【REVIEWS】I Killed The Prom Queen – Beloved 〜徹頭徹尾メタルコア〜
Released: 1/28/2014 – Epitaph
2008年に惜しまれつつも解散を発表したオーストラリア産が、2011年にリユニオン。その後も活動ペースは決して速くはなかったものの、着実に本国やUKを中心にツアーを行ってきた彼等がいよいよ再始動後初となる最新作をEpitaphより発表。再始動後なのは勿論、フロントマン含めたメンバー3人が交代後初となる作品だが、これがまた久しぶりに目の覚める完璧なまでのメタルコア。近年ブルータル化したポストハードコアもメタルコアと呼ぶ事も多いが、やっぱりメタルコアってこれだよなぁと思わさざるを得ない程メタリックかつブルータルな一枚に仕上がっている。
リード曲となった “To the Wolves” やSoilworkのBjorn Stridがフィーチャーされた “Calvert Street” 等、北欧のメロデスを消化したスラッシー要素、そして彼等の人気曲 “Say Goodbye” や “The Deepest Sleep” を彷彿とさせる様なツインリードのリフが楽曲をグイグイと引っ張っていくスタイルも “Bright Enough” や “The Beaten Path” で継承。加えてThe Ghost InsideのJonathan Vigilが参加する “No One Will Save Us” やラストの “Brevity” では、力技だけでなくドラマチックで叙情的な展開もしっかり入れ込んでおり、作品全体の起伏も見事に表現している。Ex.The Red Shoreである新ヴォーカルJamie Hopeは、Michael CrafterやEd Butcherといった前任と比べるとやや高めのスクリームをかましているが、バンド史上最もテンションの高い楽曲達にこれ以上ない相乗効果をもたらしている印象だ。これだけのメンバーチェンジをプラスに持っていけたのはギター兼クリーンパートであり、唯一の結成メンバーかつバンドのブレインであるJona Weinhofenの手腕である事は間違いない。Parkway Driveが一人勝ちだったオーストラリアのメタルコアシーンにも再びスポットが当たるであろう、復活作としては申し分ない新作となった。
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テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ