【REVIEWS】The 1975 – The 1975
Released: 9/03/2013 – Vagrant/Interscope
イギリスのマンチェスター出身である彼らのデビューアルバム。これまでにリリースされた4枚のEPから “The City” や “Chocolate”、”Sex” といった楽曲を再びレコーディングして収録している。一度聴けば耳に残るそのサウンドは、シンセサイザーの音を支柱にしながら、ギター、ベース、ドラムといったシンプルな構成で成り立っている。リズムが心地よい楽曲 “Chocolate” は、まるでボーイズバンドのサウンドのようにポップで、夏のBGMにも最適だろう。メジャーキーで展開されるメロディーは、どこか80年代のギターサウンドを感じさせ、最近の若手バンドとは明らかに一線を画している。そして、その雰囲気は、General PublicやFun Boy Three、Wang Chungといったニューウェーヴ全盛期のバンド達を彷彿させる。楽曲 “Robber” を聴けば、ジョン・ヒューズが手がけた青春映画のサウンドトラックになりそうだと感じるだろう。また楽曲 “She Way Out” は、イギリス版Gaslight Anthemとも言えるような名曲だ。それらとは対象的に楽曲Menswearは、デジタルな仕上がりになっている。これはまさに彼らがジャンルという枠に囚われることなく、伸び伸びとその音楽性を表現している証拠だろう。
テキスト: Phil Freeman
翻訳: Ken-Ichiro Arima/有馬健一郎