【FEATURE】「R&B」がポストハードコア・シーンの新たな扉を開く

刻々と変化を続けていくスクリーモ/ポストハードコア/メタルコアのシーン。アグレッションを増したり、ブレイクダウン、エレクトロ、シンフォニック等の要素を織り込み独自の進化を遂げたバンドが登場してきた。こういった様々なプラス要素の中で、今最も注目されているのが「R&B」要素を導入したバンド達だ。ハードコアにHip Hop要素を取り入れたサウンドとはまた別ベクトルであり、サンプリングしたエフェクトに縦ノリのサウンドだけでなく、ポストハードコア特有のクリーンパートでソウルを感じる唄い方をするVocalを擁しているのがその特徴だ。今回はそんなポストハードコア・シーンのバンドとして語られる中でも、そういった影響を受けたであろう素晴らしい歌唱力を持ったVocal達を紹介していく。
Tyler Carter(Issues)
ツインVocalの片割れ、クリーンパート担当Tylerの唄の上手さは同シーンでは突出したレベルであり、平行して進められているソロプロジェクトでは完全にR&Bシンガー真っ青な唄を披露している。バンドとしてもレゲエ等で使用される通称ピュンピュンマシンを取り入れたエフェクト含め、既存のシーンから逸脱する楽曲構成とサウンドになっている。代表格として、今最も認知され期待されるバンドだ。ソロの作品も楽しみ。
Jonny Craig
Dance Gavin Dance、Emarosa等の名だたるバンドを渡り歩いてきたシーントップクラスのカリスマVocal。敬虔なクリスチャンで、小さい頃から教会でゴスペル等のブラックミュージックに慣れ親しむ。Aretha Franklin、Boyz II Men、Craig Davidといったアーティストを愛し、このシーンの中で最も早くR&Bからの影響を公言してきただけに、その唄声の存在感や声量はシーン随一だろう。数々のフォロワーも後を絶たない。2014年には新バンドSlavesの始動も発表された。
Daryl Palumbo(Glassjaw/Head Automatica)
The Usedと同時にスクリーモ創世記を築いたFinchのNateにVocalレッスンをした事でも有名なカリスマ。少しルーツを辿ると、彼もポストハードコア出身ながら明らかにR&Bからの影響を受けた歌い手だ。別プロジェクトHead AutomaticaではGlassjaw時代以上にブラックミュージックからの影響を前面に出している。粘りのある腰の入ったVocalスタイルは今のR&Bシンガーとはやや異なるが、ルーツ的には間違いない。
Alex Strobaugh (Incredible’ Me)
Dillon Jones(Incredible’ Me)
2013年にデビューしたカリフォルニア産トリプルVocal6人組。このフロントマンは完全スクリーマーだが、クリーンパートを唄っている2人が明らかにR&Bからの影響下にある唄の上手さ。バンド自体のサウンドはメロディアスなポストハードコアでIssues程の目新しさはまだ感じられないが、Myka, Relocateと共に所属するArtery Recordings / Razor & Tieへの注目を俄然上げた、デビュー作としては破格のクオリティーだ。今後この2人をよりフィーチャーした楽曲も発表していけば、さらに人気を博していく事は間違いないであろう注目の逸材だ。
Sam Sky(I Am King)
こちらも2013年に全米デビュー組。クリーンパートを唄うSamのVocalスタイルは完全にJonny Craigチルドレンと呼ばれているが、まさに聴く限り声質や唄い方は直系。彼等もまたサウンドとしては非常にオーセンティックなポストハードコアサウンドであり、これはこれで最高なのだが、こんなに素晴らしい武器を持っているだけに強みを活かした方向にシフトしていくとより面白い事になるかもしれない。Sam個人のYoutubeアカウントでアコースティックのカバーをアップしていたりもするのでそちらも是非。Saosinの “Seven Years” のカバーでは、彼のブラックミュージックからの影響を存分に感じられる唄い方をしている。
勿論R&Bからの影響はポストハードコアのシーンだけでない。Fall Out BoyのPatrickやThe CabのAlex、This CenturyのJoel等、ポップパンクやポップロックシーンではR&Bからの影響を公言し、そして消化しているヴォーカリストは珍しくはなかった。そしてPunk Goesシリーズ(ヒット曲をシーンのバンドがカバーする人気コンピレーション)の影響によりポストハードコア界隈で巻き起こった空前のカバーブームでR&Bのカバーをしたバンドも多かった。そんな中でこうしたヴォーカリスト達が出てきた事は必然の様な気もするが、その前に流行ったエレクトロ等とは異なる。コンピューターが発達し、これまでの自分達のサウンドにトレンドを取り入れるのはセンスさえあれば可能だが、ヴォーカルは生の人間のテクニックだ。だからこそ、こういった至宝とも言える存在は輝きを増していくだろう。今後も次々に生まれてくる事を楽しみにシーンに注目したい。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ

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