※USレビュー追加【REVIEWS】Issues – Issues 〜ポストハードコアの新たなる時代の幕開け〜
Released: 2/18/2014 – Rise / TWILIGHT
AltPress.comレビュー
「今の流行なんて関係ない 俺は俺らしくありたいだけ。」
この歌詞のフレーズこそ、アトランタ出身のIssuesがデビューアルバムにて掲げたテーマであろう。そのテーマの通り、名曲といえるMad At MyselfにてフロントマンのTyler Carterは、大胆に且つポップに、ジェントなディストーションサウンドのブレイクダウンにのせて「彼女の最近のお気に入りはホンダ、だけど俺のはメルセデス」と歌い上げている。リードシングルの “Stingray Affliction” では、ダウンチューンのギターリフがヘヴィにかき鳴らされ、これでもかというくらいに重たい展開を聴かせてくれる。“Personality Cult” という楽曲では、様々なジャンルを飲み込んでいる無秩序な雰囲気を感じることが出来るだろう。つまり、今作品においてIssuesはポストハードコアな二人のヴォーカリストを抱え、ニューメタルなエレクトロとメタルコアといったものを飲み込んだジャンルの中心に爪痕を残したのだ。Carterはバンドの顔として、今後はより注目を浴びていくだろう。しかし、それはMichael Bohnのまるで血反吐を吐くような激しいスクリーミングがあってこそである。楽曲 “Disappear (Remember When)” を聴けばわかるように、Bohnのスクリーミングの激しさには躊躇などない。あるのは彼の持つ狂気にも近い感情のみだ。逆にCarterからは、伸び伸びと楽曲を歌い上げる喜びのようなものを感じられるだろう。その様子は楽曲の後半のゴスペルパートでより顕著になる。そして、まるでチャペルの説教のように楽曲は終わりを迎えていく。これこそ、メタルコアの未来とでも言うのではないだろうか。
テキスト: Brian Kraus
翻訳: Ken-Ichiro Arima/有馬健一郎
AltPress.jpレビュー
間違いなく2014年最重要作だ。ご存知Woe, Is Meから脱退した2人のフロントマンTyler CarterとMichael Bohnを中心に2012年に結成されたIssuesが、遂にその全貌を明かすフルアルバムをリリース。結成後すぐにリリースされたデビューEP「Black Diamonds」は国内盤のリリースこそなかったものの、その話題性先行どころではない圧倒的なサウンドにより瞬く間に話題に。その後もコンピレーションや様々なバンドへのフィーチャリング、そして2013年に発表されたシングル “Hooligans” でのさらに進化したサウンドにより、凄まじき勢いでその存在を知らしめていく。
そんなバンドの実力で巻き起こした追い風の中、満を持して発表されるセルフタイトル作である。先行で発表された “Stringray Affliction” から既に躍動するヘヴィさとエモーションを持つ凄まじい楽曲だっただけに、もうこれはとんでもない作品が仕上がるのではないかとネット上でも話題騒然となっていた。続いて発表された “Never Lose Your Flames” ではポップパンクの持つ爽やかさとソウルフルなメロディーが共存するという、また異なるバンドの側面を鳴らしリスナーをぶっ飛ばした。実際本作に収録されたその他の楽曲達もバンドとしての確固たる芯を持ちつつ、非常に多くのサウンドアプローチを覗かせる。全盛期のLimp Bizkitを彷彿とさせるバリバリのスクラッチが印象的な “Sad Ghost” や “Personality Cult” や、8bit感あるサンプリングと最先端の叙情的なエレクトロが融合した “Mad At Myself”、内向的なエフェクトと切ないメロディーが絡む “Tears On The Runway Pt. 2” 等、全ての曲がとにかくセンス溢れる。
このバンドの最大の武器は二人のTyler。Woe, is Meから共に脱退した後このバンドに参加したFerris兄弟が脱退し、新たに加わったAcord兄弟。その片割れであるTyler Acord (turntables, synthesizer)が繰り出す前衛的なエフェクトとマッシュアップ感。そして、まるでR&Bシンガーともいえるため息の漏れる様な歌唱力を持つTyler Carter。この2つの武器によってバンドは確実に他と一線を画している。加えて、そこにMichael Bohnの野獣の様な咆哮が交錯していく事でWoe, Is Meとは比較にならぬレベルへ到達し、Woe, Is Meでは表現しきれなかったサウンドを見事なまでに確立する事に成功している。EPリリース後に脱退したCase Snedecorの後任で加入したJosh Manuelのヘヴィかつタイトなドラミングも聴き所の多い楽曲をさらに際立たせており、結成以降から中々定着しなかったアンサンブルを一層強固なものにしている。
自身のサウンドを『メタルとHip Hopを融合した’nu-metal’サウンド』と語るメンバー。Linkin Parkブレイク以降に出尽くしてしまった感のある’nu-metal’シーンにポストハードコアという側面から切り込む事により、焼き回しではない新たな息吹を吹き込んだ。今後も確実にそのフォロワーは既に続々と生まれていくだろう。再び隆盛となるか。少なからずこの一枚はシーンの金字塔であり、新たなる指標となる事は間違いない。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
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