【REVIEWS】A Loss For Words – Before It Caves
Released: 11/6/2013 – ICE GRILL$ / Rise
“現代エモメロ” を体言し続けるボストン・ポップパンクの雄の3rdフル。個人的に大感動の2011年ベスト作品だった前作 「No Sanctuary」 から約2年、否応なしに高まる期待は決して裏切られることはなかった。AL4Wの真骨頂といえば、疾走するパンクの要素を保ちながらも、他のバンドとの一線を隔すせつなくもあたたかみのあるエモーショナルなメロディー、これに尽きると思う。本作では前作で唯一無二といわんまでに確立されたAL4W節をさらに推し進め “深み” と “味” をもたらす結果となっている。瞬発力のある驚きや爆発力という点においてはやや劣るかもしれない、しかしバンドが成熟し、良い方向に向かって歩き続けていることを証明する、そんなアルバムに仕上がってるのだ。バンドの良いベクトルを示す一因として、仲の良いゲストたちの参加が挙げられる。The Wonder YearsのVo. Soupy Campbellがエモーショナルな楽曲の要所を締める “Conquest Of Mistakes” 、Polar Bear ClubのVo. Jimmy Stadtとの美しいハーモニーがココロの琴線に触れる “No Pioneer” 、Vo. Matty Arsenaultがマネージメントを務めるParisのLynnとの意表をついたデュエットともいえるリード・トラック “Distance” など、話題性にも欠くことのない楽曲群も魅力だ。個人的にはMayday Paradeを髣髴とさせる爽快エモメロの極みともいえそうなラスト・トラック “Siesta Key” の澄み渡るような蒼さも聴き逃すことなく是非味わっていただきたい。
テキスト: 村井 祐樹 a.k.a. Sway