【REVIEWS】Issues – Diamond Dreams 〜 単なるアコースティック作とは別次元のソウル・リアレンジ作 〜
Released: 12/10/2014 – TWILIGHT
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ため息すら出る。そして僕がミュージシャンであればこの才能に嫉妬して止まないだろう。2014年、ポストハードコア界を飛び越え、ミュージックシーンに最大規模の嵐を吹き起こしたデビューフル作「Issues」に続き、早くも届けられたニューマテリアルだ。元々の情報ではアコースティック作だという事でそれはそれで楽しみではあったが、正直これがそんなレベルで比喩されるべき作品ではなかった。前述のデビュー作では最先端かつ前衛的なサンプリングを駆使し、超モダンなサウンドプロダクションを武器にした故にどうしても薄れてしまったバンドの持つ美しいメロディーラインが浮き彫りに。そしてアコースティックと聞いて僕達リスナーが想像するただアコギに唄がのる様なものではなく、しっかりとバンドサウンドなのである。しかし、そのサウンドメイクはYouTube等を良くチェックしている彼等のファンならお馴染ともいえる非常にソウルフルでスタイリッシュな方向となっている。
エレピアノの音色でミニマルにスタートし、低温ながらもエモーションたっぷりに展開していく “Hooligans”。 奥行きを生みだすエフェクトとジャジーなアレンジを持った “Princeton Ave” や逆再生したサウンドを取り込み、ノスタルジーとエクスペリメンタルな世界観を共存させる “Disappear”。現在飛ぶ鳥を落とす勢いで成長するUK産ポップパンクバンドNeck DeepのフロントマンBen Barlowが参加した “Never Lose Your Flames” や、オリジナルと同じく女性シンガーNyloをフィーチャーした “Tears On the Runway”。そして処女作である「Black Diamonds」リリース後にYouTubeで公開されていた “The Worst of Them” の完全RECバージョンは正に待望ともいえる収録だろう。そして待望の収録といえば、国内盤にはオリジナル作に収録される事のなかった “Hooligans” のフルバンドver.も収録されているので、ファンなら確実にこちらをお勧めしたい。
バンドのアレンジメントのセンスと同じく、最早わかりきったTyler Carterのボーカリストとしての圧倒的な才能は2015年にリリースされる予定のソロ作でも大爆発する事だろう。今から非常に楽しみであり、その布石となるべき素晴らしい一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada