【REVIEWS】Fall Out Boy – Save Rock And Roll

Released:April 16, 2013 – Decaydance/Island / Universal Music Japan
2009年後半にFall Out Boyが活動を休止して以来、多くの人々が彼らの復帰を待ち望んでいた。2008年リリースの「Folie À Deux」を携えたツアー中、ヴォーカリストのPatrick Stumpはインタビューにて、こう言い残している。“ショーはこれで終わり。僕らはこのままだとただの笑われ者になってしまう。キャリアをここで終えて、身を退きたい”と。その後、Fall Out Boyの再結成への期待を遠ざけるように、彼らは個々の音楽活動に力を入れていったのは周知のことである。
Save Rock And Roll。活動再開を告げるこのアルバムは、期待を裏切らない出来であると言って過言ではない。秘密裏に進められた活動再開の計画と、今作のレコーディングは、彼らの作戦勝ちであったと言える。よりクリエイティヴに、尚かつジャンルの境界線を軽く飛び越えた今作は、挑戦的な雰囲気を醸し出す作品となっている。
それを証明するように、アルバムの冒頭を飾る “The Phoenix” や “My Songs Know What You Did In The Dark (Light ‘Em Up)” は、ジャンルの垣根を越えた楽曲となっている。続く “Alone Together” もそうだ。モダンなポップサウンドとR&Bテイストを掛け合わせた楽曲に仕上がっている。ダンスロックのWhere Did The Party Goは、ディスコサウンドらしいベースラインが唸りをあげて、キャッチーなコーラスがメロディを紡ぐ。ダブステップを取り入れたソウルロックな “Death Valley” も、魅力的な楽曲だ。また “Miss Missing You” は弾けるようなキーボードサウンドが特徴的であるし、アコースティックな楽曲 “Young Volcanoes” は、まるでたき火を囲んで歌い楽しむような雰囲気を連想させる。はかないピアノとイギリス人歌手Foxesのヴォーカルが美しいミドルテンポの “Just One Yesterday” も、圧巻の一言だろう。
StumpとFoxesのヴォーカルの掛け合い具合が素晴らしいように、他のヴォーカルゲストのコーラスも文句の付けようもない。どのゲストも見事に楽曲の素晴らしさを引き出しているのだ。歪んだギターリフに、蛇使いが鳴らすようなグルーヴ、威嚇的に迫るプログラミング、そしてBig Seanが披露するきわどいラップの “The Mighty Fall”。強い主張を感じる歌詞と共に、あのCourtney Loveが登場する “Rat A Tat (“No thesis existed for burning cities down at such a rampant rate/No graphics and no fucking PowerPoint presentation”)” は、聴く者を煽るように迫って来る楽曲だ。パンクロックのようにまくしたてる彼女のヴォーカルに、キャッチーなコーラスワークもこの楽曲を引き立てている。
このようにジャンルの垣根を越えたゲストヴォーカルのフューチャリングは、今作「Save Rock And Roll」のすべての楽曲のコーラスとメロディを、見事なまでに輝かせるものとなっている。その結果、Stumpのヴォーカルも新境地へと達している。今回の彼のヴォーカルスタイルは、今までのFall Out Boyになかった彼の新たな魅力を見いだしているのだ。まるで牧歌のように口ずさむ ”Young Volcanoes” や、がなり立てるように歌う “My Songs Know What You Did In The Dark (Light ‘Em Up)” が、それを証明している。これはプロデューサーであるButch Walkerの働きも大きいだろう。これまでのバンドの魅力を引き継ぎながらも、さりげなく新たな魅力を引き出すことに成功しているのだ。この手法は、以前Butch Walker がPanic! At The Discoのアルバム「Vices & Virtues」で行った彼の得意とするプロデュース術だ。
アップビートな楽曲と共に、奥深い内容の歌詞にも注目して欲しい。冒頭の” The Phoenix” でも読み取れるように、キーワードは“炎”である。このアルバムコンセプトには“バーニング”、つまり不死鳥が灰の中から甦る、激しく燃えるといった意味が込められている。これは、“You’re wearing our vintage misery/No, I think it looked a little better on me” and “The person that you’d take a bullet for is behind the trigger”と歌詞にあるように、伝統を引き継ぎつつ新たな一歩を踏み出せと言うような、現在の音楽シーンへのメッセージが込められていると言ってもいいだろう。そして、作品中の歌詞には、年を重ねるごとに振り返ってしまう若かった頃のこと、裏切られた愛情と過去の幸せな思い出など、誰もが心の中で抱えている、常に相対するような感情が歌詞にはちりばめられている。”Just One Yesterday” では、その感情が顕著に表れている。“I’m here to give you all of my love/So I can watch your face as I take it all away”とあるように、別れた恋人との関係を修復したい気持ちもありつつ、心の何処かで傷つけられたことに対して復讐したいという思いと葛藤しているのだ。”Where Did The Party Go” では、ロックに熱中してライブで汗をかきながら騒いでいた子供たちが成長するにつれて、その純真で無垢な気持ちを忘れていくことについて歌っている。
What A Catch, Donnieを彷彿とさせるアルバムの最後を飾る楽曲は、今作とFall Out Boyを表現する核とも言えるものだ。”Save Rock And Roll” と題されたピアノが美しい穏やかなこの楽曲は、Elton Johnとロンドン交響楽団がフューチャリングされている。この楽曲は、まさにバンドの帰還を告げるものであり、これからの彼らの使命とも言うべき決意表明である。歌詞にある“the voice of a generation”は、まさにバンド自身にも言えることであり、それに続く“You are what you love/Not who loves you/In a world full of the word ‘yes’/I’m here to scream/No”では、誰にも媚びずに我が道を行く様子が読み取れる。さして、楽曲の最後で彼らはこう宣言するのだ。“Oh no, we won’t go/’Cause we don’t know when to quit.”これは、いつまでもこの音楽シーンに一石を投じ続けるという意味であり、バンドの力強い意思が表れている。
アルバム全体を通すと、いくつかの楽曲は他の楽曲の個性の強さのせいで埋もれている印象を受ける。しかし、何度も言うように今作「Save Rock And Roll」は、素晴らしい作品であり、何者も打ち砕けない強さがある。今後バンドがどのような方向性を打ち出しても、誰もが納得出来るはずだ。今までの作品はどれも素晴らしく、尚かつ常に進化を遂げていた。それは、今作も同様だ。そして、まるで活動休止期間などなかったように、バンドが音楽シーンの道を勇ましく切り開いている様子は、アルバムタイトルにあるように、ロックンロールの救世主のようである。
テキスト: Annie Zaleski
翻訳: Ken-Ichiro Arima/有馬健一郎

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