【REVIEWS】The Red Jumpsuit Apparatus – 4 〜 自らを見つめに見つめ直し、辿り着いた境地 〜
Released: 7/4/2014 – Self
The Used、Story Of The Yearに続くスクリーモバンドとして鮮烈なデビューを飾り、そして瞬く間にしてブレイクを果たした彼等。その後PUNKSPRINGを含め二度の来日、レーベル移籍、メンバーチェンジを経ながら根強いファンベースに支えられてきた彼等が、ついにまた動き出した。大きなレーベルを離れ、今作は完全自主制作。さらに何と自分達のHP(http://new.redjumpsuit.com) でフリーダウンロードでの配信リリースとなる。2nd作「Lonely Road 」はHoobastankやSaosin等を手掛けたHoward Benson、前作3rd作「Am I the Enemy」は前述のThe Used、Story Of The Year、ONE OK ROCK等を手掛けたJohn Feldmannをプロデューサーに迎えて制作されていたが、今作はデビュー作「Don’t You Fake It」を手掛けたDavid Bendethを再び招いている。こうしたトピックからもお分かりの通り、原点回帰を掲げ、再びここからまた加速していくのだというバンドの強い気持ちが前面に出た一作だ。
「Don’t You Fake It」の隠しトラックであった “The Grim Goodbye” の続編といえる、9分近い大作 “Grimm 2.0” から幕を開ける本作。その気概は、収録曲にも表れている。そして気持ち良い程に疾走感溢れた “California”、“Who Do You Work For?” 辺りはまさに彼等のデビュー作の路線を彷彿とさせる楽曲に。個人的には完全に原点回帰へ歩み寄るのではと予測していたが、キャッチーな “It Was You” や近未来感溢れたメロディーラインを取り入れた “You’re The Mocking Jav”、“I Know, Right?”。そして前作「Am I the Enemy」的なラウドのニュアンスを持ち合わせた “Ignorance Is Bliss”。さらには直情的なだけでなく表現力を増したバラード “The Right Direction” や “JIMRS (Star)” 等、単なる原点回帰にとどまらない、もがき苦しんだ果てに掴んだバンドの進化もしっかりと刻む事に成功している。前作レコーディング後に脱退してしまったリードギタリストMatt Carterが復帰した事も、バンドの過去と未来を繋ぐ上で重要なファクターであった事は間違いない。
彼等の最隆盛期と比べればスクリーモ/ポストハードコアそのものの定義も大きく変化している昨今のシーンの中で、彼等のこの方向性がどう受け入れられていくのか、そしてリアルタイムで彼等を知る事のなかった若い世代にどう刺さるのか、非常に興味深い作品だ。
テキスト:Yuji Kamada