【REVIEWS】This Century – Biography Of Heartbreak
Released:5/14/2013 – Eighty One Twenty Three / RUDE RECORDS JPN
同じアリゾナ州出身であるThe Maineとも比較されやすかったThis Century。しかし、今作において彼らは大きくその方向性に舵を切った。Alternative Press選出の「知っておくべきバンド100 (100 Bands You Need To Know)」の中で40位を記録した彼らの実力は、そのポップさに磨きがかかり、弾けるエレクトロサウンドを吸収したものとなったのだ。手の込んだプロダクションの技術は、時としてバンドのサウンドを全くダメなものへと作り込んでしまうことがある。しかし今作品に限ってはそれは全くない。余計な技術抜きで、楽曲の持つセンスが素晴らしいのだ。メインストリームを狙える “Bleach Blonde” 、どこまでも突き抜けるような “Tip Toe” 、ファンク調の “My Weakness” などを聴けば、その事実に納得出来るだろう。そして、もうひとつ興味をひかれるもの。それはフロントマンJoel Kanitzの声だ。あのAugustanaのDan Layusを彷彿とさせるその声は、何よりも素晴らしいの一言に尽きる。序盤はやってくる暑い夏の日を彩ってくれるような楽曲が並び、終盤につれて夏の夕方を思わせるような展開となっている。まさに今作「Biography Of Heartbreak」は、今年の名作のひとつと言える。
テキスト: Evan Lucy
翻訳: Ken-Ichiro Arima/有馬健一郎