【FEATURES】August Burns Red, Newアルバム「Found In Far Away Places」インタビュー 〜挑戦的なメタルソングをこれからも作っていきたいんだ〜
デビューから10年を迎える今年、デビュー以来ずっと在籍したSolid State RecordsからFearless Recordsに電撃移籍し、2年振り7枚目となるNewアルバム「Found In Far Away Places」をリリースするAugust Burns Red。Billboardチャート初登場9位を記録した前作「Rescue & Restore」から引き続き “ありがちなメタルコアからの脱却” を意識して作られたという本作について、そして移籍先レーベルFearless Recordsや2年振りに参加するWarped Tourのことなど、ギタリストJB Brubakerに語ってもらった。
“挑戦的なメタルソングをこれからも作っていきたいんだ。自分たちにとってのゴールは、ジャンルに囚われず、ルールにも縛られず、流行に流されない音楽を作っていくことなんだよ”
──最初に、インタビューを受けてくれたことに感謝します!バンドの調子はどうですか?
JB Brubaker(以下JB): こちらこそ、ありがとう!俺はちょうど1週間の休暇を取ってプエルトリコから帰ってきたところで、WARPED TOURに向けての準備をしているよ。バンドは、6月30日にはアルバム「Found In Far Away Places」もリリースされるし、この夏のツアーも楽しみにしているよ!
──「Found In Far Away Places」は、今年最もエキサイティングなメタル作品の中の一枚だと思いました。完成させた今の気分はいかがですか?
JB: ありがとう!新作を気に入ってもらえてうれしいよ。アルバムには多くの時間を割いたし、ベストを注ぐためにも自分たちができることは全てやってきた。だから、この新作を完成させたことを誇りに思っているんだ。音楽的に大きな挑戦を成し遂げているから、どの曲も個性があって気持ちがこもっていると思う。みんなに早く聞いてもらいたくてウズウズしるよ!
──「Found In Far Away Places」というアルバムタイトルに込めた意味はなんでしょうか?
JB: タイトルの意味は、一人の人間として、バンドの一員として、そしてAugust Burns Red(以後、ABR)が到達することのできた場所のことなんだ。10年間という決して短くない時間、俺たちは一緒に世界中をツアーして回ってきた。そのことによってお互いにすごく近い関係になれた。良いことも悪いことも含めて様々な経験を経て、いまの俺たちがある。もし、10年間の経験がなかったとしたら“Far Away Places=遠くにある場所”をみつけられなかったと思う。理解してもらえるかな?
──新作は、メタルコアに新たな要素を加えようと試みた2013年の前作「Rescue & Restore」と同じ方向性の挑戦的な作品だと思いました。これは誰かのアイデアですか?
JB: そうだね。前作では意識的にありがちなメタルコアから脱却しようとしていたと思う。正直、おれたちはここ最近のメタルコアが大好きってわけじゃない、プレイすることは大好きだけどね。俺たちは自分自身やファンを満足させるために、ありがちなものじゃなくて挑戦的なメタルソングをこれからも作っていきたいんだ。自分たちにとってのゴールは、流行に流されない音楽を作っていくことなんだよ。他のバンドのことを意識せずに自分たちが作りたい作品を作る、ジャンルに囚われず、ルールにも縛られずにね。もし誰かがウエスタン音楽の要素を自分たちの音楽にとりいれてみたいと思ったら、俺たちはトライしてみる。バンドのためにも、ファンのためにも自分が面白いと思った音楽を作りたいんだ。
──“Identity” ではサーフロックの要素を、また “Majoring In The Minors” はマカロニ・ウエスタンの要素を感じました。これらの試みは今までのABRの楽曲にはなかった大胆な展開ですね!特に“Majoring In The Minors”はとても印象的でアルバムのハイライトだと思いました!
JB: そこまで言ってもらえてうれしいよ。“Majoring In The Minors” は俺個人のお気に入りでもあるんだ。ライブでもプレイできたらいいね!この曲は一般的なメタルのスタイルではないけれど、面白い曲の展開だと思う。おそらくABRのキャラクターともかけ離れたものだしね。でも、俺はそこに挑戦することにすごく興奮を覚えたんだ。この10年間、俺はこういったリスクを恐れないことで音楽への興奮を持続してきているし、これらの斬新なパートはその例だといえるね。
──7月8日に発売される日本盤のボーナストラックに収められている “Majoring in the Minors (Reprise)” は西部劇のテーマソングのようですね(笑)。何からインスパイアされたのでしょうか?
JB: 実は、アルバム制作段階からこの曲のアコースティック・バージョンを作りたいっていう気持ちがあって、ベースのDustin Davidsonとスタジオで時間があるときに作っていたんだけど、完成を目前にして締め切りが来て冬のツアーが始まってしまった。でもリズムギターのパートを録った時点で、すごくいいものになりそうな予感がしていたから、追加で何日か時間をかけて、いろんなバージョンを試したりして完成にこぎつけたんだ。西部劇の映画からの影響を受けたわけではないんだけど、曲の展開部分にウェスタンパートを入れたら曲のイメージに広がりが出るだろうって思ったんだ。
──“Ghosts” ではA Day to Remember のフロントマンJeremy McKinnonが参加していますね。
JB: ヴォーカルのJake Luhrsが、自分以外のヴォーカルが必要なパートがあるとしたらJeremy以外にあり得ないって話していたんだ。ADTRとは一緒にツアーしたりして長い付き合いだしね。JakeがJeremyと仲が良くて、お互いに連絡を取り合ううちに彼がこの曲に参加してもらえることになった。実は、Jeremyに参加してもらうパートは歌詞もメロディも用意できていなかったんだけど、すぐに完成させて素晴らしい仕事をしてくれたよ。彼のようなすごくクリエイティブなミュージシャンと一緒に仕事したことは、忘れられない思い出になったね。
──この作品は、停滞気味のメタルコアシーンに一石を投じる作品になると思います。現在のメタルコアシーンについて何か感じていることはありますか?
JB: ほとんどのメタルコアは退屈でマンネリ状態だね。もちろん、自分はもう20代の若者じゃないから、この手のジャンルのメインターゲットじゃないってこともわかってはいるんだけどね。もちろんABRとしてプレイすることや曲を作ることは大好きだ。もう、それだけで十分なんだよ。全てのメタルコア・バンドを好きになる必要もないし、新しい曲を作るのに、そこから刺激をもらう必要もないって思っているよ。
──今作は、これまでの作品を全てリリースしてきたSolid State Recordsを離れ、Fearless Recordsからのリリースになりました。どういった経緯だったのでしょうか?
JB: Solid State Recordsと何か問題があったってわけでは全然ないんだ。素晴らしいレーベルだと思っているよ。スタッフもいい人ばかりだしね。Solid Stateは、俺たちのキャリアを支えてくれたし、アルバムのサポートもしてくれた。たまたま、契約更新の時期がきて他のレーベルとも話をしてみたいって気持ちになっただけなんだ。思えば、今から10年前の2005年にSolid Stateとサインしたときは、他のどのレーベルも見向きもしなかったし、契約なんて考えていなかった。でも去年はほとんどのレーベルが俺たちとの契約に興味を示してくれたんだ。Solid Stateも新しい条件で契約を結びたいって話があったんだけど、結局Fearless Recordsとサインすることにした。彼らとは素晴らしい話し合いができたし、彼らが提案してくれたアイデアも気に入ったしね。レーベルと契約するってことは、バンドのビジネスの面で新たな血が流れるってことだと思っているんだ。Fearlessはこれまでのやり方とは全く違うマーケティングのアプローチができるレーベルだし、それが自分たちにとって価値のあるものだと感じた。あと、スタッフの人間性も本当に素晴らしいんだ。いまはFearlessと一緒になって前進できることが楽しみだよ!
──Fearless Recordsとの関係はいかがですか?Solid Stateとの違いはどんなところでしょう?
JB: いまのところ関係はアメージングだね!全てにおいて最高の仕事をしてくれている。この短い期間の中で、彼らが俺たちにしてくれたことに感動しているくらいなんだ。FearlessはSolid Stateに比べてレーベルの規模が大きいし、働いているスタッフの数も多い。1つのことにかかわる人数も多いから、アルバムのリリースに関してもとてもスムーズに動く。彼らの計画した新作のマーケティング・プランは素晴らしいよ。
──今年はWarped Tourに2年振りに出演、そして全公演メインステージということですが、どんなパフォーマンスになりそうですか?また、ABRにとってWarped Tourはどんな存在ですか?
JB: WARPED TOURは今年で3回目のメインステージになるね、いまからワクワクしているよ。2か月にわたる長いツアーだし、そこで一緒に回る仲のいいバンドに会ってつるんだりするのも楽しみだ。WARPED TOURは、すごく大きな再会の集いみたいなものなんだ!パフォーマンスに関してだけど、他のバンドと同様にとても短いセットになる。そのなかで最高のものを出すつもりだよ。今、何種類かのセットリストでプレイできるように練習をしている。もちろんこれまでのアルバムの曲をうまく取り入れたものにするよ。
──Jake (Vocal)がBlessthefallのBeauと立ち上げた支援団体『Heartsupport』について教えていただけますか?
JB: Heartsupportは、Jakeが始めた非営利団体で、行き場のない深刻な問題を抱える人や、不安定な精神状態の人たちを救う団体なんだ。暴力や依存症、そのほかの深刻な問題を解決していこうとしているオンライン上のコミュニティで、そういう問題を抱えた人を救って、少しでも人生が健康的に前に進んでいけばいいと思うよ。Jakeやその団体にかかわっている人たちのことを、俺は誇りに思っているよ。
Heartsupport Website http://www.heartsupport.com/
──ABRのメンバーでいるために一番大事なことはなんですか?
JB: 最も大事なことは、エンターテイナーであること!ファンは、わざわざお金を払ってABRのショウを観に来ているんだからね。自分たちは、彼らに最高のショウと曲を届けなくてはいけないって思っているんだ。あと、お互いに良い影響を与え合える存在でありたいって思っているよ。メタルやロック界隈にはゴミみたいなヤツらもいる。でも、俺はポジティブで気持ちが高揚するメッセージを発していきたいし、人々が共感できるようなメッセージを歌いたいんだ。
──WARPED TOUR以降のプランを教えてください。
JB: 秋には多くのライブが予定されているけど、残念なことに、ここではまだ言えないんだ。そのうちに発表できるから待っていてほしい!新作のツアーを世界中でするつもりだよ、もちろん日本でもプレイできたらいいと思っているよ!
──2012年のHOOK THE TRIGGER以降、来日がありません。今作のツアーで日本に来る予定はありますか?
JB: 日本はもちろん視野にいれているし、ずっと戻ってプレイしたい場所なんだ。お気に入りの国だしね。とにかく日本が好きなんだ。
──最後に日本のファンへのメッセージをお願いします!!
JB: ここ数年、日本でプレイできなくて申し訳ない。日本は恋しいし、すぐにでも戻って日本のファンの前でプレイしたいって思っているよ。新作が出たら、是非チェックしてほしいし、俺たちが美しい日本に戻ったときには会いに来てほしいね。サポートしてくれてありがとう!
August Burns Red「Found In Far Away Places」
2015.7.8 In Stores
TRIPLE VISION entertainment
TRVE-0117 / ¥1,800(w/o tax)
Interview / Translation: Osamu Sawada
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