【REVIEWS】Bayside – Cult 〜心機一転、メロディック新機軸〜
Released: 3/5/2014 – KICK ROCK INVASION / Hopeless
Victoryの看板バンドの一つとして君臨してきたものの、きちんとした国内盤がリリースされるのは2005年のセルフタイトル作以来となるNY産。前作「Killing Time」からWind-upへ移籍したが、この最新作はYellowcard、The Used、Taking Back Sundayと近年ビッグアーティストが続々と移籍してきたHopelessからのリリースとなった。これまでリスナーだけでなくミュージシャンからも高い評価を獲得し続けてきた彼等だが長い事国内盤がリリースされなかった事もあり、ここ日本ではあまり彼等について話題もなかった事が個人的に淋しくもあったのでこの移籍→国内盤リリースは感慨深い。バンドもこのタイミングを新たな転機と考えたのだろう、これまでのバンドの武器を存分に詰め込みながらこれまで以上にモダンで間口の広い作品が仕上がった。
何よりもそれを象徴しているのはPVも制作された “Time Has Come”。メジャーコードを多用し、バンド史上最もコマーシャリズム溢れたポップパンク色全開な楽曲を始め、力強くも温かみ溢れた “You’re No Match”、広大なエモーションを高らかに鳴らす “Transitive Property” 等、マジョリティーある楽曲が目立つ。勿論これまでのバンドらしくオルタナティヴに疾走する “Pigsty”や“Big Cheese”、哀愁メロディー満載の “Bear With Me” や “The Whitest Lie” といった楽曲も収録。Strung OutのJason、Alkaline TrioのMattに続くノンハスキー系イケメン声(勝手に命名)を持つAnthonyの声も楽曲に合わせ、怒る様に、囁く様に、微笑む様に、非常に表情豊かな唄い方を披露している。
彼等を表現する時に良く使われる「哀愁」、「いぶし銀」、「オルタナティヴ」というパンク要素だけでは到底収まらない、まさに世代やジャンルを超えた全方位対応ともいえる一枚に仕上がっている。これまでバンドをきちんと聴いた事ない方も、是非今作を機会に聴いて欲しい。そしてもし今作が気に入ったら、過去の作品も名盤だらけなのでチェックして欲しいと思う。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ