【REVIEWS】Beartooth – Disgusting 〜 振り切れ散らかった爆走テンション 〜
Released:6/10/2014 – Red Bull
現Of Mice & MenのAustinがAttack Attack! を脱退後、一人挟んで同バンドのフロントマンを担っていたCaleb Shomoが新たに結成したバンドが本格的にそのベールを脱ぐ。2012年にMy Ticket Home等のメンバーと結成され、当初はお遊びプロジェクトとして始動した様だが、その後フルタイムバンド化。同年の年末から年明けにかけPVを通じ、立て続けに楽曲を発表。そしてRed Bull Recordsと契約を果たし、それらの楽曲を含む「Sick EP」をデジタルのみでリリースした。そんなEPのクオリティもあり徐々にというよりは即座にシーンの中で話題となった彼等が、満を持して発表するフルアルバムだ。
Calebがシーン屈指のスクリーマーだという事は多くのリスナーが周知しているとは思うが、今作はそんな彼の実力を見事なまでに発揮。ただ一辺倒にスクリームするだけでない “The Lines” や彼等の持ち味である圧倒的な疾走感とパッションを持つハードコア・アンセム “Beaten in Lips” でも、しっかりとメロディーラインを唄い上げる柔軟性は彼等の持ち味だろう。エモーショナルにサビでテンポを落とす昨今のトレンドとなっている楽曲構成に縛られず、サビもそのまま疾走感を持つ “Body Bag” や “I Have a Problem” 等からは全盛期のAlexisonfire辺りも彷彿とさせる程熱く、胸を打たれる。メタルコアではあるが俗にいうメタルコアとは全くベクトルの違う、直情的でパンクやハードコアのアイデンティティが詰まった楽曲がとにかく痛快で気持ちよい。シーンの著名なプロデューサーを起用せず、Tear Out The HeartやSylarといったバンドの作品を手掛けてきたCaleb本人がセルフプロデュースしたからこそ、ここまで自由奔放かつ他とは一線を画すサウンドメイクが出来たのではないか、とも思う。
2014年に入ってからは解散を発表したポップパンク・バンドCity LightsのフロントマンであるOshie Bicharがベーシストとして加入と、サウンドや楽曲だけでなくその布陣も鉄壁にしている。2014年、シーンを掻き回す台風の目である事は間違いない。
テキスト:Yuji Kamada