【FEATURE】The Get Up Kids music festival “tieemo” Day-2 ライヴレポート@11/10 所沢航空公園
素晴らしいアクト達によるプレミアムなパフォーマンス、そしてTHE GET UP KIDS(以下TGUK)の1stアルバム「Four Minute Mile」完全再現というオーディエンス狂喜乱舞のセットリスト。初開催にも関わらず、見に来た人々の心に温かさを深く灯した初日に続く【tieemo】二日目。同じく所沢航空記念公園での開催だったが、空模様は前日に続き曇り。夕方には雨の予報。さらにエモーショナルな一日になりそうだなぁ、なんて思いながら前日よりもさらに厚着して会場へ。
会場は午前中から初日以上に人も多く、より会場の雰囲気はフェス感が。トップバッターはCINEMA STAFF。最新作からのタイトル曲であり、新たなるアンセム「望郷」から雄大かつエモーショナルなスケール感で幕開け。話題となった「進撃の巨人」のテーマ曲となった疾走感溢れる “great escape” 等、静と動を巧みに使い分けたセットリストでオーディエンスの耳と目を釘付けていた。
二番手は今回の【tieemo】主催者の一人、ex.let your spirit soarの大橋氏が率いるChoir touched teras chordの登場。このバンドとしての活動はそこまで長くはないものの、錚々たるバンドのメンバーが所属しているだけに、そのアンサンブルは鉄板。トリプルギター、テクニカルなベース、叩き方含めて独特の世界観を持つドラム。その全てを、零れ落ちる様なギリギリのラインで鳴らすテクニックは至極の一言だった。新作収録のCarpentersのカバー “Yesterday Once More” も野外で聴くとその良さ120%に。
続くは前日のPredawnと同じく、アコギ一本で登場した武居 創。作られた感皆無、極めて自然体の雰囲気で鳴らされるアコースティックの音色と武居氏の声。その声の力はOCEANLANE時代から絶対的な説得力を持っていたが、こうした音数の少ない中で聴こえる声は、より存在感を増していた。OCEANLANEの名曲も奏でられた事もプレミアムだったが、制作中であるソロ作や新バンドの存在等も語られ、今後の活動も俄然楽しみだ。
メンバーがステージに現れると同時に、彼等を見に来たと思われるファンが多数ステージ前に押し寄せたのはBIGMAMA。彼等もまた最近のLiveではあまり演奏されないという「the cookies crumbles」から始まり大盛り上がり。ラストの新曲 “alongside” まで新旧織り交ぜたセットが披露されている間に、武居氏のパフォーマンス中から徐々に雲から日の光が刺してきていた空は、彼等のパフォーマンス中に完全に青を取り戻す。加えて風が吹く度に色づいた葉が会場を舞うという、素晴らしいシチュエーションも相まって彼等の持つ清涼感が際立った印象的な良いステージとなった。
この日のトリ前はthe band apart。今年リリースされた新作に合わせたTour真っ最中だったバンドだが、彼等もこの日は “FUEL” や “Eric W” 等、初期代表曲をバッチリ決めてくるセットリストに往年のファンも大熱狂。ギターロック、ポストロック、ソウルやファンク…etc。凄まじい数の引き出しを落とし込んだ楽曲の数々を、最早ジャムやフュージョンのバンド達と遜色ない圧巻の演奏力で鳴らす、これまでのキャリアを総括したかの如き最上級のパフォーマンスであった。
そして前日に続き大トリTGUK。2nd「Something To Write Home About」中心のセットリストという事前情報、そして前日は1st作完全再現Liveであった事を考えるとこの日の一曲目はまさか…そう、この日会場にいた皆が待ち望んだ“日曜日という休日に聴く “Holiday”!!会場はいきなり昨日の沸点を遥かに超える凄まじい盛り上がりと大合唱となり、その合唱に加わりながら思わず目頭が熱くなる。人人人、こんなにこの会場に人いたのかっていう程、続々とステージ前にオーディエンスが集まって行く。そのまま二曲目は昨日のアンコールでも演奏された “Action & Action” から “Valentine” へ。ミッドテンポな楽曲は再び雲の広がってきた夕暮れによく似合う。この頭三曲で、この日もまた作品を曲順にやるんだと察知したオーディエンスは、イントロが鳴る度に思い思いに自分達の当時の記憶と共にそのステージから鳴らされる音を楽しんでいる。
周りを見渡してみると、手を上げてひたすら盛り上がる人。ステージから聴こえるMattの声をステージへ唄って返す人。日が落ちた空を見上げて目を閉じながら彼等の演奏に身体を揺らす人。隣の友人や恋人と微笑み合ってる人。その誰もが表情に多幸の笑みを浮かべていた。神曲 “Red Letter Day” をはさみ、「一緒に唄って」と秋を色付ける “Out of Reach”。さすがに10周年を記念してリリースされたリイシューに収録された2曲、“Forgive and Forget” とTHE ANNIVERSARYとのSplitに収録の “Central Standard Time” は演奏されなかったがオリジナル作収録分は全てアルバム順に。さらにはアンコールが凄すぎっす…(泣)。
後で知ったのだが、元々アンコールは初期ep「Get Up Kids」や「Red Letter Day」epに収録されたレア曲 “Woodson”、Onsaもカバーしていた名曲 “Mass Pike”、そして “Don’t Hate Me” と初日と同じ3曲の予定。…しかし!この日結局演奏されたのは、当初の持ち演奏時間を大きく超えて(笑)結局10曲も!!“Washington Square Park”、“Stay Gold, Ponyboy”、“Lowercase West Thomas” 等1stからの楽曲と前日も演奏されたTHE CUREのカバー “Close To Me” とあまり演奏されないと噂の4th「Guilt Show」から “The One You Want” 再び!!個人的にはもう一回聴けると思ってなかったから嬉しかったなぁ。
もう最後までお祭り状態で繰り広げられた大奮発のセットリストとなったが、決して単なる懐古Liveではなかった。バンドの安定感やアレンジの仕方をはじめ、その先、その未来が見えるカラフルなアンサンブル。そしてアンコールの選曲まで含めて素晴らしいバランスの、近年稀にみる大満足のセットリストであった。
若い世代のオーディエンスがTGUKを始めとした90年代エモのリアルタイム世代のバンドをみて何を感じたか。逆にリアルタイム世代のオーディエンスが、先駆者達に影響を受けながら自分達の音を鳴らす新世代のバンドをみて何を感じたか。日本のバンドを見に来た層もTGUKを見に来た層も、「emo」というキーワードのもとに様々な世代、様々な国の音楽を好きなリスナーをクロスオーバーさせたこの【tieemo】というフェスがもたらしたモノはとてつもなく大きい。
演奏が終わり、客電が付いても止まないTGUKコール、会場全体から沸き上がる皆の声がそれを物語っていた。
セットリスト
Holiday
Action & Action
Valentine
Red Letter Day
Out of Reach
Ten Minutes
The Company Dime
My Apology
I’m A Loner Dottie, A Rebel
Long Goodnight
Close To Home
I’ll Catch You
Washington Square Park
Woodson
Last Place You Look
Lowercase West Thomas
Stay Gold, Ponyboy
Shorty
Close To Me
The One You Want
Mass Pike
Don’t Hate Me
“tieemo” 初日、11/9のライヴレポートはこちら
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
写真:Nobuya Fukawa
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