【FEATURE】Crossfaith APOCALYZE WORLD TOUR 2013 FINAL SERIESライヴレポート@12/8 O-EAST
堂々たる凱旋帰国だ。2ndアルバム「The Dream, The Space」がTragic Heroからの全米リリースされた事を皮切りに、中国やシンガポールを回ったAsiaツアー、UKツアー、世界50カ国以上でリリースされた「ZION EP」の発表、EUROツアー、WARPED TOUR UKへの出演。さらに今年2013年に入っても、その勢いはさらに加速し、オーストラリア最大のフェス【SOUNDWAVE FESTIVAL 2013】に日本のバンド初となる参加(しかもメインステージ)。そして最新作「APOCALYZE」を遂にワールドワイドでリリースという快挙を成し遂げ、全米ツアーやBRING ME THE HORIZONとの全英ツアー…etc、日本発のバンドとしても書ききれないほど多くの偉業を成し遂げたモンスターが遂に帰ってきた。
その凱旋ツアーのFinalとなったO-EAST公演。彼等の歩みを見てきた方なら順当にステップアップしたキャパシティーの会場だとは思うだろうが、前述した通り世界各国で大暴れした後だ、会場のチケットは即完の満員御礼。こんなに混んでいるO-EASTに入ったのは何年振りだろうか。
この日、本来のアナウンスであればcoldrainの他に、CROSSFAITHがUKツアーで知り合い招聘したWHILE SHE SLEEPSがこのJapanツアーに帯同する予定だったが、直前でLawrence Taylor(Vo.)の喉に悪性ポリープが見つかった為にキャンセルとなった。キャンセルとなってしまった事は残念だったが、残念だったのはCROSSFAITHのメンバーは勿論、何よりWHILE SHE SLEEPSのメンバーだったであろう。必ずや万全の体調で戻ってくるはずなので、それまではじっくりと回復させて欲しいと心から願う。
定刻18:00になった瞬間客電が落ち、coldrainのパフォーマンスが始まる。この日は2ndフル作「The Enemy Inside」(2011年作)収録のリード曲 “To Be Alive” からのスタート。疾走感とアグレッションに満ちたサウンドから続くは2nd ep「Through Clarity」(2012年作)のパイロット曲 “No Escape” へ。音源以上にソリッドで分厚いモダンオルタナティヴなサウンドに、既に会場は大爆発だ。そしてここで最新作「The Revelation」(2013年作)から “Behind The Curtain” を披露。元々洋楽からの影響も多分に持ち合わせたラウドなサウンドを武器にしてきた彼等だったが、この最新作での進化っぷりは目を見張るレベルだった。単純なLOUD感やモダンヘヴィネス/スクリーモとは訳が違う、その要素を全て消化しながらも、完全に彼等にしか生み出す事の出来ないハイブリッドかつニュータイプなサウンド。その後も “Six Feet Under” や会場がシンガロングで包まれる “The War Is On”、メタリックなリフと深遠なパートが交錯する “Voiceless” と続く。そして、この日のセットリストの中では最古の楽曲である1st ep「Nothing lasts forever」(2010年作)収録の “Die Tomorrow”。改めて音源発表時から現在に至るまでの彼等の進化が一番分かりやすい形で聴けた事に、個人的にも懐かしく震えた。1stフル作「Final Destination」(2009年作)からの楽曲は演らなかったものの、ラストは再び最新作から “The Revelation” で圧巻のパフォーマンスを叩き付けた。
この日誘って貰ったCROSSFAITHへ感謝の意を伝えた後、「俺等は彼等(CROSSFAITH)の先輩だった訳だけど、来年海外に行ったCROSSFAITHの後輩になろうと思います。」と、海外進出を匂わせるMasato氏のMCに悲鳴にも似た歓喜の声が響き渡っていた。それを踏まえてみても、世界に充分に通用するパフォーマンスとサウンドであった事は言うまでもないだろう。来年以降の彼等の動きは超注目だ。
coldrainの熱演でヒートアップしたステージが終わり、転換タイムになった訳だが、ここから既にCROSSFAITHの世界は構築され始めていた。ステージに幕が落ちたのだが、それだけで会場は歓声に包まれた。無理もない。その幕の後ろには世界中を練り歩き、圧倒的なパワーを手に入れた日本が誇る最強のモンスターが控えている。大きな飢餓感に煽られ、客席からは待ちきれないオーディエンスが大きな声を張り上げ、彼等の登場を待ちわびる。そんなオーディエンスが一人、また一人と増えていく中アナウンスが。ダンサブルな打ち込みのSEと、落ちた幕にデジタライズされた視覚エフェクトが浮かび上がる。The Chemical Brothers, Metallica, Mogwai, DigitalismなどのVJや、BBCやワールドカップの映像を制作する等で世界的に著名なJonny TVが手掛けたという最先鋭映像での煽り方も、完全にワールドクラス。SEのビートに合わせ生ドラムの音が被さる。続いてベース、ギター、マイクチェック。こうやってサウンドチェックをしながら、自分達の世界の入り口作りも兼ねてしまうバンドを僕は知らない。自分達の世界観に、作品の世界観に対しての信念やこだわり、プロとしての信念が既に圧倒的だ。
そして焦燥感と飢餓感を煽るSEがオリエンタルなメロディーを持ったdubstepに転調し、速度を上げるBPMと会場の鼓動がリンクした瞬間、同タイミングでスクリーンにメンバー1人1人の顔が順々に映し出され、そして…幕は切っておとされた。
このツアーの為に用意されたスペシャルなPreludeから、最新作と同じく “We Are The Future” からスタート。ヘヴィなサウンドの上を、抑えきれぬ衝動をさらに高ぶらせるシンセ/エレクトロがのたうちまわる最新型LOUDミュージックに、会場は早くもモッシュピットの嵐!会場はどんどん空気が薄くなる。新作の曲順通り、メロデス直系のスラッシーなイントロとミッドテンポで爆進するタイトルを冠した “Hounds Of The Apocalypse” が続く。Hiroki氏のベース音を軸にした、腹に響く所か胸にダイレクトにぶち込まれる重低音から、最後にはダンサブルなパートも待っているプログレッシヴっぷり。サザンロック然としたオーセンティックなリフと疾走感から強烈なブレイクダウンするパートにオーディエンスも拳を突き上げ、振り回しまくる「ZION EP」収録の “Jägerbomb”。そして全米デビュー作となった「The Dream The Space」収録の “Snake Code (Carribean Death Roulette)” と、世界に叩き付けてきたこれまでの作品の代表曲に思わず目頭が熱くなる。ファンの身体に染み付いたシンガロングパートも完璧だ。
「遂に帰って来たぞ!」と正式な凱旋帰国宣言を放った後、再び最新作から “Countdown To Hell”。ハードコア/メタルコアが持つアグレッションが炸裂するサウンドとラストの強烈なブレイクダウンに、本来そんなスペースもないはずの会場にピットが広がり、再びモッシュの嵐、壮絶なWall Of Death…まさにタイトル通りの地獄絵図が巻き起こる。大爆発した楽曲の後に続いて “Counting Stars”。イントロからこんな会場中に響く手拍子は聞いた事無い。スペーシーなエフェクト、音源通り女性Vocalもサンプリングされており、楽曲後半に向けてのコーラスワークや叙情的なリフを含め、壮大な展開をしていく楽曲。ほぼスクリームだけでありながら、こういうアプローチをする事で起伏を付ける事が出来るのかと個人的にも驚いた楽曲だったが、それを「Liveだから」という理由でカットせずにしっかりと音源以上に再現するバンドの実力は見事としか言いようが無い。そして続くは問答無用の大合唱カバー曲 “Omen”。もはや本家Prodigy以上に彼等Versionを耳にする事の方が多くなった感じがする昨今。会場は一気にダンスフロアと化していく。「Tシャツ、ジャケット、脱げるものはみんな脱いじまえ!」というKoei氏のMCにさらなる熱気が会場を包んでいく。そんな狂気と熱が支配する会場を、少しクールダウンさせる冷気を帯びたイントロから始まりながら、熱いスクリームでさらなる炎を灯す “Scarlett”。80’sの雰囲気を持ったエレクトロと最先端dubstepを纏ったブレイクダウンの融合は彼等かENTER SHIKARIくらいからしか聴いた事の無い前衛的な楽曲だ。そして早くも本編ラストとなる “Burning White” へ。会場全体が再び一体となるシリアスかつ壮絶なコーラス、そしてラウドながら近未来感をなぞるしなやかなエフェクト、Kazuki氏のツインリードの様に響くドラマティックなギターソロ。本当にどの曲も多彩なアプローチを持ちながら、CROSSFAITHの世界でしかない事を改めて感じさせられる。
アンコールは世界中のドラマーからも絶賛される、Tatsu氏のドラム・ソロからスタート。CROSSFAITHにとどまらず、先輩アーティストのサポートでも大活躍する若手最強ドラマーによる圧巻のドラミングに、会場全体も揺れる揺れる。ドラムソロにエレクトロサウンドが被さっていく。胸を掻きむしられる様なフレーズの打ち込み、退廃的な世界の終焉を思わせるメロディーライン。そう、残りのメンバーが登場し、そのままフルバンドサウンドの “Monolith” へと展開していく。もう一人のフロントマンとして、スクリームしながらオーディエンスを煽るTeru氏。躍動する渾然一体のバンドサウンド、タイトなアンサンブルはアンコールに入っても全くブレない。
そしてまだまだ聴き足りない、踊り足りない、暴れ足りないと言わんばかりに止まないオーディエンスに叩き付けられたのが “Eclipse”!縦と横に進化を続けるバンドの勢いが最も濃縮された最新作のリード曲はまさにこの日のハイライト。LOUDミュージックとDANCEミュージックがこういう形で交わったのは、音楽シーンに置いても金字塔だと言いようの無いほど新機軸だ。会場にいた全員が唄いながら踊っていたのではないか、と言わんばかりのシンガロングと熱狂っぷり。そして一旦オーディエンス全員を座らせる。ファンの皆はもうお分かり、続くはバンド史上最もブルータルな楽曲の一つであろう “Leviathan” だ。荘厳で様式美すら感じるリフから跳ねるリズムで一斉にジャンプさせると同時に、雪崩落ちる様に疾走する楽曲。そんなブルータル・サウンドにこの日最高のサークルピットとジャンプでオーディエンスも応える。海外に影響を受けながら、染まりすぎる事無く、日本だけが持つ圧倒的情感と刹那のメロディーラインは叙情を超越する展開を持つ同曲。散り、舞い上がる雪の様な演出含め、これ以上オーラスに相応しい楽曲で終演を迎えた。
「2013年12/8時点で俺等が鳴らせる最高のサウンド。でも色々な経験があったからこそで、簡単に鳴らせる音ではない。」とKoie氏が放った言葉。そう、ヒョイヒョイと順風満帆にステップアップしてきた様に周りからは見えるかもしれないが、ここに至るまでに多くの苦心、葛藤、そして努力を踏まえた賜物なのだ。奇をてらった訳でもない。無駄におごり高ぶる事も無い。広い広い海外の中で生活し、様々なアーティストと共演し、無駄な贅肉を微塵も残さずにビルド・アップしたサウンドを手に入れた彼等。「自分の人生の中でも今日はハイライトの一つでになるだろう。」とも語りながら、「通過点の一つ。」とも語っていた彼等の眼には、現状に満足する事無く、まだまだ遠く、そして高いものが映っている。そう思わさざるを得ないほど説得力に満ちた一夜であった。
来年2014年はEURO圏で最も権威あるメディアが主催する【Kerrang Tour】や、イギリス最強のメタル・フェスティバル【Download Festival】への参加が決まっている。また来年日本に帰ってくる頃には、世界最強のモンスターとして進化しているかもしれない彼等に、期待は募るばかりだ。
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テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
写真: Nobuya Fukawa
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