【REVIEWS】Matt Pryor – Wrist Slitter
Released: 11/12/2013 – Rory / & Records
先日新たに生まれたフェスティバル“tieemo”で久しぶりの来日を果たしたTHE GET UP KIDSのフロントマンMatt Pryor。THE GET UP KIDSだけに留まらず、NEW AMSTERDAMS名義やTHE TRIBBLE TWOSとしての活動もしてきた彼だが、昨年のB-side集に続く自身ソロ名義での4作目となる最新作をこの絶好のタイミングでリリース。昨年SAY ANYTHINGのMaxがEqual Vision傘下に立ち上げたRory Recordsからのリリースという事で「おっ、SAVES THE DAYの新作と同じ所からのリリースか〜」なんて思っていたら、しっかり “Before My Tongue Becomes A Sword” でVocalのChrisがゲスト参加しちゃってたり。しかも同曲の冒頭ではBRAIDのBobも参加。プロデューサーは勿論(笑)Ed Roseと、往年のエモ・ファン眉唾の過去最高に豪華な一枚。驚くのは、やや実験的なサウンドであったTHE GET UP KIDSの最新作とは対照的に、こちらは「Guilt Show」の延長であるかのような世界観なのだ。こう書くと嘘くさいが、本当だから驚き。キャッチーで温かく、時にセンチメンタルなメロディー。”Kinda Go To Pieces” や “Won’t Speak To Me”、”Say What You’re Gonna Say” 等の疾走感ある楽曲、フォーキーで牧歌的な “If I Wear A Disguise”。PUNCHLINEのSteveをゲストに迎えた “Words Get In The Way” や、前述した “Before My Tongue Becomes A Sword” ではパワーポップの要素を前面に。そして感傷的なメロディーを持つ “Foolish Kids”。THE GET UP KIDSほどオルタナティヴではないながらも、しっかりとバンド・サウンドなこれらの楽曲達に加え、彼の真骨頂である “As Perfect As We’ll Ever Be” に代表されるアコースティックな楽曲も勿論収録。国内盤はボーナストラック5曲収録の全17曲。非常に多才で多彩な楽曲が詰まっている訳だけど、昔からそう、どんな曲でもMattのこの渋さとイノセンスを混ぜた様な声がいつだって僕等の心の側にある。今作もまた。
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テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ