【REVIEWS】††† (Crosses) – ††† 〜 サクラメントオールスターによる一大妖艶絵巻 〜
Released: 3/12/2014 – TRIPLE VISION / Sumerian
A Skylit DriveやJamie’s Elsewhere等を産み出した米カリフォルニア州サクラメント。この地を音楽の街と大きく決定付けたのは間違いなくDeftonesとFarである訳だが、そんな2バンドのメンバーからなるこの††† (Crosses)が2011年結成以来遂に初のフルアルバムをリリースする。ギタリストであり今作のプロデュースを務めるShaun Lope、ドラマーのChuck DoomというFarのメンバーに加え、今やヘヴィロックの重鎮ともいえるシンガーChino Morenoは本家Deftonesや数々のフィーチャリングだけでなく、自身のサイドプロジェクトも活発だった。これまでHellaのバカテクドラマーZach Hill達と共に結成したTeam SleepやIsisのメンバーと結成したPalms等、どれもサイドプロジェクトに域には収まらないアクティヴィティと高いクオリティの作品を我々に見せつけてきた。そしてそこに加えてこの††† (Crosses)だ。もはやChinoの溢れる創作意欲には敬意すら感じるレベルだが、今回もハイレベルな作品になっている。
本作は2011年に発表された「EP 1」と翌年にリリースされた「EP 2」の楽曲をリマスターし、そこに未収録曲をコンパイルしたフルアルバムとなっているが、どれも同じ時期に一気に制作されたものである為、一枚の作品として一貫した世界観を持っている。ダークアンビエントに分厚いギターサウンドが重なっていく “This Is A Trick” や、昼と夜を同時に表現した様な80’sニューウェイヴサウンドとシューゲイザー要素が合わさった “Telepathy”。ダウンテンポでチル感の強いエレクトロが支配する “Trophy”。
Chinoがこのプロジェクトで目指したウィッチハウスの持つダークで妖艶な独特の世界観に、Shaunのオルタナティヴなギターサウンドとプログラミング。そしてChuckの生ドラムが折り重なっていく様は、まさに彼等しか産み出せぬオンリーワンのサウンドだ。浮遊感あるものからビートの強めな楽曲まで、統一感ある世界観の中でも多くの実験的アプローチが詰め込まれており、細部まで聴き込みたくなる。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
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