【FEATURE】PUNKSPRING 2014ライヴレポート @ 3/29 幕張メッセ

その名の通り毎年春に開催される日本最大のパンクの祭典が、今年も幕張で開催された。例年に比べて若手の海外勢が少なく、その分日本のアーティスト達が多かったラインナップゆえ、当日までどの様な客層となるのか興味深かったが、フタを開いてみれば非常に多彩で柔軟なオーディエンス達が楽しむ姿が印象的な一日となった。この日見たアーティストを中心にレポートしたいと思う。
Radkey
米ミズーリ出身ながら、日本のカルチャーを愛する三兄弟が初来日。「ミナサンコンニチワー!」 と挨拶を放ち、ファストに疾走。ドレッドのフロントマンDee Radkeの野太いボーカルとIsaiah Radke、Solomon Radke のリズム隊からなる3ピースという、全く誤魔化しのきかない最小編成からくり出されるタイトな演奏で、様子見だったリスナーの心をどんどん掴んでいく。こうして次々とオーディエンスが手拍子で応えていく光景をみていると、このシンプルさがパンクの真髄なのだと再認識させられる。無論パンキッシュな楽曲だけでなく、グルーヴィーでオルタナティヴな要素や大好きな漫画ONE PIECEから影響を受けたと語る楽曲も披露。R&Rのリフと初期パンクからインスパイアされたであろうコーラスとストレートなコード進行が引っぱるサウンドは、最終的に大きな盛り上がりをみせていた。
coldrain
海外進出を果たした彼等が、PUNKSPRINGに帰って来た。正直、驚く程のビルドアップだ。この日以上に大きなステージを海外で経験してきただけあり、その舞台を広々と使ったパフォーマンスやラウドで立体的な音源を生々しく再現したサウンドは、確実にネクストレベル。“The Revelation” から “Final destination” までの7曲。スクリームと伸びやかなハイトーンを使い分けるMasato氏のボーカルも、ただ感情に任せるだけでなくワビサビをしっかりとつける。一昨年同フェスで出演決定にも関わらずアクシデントで出演出来なかった悔しさをバネに、二年間の想いとその間に得た経験から生まれた自信を集約した素晴らしいパフォーマンスであった。4月中旬から後半にかけて行なわれるCrossfaith、Miss May IとのOUTBURN TOURは勿論、これからまた海外へ進出し、さらなる力をつけていくであろう彼等に期待しかない。先日All Time LowやThe Used等が所属するアメリカ屈指のインディーレーベルHopeless Recordsとの契約も発表され、楽しみは膨らむばかりだ。
Chiodos
帰ってきた、遂に帰ってきた。SCREAM OUT IN JAPAN 2009での初来日後、まさかの脱退劇を繰り広げたフロントマンCraigとドラマーDerrickが2012年にバンドへ帰還。Chiodos脱退後、Cinematic SunriseやD.R.U.G.S.で活躍していたCraigが再びこのバンドで日本へ戻ってくるとは、あの時誰が想像出来ただろうか。早速ステージに登場するや否や、あの細い身体のどこからこんな声が出てくるのかというほど強烈なスクリームに戦慄すら走る。そして個人的に泣かされたのは、新ギタリストとして加入したThomas Erakがこうして日本にやってきた事だ。Chiodosが元々所属していたレーベル、Equal Vision Recordsにおいて彼等と共にトップバンドとして君臨したThe Fall Of Troy。そのフロントマンであった彼が、Craigと共に同じステージに立っているのはどんぴしゃ世代にはたまらなかった事でしょう…彼がCraigの横でバカテクなギターを弾き、共に唄う姿はまさに全編ハイライト(泣)。セットリストは初期からの曲は勿論、この日の直後にリリースされた最新作「Devil」からの楽曲も披露。リリース前の楽曲ながら大きなピットが出来ていたのも凄かったが、一番嬉しかったのは “Thermacare” が演奏された事だ。Craigが一度Chiodosを脱退する直前にレコーディングされたデモ曲で、後にD.R.U.G.S.の楽曲 “The Only Thing You Talk About” として発表。そしてCraig脱退後のChiodos名義で発表された “Stratovolcano Mouth” のベースにもなっている事で話題となった楽曲だ。曲の合間合間にオーディエンスから巻き起こるChiodosコールにやや驚いた表情を浮かべながらも、心から嬉しそうなメンバー達の笑顔が非常に印象的。ブルータルかつプログレッシヴな世界観とサウンドは、バンドを初めて見たオーディエンスの心にも深い爪痕を刻んだに違いない。
SiM
Chiodosが終わったタイミングで気が付いたが、場内はだいぶ人が増えてきた。ド頭の “Blah Blah Blah” から全開のラガ色を放出し、会場内は多くのキッズによる2step祭。“WHO’S NEXT” や“ANTHEM” といったラウドでアグレッシヴなパートからゆるいダブパートへ流れた後、トドメのブレイクダウンという黄金パターンにヴォルテージはグングン加速していく。その後も “Rosso & Dry” や “Amy” で披露された叩き上げの演奏力も、レゲエ特有の裏打ちのリズムから一気に疾走する展開等で炸裂しまくる。スカやレゲエ、ダブ色を持ち合わせたラウドロックバンドとして唯一無二の存在感を存分に叩き付けた。本日からスタートする、海外からSkindredを再び招聘し主要都市を回るツアーも楽しみだ。
Snuff
今年のレジェンド枠は彼等。カバーはお手の物なDuncanおじさんは相変わらずファストでパワフルなドラミングを叩きながら、アンパンマンマーチの激早バージョン “アンパンマン For バイキンマン” 等を漢気たっぷりに唄い上げる。その姿に胸熱くなったオーディエンスもさぞ多かっただろう。正直、レジェンドと呼ぶにはあまりにも滑稽な程の現役感だ。ラストにはFat Mikeもステージに登場し、大盛り上がり。
The Fratellis
活動休止から復活を遂げ5年以上振りとなる新作をリリース後、4度目となる来日。早くも二曲目にはiPodのCM曲でもお茶の間に浸透した代表曲 “Flathead” が披露され、サビのアンセミックなコーラスで会場全体が大合唱。その後もスイングしまくるパンキッシュなロックンロールとファニーな楽曲で、ピースフルかつ縦ノリの波を生み出した。
Me First and the Gimme Gimmes
ご存知NOFXのスポークスマンでありFat Wreck Chords代表であるFat Mikeを筆頭に、Foo Fightersや昨年のPUNKSPRINGで来日も果たしたLagwagonのメンバーが在籍するカバーバンドが再来日。こういったオールスターズだけに、ただパンク風にカバーするのではなく、カントリーやフォーク、スカの要素も織り交ぜるサウンドは本当に楽しい。ニホンゴワカリマセーンとMCした後に2011年発表の日本語カバーアルバム「Sing a Japanese」から甲斐バンド “Hero” を凄まじく流暢な日本語で唄ったのは爆笑だったが、それ以外に同作からTHE BLUE HEARTSの “Linda Linda” も披露。その他にも “Over The Rainbow” や “Country Roads” といった日本人に耳馴染みのある楽曲のカバーも演奏された。5月には新作「Are We Not Men? We Are Diva!」のリリースも決定。タイトル通りディーヴァの楽曲達をテーマにセレクトされているので、要チェックだ。
MAN WITH A MISSION
バンド名やコンセプトの元ネタでもあり、この日大トリを務めるBad Religionの楽曲「Man With A Mission」をSEに登場とニクい演出でスタート。“distance”、“Get Off of My Way”、“TAKE WHAT U WANT”、“database”、“evils fall”、“Emotions” 等、新旧問わず次々と代表曲が繰り出され、パンク、ラウド、ダンサブルな要素が見事なバランスで成り立つサウンドと共に会場を熱狂の渦へと巻き込んでいく。ラストは初期からの鉄板曲 “FLY AGAIN” で締め。彼等もまたcoldrainに続いてこの秋に海外デビューが決定しているだけあり、目が離せない。
The Hives
母国スウェーデンを飛び越え、最強のロックバンドの一つとして君臨する彼等がPUNKSPRINGにて久々の来日。“Come On!” からスタートしたこの日。「トーキョーカエッテキタゼー!」とMCをはさみ、どんどんと過熱して行く。音源も楽曲によっては相当なキレキレではあるが、実際はそれを遥かに超越するハイテンションにぶっ飛ばされた初見のオーディエンスも少なくなかっただろう。しかし彼等の真骨頂はこのトップギアなテンションの中にも渋さと円熟味、そしてエンターテイナーの要素が内包しているところだ。ブンブンとマイクを振り回しながら無邪気にシャウトしたり、渋みのきいた低音で唄い上げるフロントマンPer Almqvist含め、メンバー全員がエンターテイナー。そういった視覚的要素を持ちつつ、アンセミックなリフとコール&レスポンスがオーディエンスの心をガシガシと掴む。PAやメンバーがアリーナに降りていく時に、マイクシールドが絡まない様にサポートするクルー達が忍者の衣装を着ていたり、ファンから渡された日の丸の手ぬぐいを頭に巻いたりと、ファンサービス満載のステージに僕等観客も大満足。
Bad Religion
オープニングアクトのスタートから約10時間、いよいよ大トリの登場だ。最新作から “Fuck You” のイントロが鳴ると、先程まで完全燃焼して座り込んでいたキッズ達も前にドンドン走って行く。これぞメロディック界の王者が放つ貫禄だ。Greg Graffinが完全に白髪頭になっていたのには少し驚いたが、数えてみればメンバーほぼ全員が50歳オーバーのはず。Epitaph社長としても知られるBrett Gurewitzこそこの日はいなかったものの、昨年脱退したギタリストGreg Hetsonの穴を埋めたMike Dimkichの刻むリフに煽動されるファストかつアグレッシヴな楽曲を、曲によっては音源より速いスピードで演奏していく姿はまさに生きるレジェンド。初期から一貫したチャラさ皆無の硬派なメロディックは、続々とサークルピットを形成。冒頭以外にも “Dharma And The Bomb” や“True North” といった最新作からの楽曲は勿論、“I Want to Conquer the World” や “You Are (The Government)”、“Suffer” 等の定番曲のイントロが鳴る度に大きな歓声が上がり、大シンガロング大会。“Generator” をはじめとした狂喜乱舞の20曲、無駄なアレンジやMCもほぼ無しで突き進む姿には感服。ラスト、生で聴く “American Jesus” は神過ぎましたね、全く。
今年のフェス開催にあたり、出演アーティストが発表される度に「パンクじゃない」という意見を多く目にしたが、元々「パンク」というジャンルはアティテュード込みでの広義な意味を持つジャンルだ。色々なサウンドのパンクがあって然りだと思う。こうした元来の意味を踏まえれば、この日出演したアーティストは全て「パンク」であり、誰かが勝手にカテゴライズして狭めてしまった「パンク」を再び取り戻す意味でも、非常に素晴らしいラインナップだったと感じている。何より、そもそもこうしたジャンルがどうこうという事は考えずに、どれだけ気持ち良くなれるかが大事だと思う。そういった意味ではどのアーティストの音も楽しんでいたオーディエンスが、思っていた以上に多く見受けられた素敵な空間だった。
会場で晩飯を食べていた時に、隣に座っていたグループの一人がこの日出演していた海外アーティストの事を友人に熱心に質問していた。質問に答えていた友人はあれが好きならこれも聴いたらと薦め、その後日本のアーティストも今日見てかっこいいバンド沢山いたから教えてよ、と返している会話を耳にした。思わず酒の一杯でも奢りそうになる程(笑) 素敵な会話であったが、こういう会話のきっかけを作ってきた同フェスの意義を象徴するシチュエーションでもあった。来年もまた楽しみだ。
写真:©PUNKSPRING 2014 / Creativeman All Rights Reserved
MAN WITH A MSIISON photo by Nobuyuki Kobayashi
テキスト:Yuji Kamada

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