【FEATURES】3年前の今頃はどんな新作を聴いていましたか?そして今もその作品を聴いていますか?
SlipknotのフロントマンCorey Taylorは現在の音楽に対する将来の評価について、以前インタビューでこんな風に語っていました。
「振り返ってみると、アルバムを出して2〜3年経ってから、より評価される気がするな。」
リリースされた時よりも、時間を経て評価される作品は数多くあります。実際にリリースされたときはあまりピンとこなかったものが、時間を経て改めて聴いてみたらものすごく好みの作品だったという経験が皆さんにもあるのではないでしょうか?
自分の好みが変化したり好みの範囲が広がったことで受け入れることができた、または楽しみにしていたアーティストの作品が自分が期待していたものとは違ったために、その当時はあまり聴かずにスルーしていたけど、時間を経て期待値なしのフラットな気持ちで聴いてみたら改めてその良さに気付けたなど、音楽の感じ方が変わることは実はよくあることです。もちろん最初に聴いた時から大好きで、時間をかけて思い入れがさらに強くなるということもあるでしょう。
ということで3年前、2015年の1〜4月にこのシーンでどんな作品がリリースされていたのかを一部ですがここで振り返ってみましょう。当時スルーした作品、当時はまだ知らなかった作品などがあれば、この機会にぜひチェックしてみてください!新たな発見があるかも!?
◆2015年1月リリース作品
Palisades「Mind Games」
Rise Recordsからリリースされたニュージャージー出身ポストハードコアバンドPalisadesの2nd作。アルバムには今やUSを中心に絶大なる人気を誇る新世代ラッパーblackbearもゲスト参加しています。バンドはこの後2017年に3rdアルバム「Palisades」をリリース、ONE OK ROCKのUSツアーにもサポートアクトとして出演しました。
Turnstile「Nonstop Feeling」
Reaper Recordsからリリースされたメリーランド,ボルチモア出身ハードコアバンドTurnstileのデビュー作。バンドはこの年New Found Gloryのツアーサポートにも抜擢され、翌年リリースしたEP「Move Thru Me」がBillboard Heatseekersチャートで14位にランクインするなど大躍進を遂げました。そしてバンドはRoadrunner Recordsと契約し、今年2月に2ndアルバム「Time & Space」をリリースしています。
Enter Shikari「The Mindsweep」
Hostess EntertainmentからリリースされたUK出身ポストハードコアバンドEnter Shikariの4th作。メディアでの評価も軒並み高く、UKのインディペンデント・アルバムチャートでは1位を獲得しました。バンドは昨年9月に5thアルバム「The Spark」をリリースしており、現在Crossfaith主催のイベント「ACROSS THE FUTURE 2018」で来日ツアーを行っています。
Fall Out Boy「American Beauty/American Psycho」
DCD2/IslandからリリースされたFall Out Boyの復帰後2作目となる6thアルバム。ディズニー映画「ベイマックス」のエンディングテーマに起用された楽曲 “Immortals” も収録された本作は、Billboard Top 200チャートで初登場1位を獲得。その後もその勢いは衰えることなく翌年にはセールス100万ユニットを突破し、プラチナディスクを獲得しています。バンドは今年1月に7thアルバム「M A N I A」をリリースし(こちらもBillboard Top 200で初登場1位)、来週からは日本武道館公演を含む来日ツアーを行います。
1月は、Blink-182のTom DeLonge脱退や、Asking AlexandriaのフロントマンDanny Worsnop脱退(2016年10月に復帰)、などもありました。
◆2015年2月リリース作品
Title Fight「Hyperview」
Anti-Recordsからリリースされたペンシルベニア,キングストン出身メロディック・ハードコアバンドTitle Fightの3rdアルバム。前作で見せたオルタナティヴ要素をさらに押し進め、シューゲイザー/インディーロックへと進化したそのサウンドは議論を巻き起こしました。当時このサウンドを受け入れることができなかった初期からのファンも、今聴くとまた違って聞こえるのではないでしょうか?この作品以降もHundredth, Trophy Eyes, Householdなどのメロディック・ハードコアバンドたちがシューゲイザー/オルタナティヴな作品をリリースしており、この流れは今も続いています。
Oceans Ate Alaska「Lost Isles」
Fearless RecordsからリリースされたUK,バーミンガム出身メタルコアバンドOceans Ate Alaskaのデビューアルバム。超絶技巧&カオティックな曲展開、カオスであればあるほどに映えるキャッチーなクリーンパートと、とにかくインパクトの強い楽曲が並んだ本作をすぐに受け入れられなかったという人も少なくなかったのではないでしょうか?でも何度か聴くうちにクセになってしまったという人も少なくないはず。このアルバムリリース後にボーカルのJames Harrisonが脱退、2017年に新たにJake Noakesがボーカルに加わり、バンドは日本の楽器を取り入れた2ndアルバム「Hikari」をリリースしており、今年8月には待望の初来日を果たします。
2月は、The UsedのギタリストQuinn Allmanがバンドを離れ、SaosinのJustin Shekoskiがサポートでバンドに参加することを発表(のちにAllmanは脱退、Shekoskiが正式加入)、UK出身ポップパンクバンドMe vs Heroが解散を発表、などもありました。
◆2015年3月リリース作品
Falling In Reverse「Just Like You」
Epitaph Recordsからリリースされたラスベガス出身ポストハードコアバンドFalling In Reverseの3rdアルバム。クランクやラップ要素を取り入れた前作から、デビュー作を彷彿とさせるサウンドへと原点回帰した本作は、前作よりも好意的に受け入れられBillborad Top 200チャートでも21位に入る健闘を見せました。バンドはその後2017年に4thアルバム「Coming Home」をリリースしています。アジアツアーの一環で今月はじめに来日すると発表していたにも関わらず、しっかりとしたアナウンスもなくアジアツアー自体がキャンセルされたのは残念でしたが、またの機会を願いましょう。
CHON「Grow」
Sumerian Recordsからリリースされたカリフォルニア,サンディエゴ出身プログレッシヴ・インストバンドCHONのデビューアルバム。ジャズ、フュージョン、ヒップホップなどからの影響をロックを通して表現するそのユニークなアプローチ、極上のグルーヴを奏でる確かな演奏力、そしてヘヴィーな猛者たちが揃うレーベルSumerian Recordsという意外なところからのリリースということも相まって、徐々に話題を集めていきました。バンドは昨年6月に2ndアルバム「Homey」をリリースし、朝霧JAMで初来日も果たしています。
We Are Harlot「We Are Harlot」
1月にAsking Aexandriaを脱退したDanny Worsnopが結成した新バンドWe Are HarlotのRoadrunner Recordsからリリースされたデビューアルバム。Asking Alexandriaとは打って変わったド直球ハードロック・サウンドもさることながら、それを歌い上げるWorsnopのボーカル力、表現力に圧倒される作品となっており、「LOUDPARK 15」での初来日でもその実力をみせつけました。WorsnopがAsking Alexandriaに復帰したことで現在バンドの動きは止まっていますが、今年2月に活動再開を匂わせるようなtweetもしており、Newアルバムへの期待も高まります。
Hit The Lights「Summer Bones」
Pure Noise Recordsからリリースされたオハイオ,リマ出身ポップパンクバンドHit The Lightsの4thアルバム。前作でみせたヘヴィーな要素を残しつつも、2ndの頃のような疾走感溢れるキャッチーなポップパンクへと回帰した作品になっており、最後の曲 “Old Friend” にはタイトル通り、昔馴染みである初代ボーカルのColin Rossがゲスト参加するというニクい演出も。バンドは現在Pure Noise Recordsを離れ、自主で新曲をリリースするなど自分たちのペースで活動を続けています。
3月は、Blink-182が脱退したTom Delongeの代わりにAlkaline TrioのMatt Skibaを迎えることを発表、Against The CurrentがFueled By Ramenと契約、などもありました。
◆2015年3月リリース作品
As It Is「Never Happy, Ever After」
Fearless RecordsからリリースされたUK,ブライトン出身ポップパンクバンドAs It Isのデビューアルバム。The Starting LineやNew Found Gloryなど、00年代のDrive-Thru Records黄金時代を彷彿とさせるキャッチーさとエモーションを持ち併せたポップパンクはここ日本でも話題となり、同年9月に行われた初来日公演ではソールドアウトする公演も出るほどの期待と注目を集めました。そして2017年には2ndアルバム「okay.」がリリースされ、その後ギタリストAndy Westheadが脱退しましたが、バンドは現在4人で活動を続けており、今年新作をリリースする予定です。
All Time Low「Future Hearts」
Hopeless Recordsからリリースされたメリーランド,ボルチモア出身ポップパンクバンドAll Time Lowの6thアルバム。プロデューサーにJohn Feldmann、ゲストにBlink-182のMark Hoppus, Good CharlotteのJoel Maddenと、ポップパンクシーンの豪華な顔ぶれも集まった本作は、UKのアルバム・チャートで1位、USのBillboard Top 200チャートでは2位だったものの、実売セールス数ではバンド史上過去最高記録となる初週75,000枚を売り上げる好成績をおさめました。その後バンドはHopeless Recordsを離れ、Fueled By Ramenに移籍。2017年に7thアルバム「Last Young Renegade」をリリースしています。
Sleeping With Sirens「Madness」
Epitaph Records移籍後初のリリースとなったフロリダ,オーランド出身ポストハードコアバンドSleeping With Sirensの4thアルバム。同年2月にリリースされたONE OK ROCKのアルバム「35xxxv」にフロントマンのKellin Quinnがゲスト参加し、ここ日本での注目も高まる中でのリリースとなった本作は、プロデュースとコライティングで参加したJohn Feldmannの影響もあって、これまでのSWSらしいメロディーは残しつつも、ポップロック・サウンドへと大きく舵を切った意欲作となっています。この後バンドはWarner Bros. Recordsに移籍し、2017年にメジャーデビューアルバム「Gossip」をリリースしています。
From First To Last「Dead Trees」
2013年に再結成を発表し、PeripheryのSpencer Soteloをボーカリストに迎えて再始動したフロリダ,タンパ出身ポストハードコアバンドFrom First To Lastの復活作となった、Sumerian Recordsからリリースされた5thアルバム。2017年に2代目ボーカルSonny Moore(a.k.a. Skrillex)が復帰してSoteloはバンドを去ったため、Soteloがボーカルを務めるFrom First To Last作品はこの1枚だけとなったわけですが、Peripheryの時とはまた一味違った彼の圧倒的なボーカルをFrom First To Lastの楽曲で堪能できる貴重な作品としてこれからも語り継がれていくことでしょう。バンドは2017年にMooreがボーカルを務める新曲 “Make War” をリリースしています。またバンドのギタリストMatt GoodはAsking AlexandriaのNewアルバム「Asking Alexandria」でプロデュースを担当するなど、プロデューサー、エンジニアとしても活躍しています。
4月は、Panic! At The Discoから薬物依存の闘病の為にバンドを離れていたドラマーSpencer Smithが正式に脱退を発表、メタルコアバンドTexas In Julyが解散を発表、などがありました。
2015年の5月以降にはBring Me The Horizon「That’s The Spirit」、Blessthefall「To Those Left Behind」、Wage War「Blueprint」、Motion City Soundtrack「Panic Stations」、Neck Deep「Life’s Not Out To Get You」、State Champs「Around The World and Black」など様々な作品がリリースされています。これを機会に遠のいていた過去の作品を聴き直してみてはいかがでしょうか?