【FEATURE】The Get Up Kids music festival “tieemo” Day-1 ライヴレポート@11/9 所沢航空公園
最近は“エモい”がギャル用語として使われる程に(笑)、もはや音楽を超越して浸透してきた感のある「emo」。しかしここ数年、音楽的にも90年代に巻き起こったこのムーブメントがリヴァイヴァル中。PENFOLDやJOSHUAを始め、当時のバンドが次々と再結成。MINERALやCHRISTIE FRONT DRIVE等、既に廃盤になっていた名盤のリイシュー。そしてそんなレジェンド達からの影響を如実に鳴らす新世代のバンド達も続々と現れている。
そんな「emo」を掲げ、今年初開催となった新興フェスティヴァル【tieemo】。JIMMY EAT WORLDやPROMISE RING等と共に「emo」をメインストリームへと押し上げた立役者THE GET UP KIDS(以下TGUK)をヘッドライナーに迎えた注目の二日間。しかも初日はデビュー作を中心に、二日目は2ndを中心にしたセットリストという事前情報もあり、これは何が何でも行かねばならぬ!!という事で、今回は初日の模様をTGUKのLiveを中心にレポートっ。
場所は所沢の航空記念公園。野外とは聞いていたが、特設ではなく、しっかりと屋根がある会場。日比谷の野音をコンパクトにして屋根が付いている、といえば分かりやすいでしょかね。とりわけ美味しそうなFOOD店や古着を売っている店等も出店しており、全体的にDIY感ある、良い意味で学園祭的な雰囲気に懐かしくもテンション上がる会場と雰囲気。客層はリアルタイム世代の30代は勿論だったが、若い世代も。小学生以下は入場無料という事で、ベビーカー押しながら家族で来られている方々も。当時のキッズの中には、もう子の親になっている人も沢山いるんだなぁ…といきなりエモい感情になりましたが(笑)。全体的にはFuji Rock Fes.でよく見る服装の方々が多かった印象。
そんなこんなで会場を見渡していたら一発目のグッドモーニングアメリカの登場。今年メジャーデビューも果たし、凄まじい勢いで人気を拡大している彼等。その名はここ数年でといった感があるが、改名前のfor better,for worseから考えたらもう10年以上活動しているのでメンバーもまさにリアルタイム世代なはず。ハイトーンでオーディエンスを煽りまくるベースのたなしん氏がTGUKの2ndのジャケに描かれているロボットの着ぐるみを着て登場する(笑)という粋な演出も含めて、熱いパフォーマンスでまだ様子見感のあったオーディエンスをグイグイ引っ張っていた。今回のフェスのトップバッターに相応しい素晴らしい幕開け。
続いては過去には同会場で自身の企画をやっているLAST ALLIANCE。今回のメンツの中では若干ハードなサウンドのバンドだが、彼等もまた「emo」の影響下にある事が良く分かるフレーズを要所要所に入れている。この日はTGUKにちなんで1stと2ndの楽曲からというレアなセットリストとなっており、当時からのファンも大盛り上がり。
そしてこの日の国内組の中で、密かに楽しみにしていたPredawnの登場なのだが、これがまた素晴らしかった。この日唯一のソロアーティストであり、二日間通して唯一の女性シンガー。アコギ一本で爪弾かれる世界観は、カントリーやフォーク、童謡からインディーロックまでを感じさせる。アルペジオからストロークまで、要所要所OWEN辺りを感じさせる温かなエモーションを放つサウンド。そしてイノセンス溢れた彼女の唄声を野外で聴けるのは至極以外の何物でもなく。彼女を初めて聴くオーディエンスも多かったと思うが、Liveが進むにつれてどんどんとオーディエンスがステージの前に集まって行く光景も印象的だった。僭越ながら、このブッキングは本当にセンスありまくり。
ダンサブルなサウンドで会場を再び熱くさせたavengers in sci-fiをはさみ、トリ前に現れたのはHUSKING BEE。これまでもTGUKの来日サポートや、TGUKの名盤リリース元である米Dog Houseからの作品のリリース。平林氏がFINE LINESとしてTGUKトリビュート参加、フロントマン磯部氏のソロ名義でのTGUKのVocalであるMattとのSplit作リリース等々、日本で最もTGUKと縁のあるミュージシャンとしても認知されている御大の登場に早くもステージ前に多くの人だかり。リハでは “Holiday” を演奏していきなり大盛り上がりとなったが、本編も彼等の1stと2ndからのセットリストというレアっぷり。初っ端から “8.6” が演奏され、会場は鬼盛り上がり。その後も初期の楽曲オンパレードでステージ前はお祭り状態となっていた。普通に客席にいたテッキン氏とステージからのニンマリとするやり取りをはさみ、「THE GET UP KIDSに、そして皆さんに送ります」とラストに鳴らされたのは “Walk”。涙腺緩むに決まってる。
そしていよいよ大トリTGUKの登場!リハから会場のボルテージは高まる一方だったが、一曲目 “Coming Clean” のイントロがなった瞬間大爆発!!もうね、いきなりみんな泣きながら唄ってたでしょ、絶対。続く “Don’t Hate Me” でも大合唱大会は止まず。若い世代の間ではTHE WONDER YEARSなんだろうけど、おっさん達はTGUKだろ!(笑)ってなりそうな名曲 “Washington Square Park” や “Stay Gold, Ponyboy” 等の疾走曲から、ミッドテンポの “Fall Semester” や “Lowercase West Thomas” が音源と違う印象に聴こえるのは、オリジナルがリリースされた1997年から15年以上経ったバンドの進化の証なんだろな。しかし90年代特有の初期emo感は “Last Place You Look” 等の間奏のアルペジオからシトシトと滲み出る。あの頃の初期衝動にも似た想いと、表現しようの無い、得体の知れぬ自分の中にある「何か」を音にしてくれてたんだよなぁ。
と、個人的に最も思い入れのある “Better Half” を聴きながら涙して、“No Love” や “Shorty” では笑顔でシンガロングしまくって。そう、デビュー作「Four Minute Mile」中心でといわれていたセットリストはその作品の曲順に鳴り響く。Mattのさらにボリューミーになった体型には驚いたけど(笑)、その風貌からは信じられないあの「蒼い」と呼ぶに相応しい、音源で何回も何回も聴いた声がそこにあった。ジャケットの通り駆け抜けた全11曲を、この日会場にいた皆が様々な思い出と重ねて噛み締めていた事だろう。
アンコールはカバー集「Eudora」にも収録されていたTHE CUREのカバー “Close To Me” からスタート。そして続くは個人的に大好きな “The One You Want”!トドメには何と2nd「Something To Write Home About」から “Action & Action” が!!そしてダメ押しには同作から “Ten Minutes” まで!!!この日しか来れないけど明日も行きたかったな…って方もきっと大喜びだったであろう最高の選曲に、サビは当然大シンガロング大会で終了。ってか、ほとんどの人が最初から全曲熱唱してたと思うけど(笑)。
帰りにベビーカー押しながら声ガラガラにして笑顔で奥さんと話してた永遠のキッズ達の多幸な表情がこの日を物語っていた。明日も楽しみだ。
セットリスト
Coming Clean
Don’t Hate Me
Fall Semester
Stay Gold, Ponyboy
Lowercase West Thomas
Washington Square Park
Last Place You Look
Better Half
No Love
Shorty
Michele With One “L”
Close to me(The Cure cover)
The One You Want
Action & Action
Ten Minute
“tieemo” 2日目、11/10のライヴレポートはこちら
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
写真:Nobuya Fukawa
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