【REVIEWS】Jamies Elsewhere – Rebel-Revive 〜 メンバーチェンジをモノともしない驀進 〜
Released: 4/8/2014 – Self
2005年活動開始して以来、奇しくも作品をリリースする度にボーカルやメンバーが変わってしまうという不遇ともいえる状況を、ことごとく覆す姿には敬意すら覚える。自主制作の1st EP「Good Bye Rocket Man, St. George Is Under Fire」を5000枚以上売り上げ、Victory Recordsと契約。リリースされた1stフル作「Guidebook For Sinners Turned Saints」はEPのファンから酷評を受け、当時のメンバー6人中ボーカル含めた4人が脱退してしまう。しかし即座に全パート新メンバーを加入させ、8ヶ月間楽曲を制作。3週間でレコーディングをした2ndフル作「They Said A Storm Was Coming」を完成させ2010年にリリース。これが俗にいう神盤で、それまでの彼等の世界観からは離れてしまったものの圧倒的にモダンなプロダクションと疾走感、クリーンパートとスクリームの比率も含めて世界中から大反響を呼んだのだ。こうして一度バンド存続の危機すら経験した彼等は見事な復活を遂げた訳だが、まだこのラインナップでの定着とはならなかった。
2011年にはギタリストとドラマーが脱退、さらにはここまで二作をリリースしてきたVictory Recordsとの契約を解消。2012年には2ndをメロウかつアコースティックのフォーマットにしたEP「ReImagined」のリリースをしたものの、フロントマンAaron PauleyがOf Mice & Menに加入の為に脱退した。同時期に既に決まっていた初来日公演はサポートボーカルとしてJustin Kyleがその穴を埋め、その後、彼が正式に現在のフロントマンとして迎えられている。
メンバー交代やレーベルからの離脱で新たな局面を迎えた彼等だったが、こうして再び三枚目となる今作を発表。これがまた自主制作とは思えないハイクオリティーかつモダンな一枚となっている。先行で発表された “Sick Fiction” での超シンフォニックかつブルータルさとキャッチーなメロディーが共存した楽曲を聴いた時点で確信したが、“Closure” でのRap調の早口な歌唱法やDjent的ギターリフやチャグに象徴される様に、現在のシーンのトレンドを見事なまでにぶち込んだ作品だ。“Empty Eyes” ではThe Color MoraleのGarret Rappが妖艶に、“The Illusionist” ではIssuesのTyler Carterがソウルフルに唄声を披露。その他にも女性シンガーDEVが退廃的なサウンドの中を美しい唄声で舞う “In Depth Perception”。I Am AbominationのボーカルPhil DruyorとギタリストNick Sampsonが “Capital Vices” でそれぞれの武器で荘厳かつシアトリカルな楽曲に華を添えるという非常に豪華なゲスト陣にも注目だ。
全体的には前作程のメタリックなリフや疾走感が無くなってしまったのが少し残念だが、結成時から残るリードギタリストMatt ScarpelliとキーボディストのMike Spearmanの個性、そして初期から変わらないメロディーを重視した楽曲構成には感服だ。今作でまた大きな注目を集める事になるだろう。
テキスト:Yuji Kamada