【FEATURE】着々とシーンに押し寄せる「シアトリカル」の波

【シアトリカル】
―― 演劇的であるさま。劇場風の。
2013年から海外の音楽系webサイト等でもジワジワとその形容詞を見る事が多くなってきた。元々QUEENを始めとしたレジェンド達も「ロック・オペラ」なんて形容されたLiveを多く行ってきたわけだが、それと極めて近しいながら、よりそこに本格的な世界観や音を入れ込んだバンド達が徐々に出てきた。2014年はまた、そんなサウンドを持ったバンドや、そんなサウンドを取り入れたバンドが出てくる気配がプンプンするので、少しまとめておきます。
そもそもこのパンクやエモのシーンにおいて、その音をこの【シアトリカル】という言葉で表現されたのを初めて見たのは2005年。Panic! At The Discoのデビュー作「A Fever You Can’t Sweat Out」のリリース時。その前年にリリースされたThe Usedの2nd作「In Love And Death」収録の “Lunacy Fringe” という楽曲を引き合いに出され、そのシアトリカルという言葉で形容されていた記憶がある。後にThe Usedは一時期、自分達がスクリーモと形容されるのを嫌い、自らの音楽を『Odd Pop(風変わりなポップ)』と呼ぶ様になったが、前述のPanic! At The Discoの2nd作のタイトルが「Pretty.Odd.」だった事を考えると、音や世界観といった直接的なものではないものの、あながちただの偶然では無い様な気もする。Panic! At The Discoは当時『FALL OUT BOYがダンスミュージック化した!』的な打ち出しをされていたが、その音と共にリスナーの心を捕らえたのは “I Write Sins Not Tradgedies” のPVに代表されるその中世やヨーロッパを彷彿とさせる世界観だったのではないかと思っている。ティム・バートン監督の作品から飛び出した、というと語弊があるが、この界隈を語るには避けて通れぬ2つのキーワード【デカダン】と【ゴシック】。この2つを併せ持つその世界観を、音と共存させた事で生まれた新たなるサウンドは、非常に新鮮だった。いや、今でも新鮮に聴こえる。スクリーモ/ポスト・ハードコアのシーンでもCHIODOSやWINGS OF AZRAEL辺りが台頭してきた辺りから、その傾向は徐々に顕著に表れてきたのが分かる。
そしてこの【デカダン】で【ゴシック】な世界観を持つサウンドを、キャッチーでエモーショナルなサウンドと融合しながら大衆に叩き付け、ご存知の通り圧倒的なポピュラリティーを得たのがMy Chemical Romanceであろう。そのサウンドや世界観こそシニカルであったものの、それまでアメリカのリスナーの間では比較的市民権を得ていたMisfits等から派生したホラー・パンク勢ともまた異なるポジションを確立した。
こういった世界観を、様々な演出を使いパフォーマンスする(もしくはしそうな)音を持つのが【シアトリカル】と形容される音。なんだかそう文字で説明されてもいまいちピンと来ないという方も、ここ一、二年で頭角を現したアーティストやこれから期待のアーティストの音を実際に聴いてもらえればニュアンスは掴めると思うので、ここで列記したいと思う。
・Set It Off “Partners in Crime”
待望の来日も果たし、見たもの心に爪痕を残すほど素晴らしいパフォーマンスを行ったポスト・マイケミ最右翼。ワルツやシンフォニックといった音楽的要素をゴシックかつ圧倒的なキャッチーさと融合する。
・Get Scared “Badly Broken”
The Usedと同郷の米ユタ州出身。その独自のゴシック感とキャッチーなメロディーでいきなりメジャーデビュー。その後Vocal脱退で苦しむも、再び脱退したVocalが帰還。2013年に大手Fearlessから再デビューの要注目株。
・Crown The Empire “THE FALLOUT”
2013年、帝国Rise Recordsからデビュー。In Fear And FaithやWe Came As Romans等が持つシンフォニックさと叙情感とはまた異なる、退廃的な世界観が新世代の幕開けを告げる。
・Dear Jack “You Gotta Leave Right Away”
イタリアから呼応するかの様に現れた、シアトリカルのど真ん中を行く注目株。まだ正式音源未発売ながら、Vanilla Skyのメンバープロデュースで録音された音源含め、PVの衣装や撮り方も凝りまくり。
・Bella Muerte “Guilty Pleasures, Desperate Measures”
こちらもまだ正式音源は発表前ながら、地元である米カンザスを中心に話題となっている逸材。シアトリカルなサウンドに独特の80’s要素とメタリックなフレーズ混ぜ合わせながら、耽美に聴かせてしまう手腕は無視出来ない。
・Redeem/Revive “The Overture”
Crown The Empireに続く、シアトリカル系譜のポスト・ハードコア大注目株。まだレーベル未契約ながら、この世界観とこの音は2014年の台風の目となる可能性は多いにある。
ここに挙げたのはほんの一例だが、なんとなくニュアンスが伝われば幸いです。ひとえに【シアトリカル】とはいっても決して音楽のジャンルではなく、あくまで世界観や表現方法の一つなのであしからず。ちなみにVocalがスーツっていうかベスト着ている率が高すぎるのは狙った訳ではありません(笑)。恐らくこの世界観を演出するのには最良の衣装なんでしょうね。そういう見方で探してみても面白いかもしれません。
ここに挙げたのは既にそういったサウンドや世界観を持ったバンドですが、今後この【シアトリカル】を自分達のサウンドに取り込んだり、歩み寄るバンドが出てくる可能性も。来年発表されるMemphis May Fireの新作等も、メンバー曰くその方向だと。真偽はいかに。個人的にはもっともっとこういうバンドが出てきたら面白いと感じている。中々この風土がないから難しいとは思うが、ここ日本からもそういったバンドが出てくるとより面白くなるだろう。
テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ

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