加速度的に上昇中だ。今作は初週7500枚以上を売り上げ、全米Billboard Heatseekersチャートで1位を獲得。作品のタイトルからも分かる通り、著名な文学作品からインスパイアされた楽曲が並ぶコンセプト作となっている。
シアトリカルでシンフォニックなイントロから、アグレッシヴかつパンキッシュに疾走する “The Nature Of The Beast”。よりブルータルに攻め立てる “Communion Of The Cursed”。ゴシックさと刹那のメロディー、ポエトリカルな唄い方が見事に融合した “Bloodbath & Beyond”。美しいメロディーとエモーショナルな展開を併せ持つ “Star-Crossed Enemies” 等、Hopeless所属のSYCAMOURの対抗馬としても充分な内容のシアトリカル作品だ。度重なるメンバー初期と比べればもう別バンドという程にオリジナリティーを増した彼らだけに、ここからさらにシーン全体の中で唯一無二の音楽性を追求できるかが鍵となるだろう。
Ice Nine Kills「Every Trick In The Book」
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テキスト:Yuji Kamada