【REVIEWS】Architects – Lost Forever // Lost Together 〜 激情も吸収し、メタルコアの新たな扉を開く 〜
Released: 3/11/2014 – Epitaph
2004年結成以来、Bullet For My Valentineに続くUKメタルコアのトップバンドとしてBury TomorrowやAsking Alexandria、While She Sleeps等と共に最前線で活動を続けてきた彼等が遂にEpitaphと契約、レーベル移籍後初となる6枚目の新作をリリースした。ここ数年はややAsking AlexandriaやWhile She Sleepsといった後続組の勢いに押されていた感があったが、今作で間違いなくその印象を払拭する事だろう。作品を発表する度に、試行錯誤の伺えるサウンドながら軸のブレないメタルコアを鳴らし続けてきた彼等が、今作ではリリース前のインタビューでメンバーも話していた通り、ポストロックのインフルエンスを取り入れた事で深化を遂げている。
物憂げなストロークから、激情を撒き散らし疾走した時点で一瞬困惑しかける “Gravedigger” で幕を開け、続くはConvergeやNorma Jeanほどではないながらカオティックなブラストビートを使い要所要所でブレイクダウンする “Naysayer”。そしてメタルコアの王道とも言えるツインリードと疾走するイントロで始まる “The Devil Is Near” では、スポークンワードを取り入れた中盤を経て、ラストには完全ポストロックともいえる耽美な展開へ移行していく。さらに “Colony Collapse” ではBeing As An Oceanばりの絶望感に加え、立体感あるサウンドスケープを構築。様々な要素の足し算と引き算になりがちなメタルコア/ポストハードコアのシーンにおいて、こういったポストロックや激情のパートを今までのサウンドにただ貼付けただけではなく、しっかりと分離しない様に溶け込ませるセンスに何よりも驚かされる。
アーティスティックで難解になりすぎる事もなく、チャラくなる事もない。コアな激情感とハイブリッドで耳を奪うプロダクションを持つメタルコアの合間で揺らめく、絶妙なバランス感覚は見事の一言。
しかし完全に新たな世界を確立した程の凄まじき斬新さかと問われれば、まだそこまでは到達できていない。ただし、確実に他のバンドには鳴らせぬ領域へ足を踏み入れた事は間違いない。
これがポスト・メタルコアの夜明けとなるか。
アルバムの全曲ストリーミングはこちら
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
1 thought on “【REVIEWS】Architects – Lost Forever // Lost Together 〜 激情も吸収し、メタルコアの新たな扉を開く 〜”
Comments are closed.