【REVIEWS】Avindale – Lost in a Some Call Home 〜 アトモスフェリック・ポストハードコアの極み 〜
Released: 3/5/2014 – Cars & Calories Records
元々2004年辺りのCodesevenを筆頭としたEqual Visionのアーティスト達やKaddisfly、Ever We Fallといったバンドが鳴らしたものを進化させたシーンのサウンドである事は間違いない訳だが、The Deer HunterやCirca Survive以降、さらなるスペーシーでアトモスフェリックな要素を取り込んだバンド達が続々と登場し、ポストハードコアは新たなる局面を迎えた。初期ではメタリックなスクリーモであったThriceもまた、後期は完全にこのシーンのサウンドへとシフトしていった記憶も新しく、決してチャート上位にくるサウンドではないものの、コアなリスナーを中心に確実に根付いている。
2007年米テキサスで結成された彼等もまた、そのシーンでメキメキと頭角を現してきたバンドの一つだ。2011年に1st EP「Cycles」を発表後、Dance Gavin Dance、A Lot Like Birds、Balance and Composureといったバンドとツアーを重ね、2013年には今作「Lost in a Some Call Home」を本国でリリース。その後Alice In ChainsやJane’s AddictionをヘッドライナーとするROCKSTAR ENERGY DRINK主催UPROAR FESにてCirca Survive、Coheed And Cambriaと共演する等、本国でも注目を集めはじめている中いよいよ日本デビューを果たす。
Triple Crownに所属するFrom Indian LakesのDryw Owensがプロデュースしたオルタナティヴなサウンドの上を、ガラス細工の様に繊細なギターフレーズが舞う “Summer Meets Winter”、終盤にはアルペジオを使用した絶句するほどの妖艶なパートが待っていた “Blind Man’s Mirror”、絶望を超越した果てに生まれた虚無すら感じさせる “Her Piano”。そこに加え今作リリース後に発表された、儚くも美しい “Azure”、アンビエントさとプログレッションを併せ持つ “Not Even Gold” という新曲2曲もこの国内盤には収録されている。
今作リリース後はJonny CraigやBleach Blondeとのツアーやユーロツアーも決定。HVRD、Idle Handsと共にこの界隈では飛び抜けて注目の逸材だ。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ