【FEATURES】Manafest, Newアルバム「The Moment」インタビュー
2005年のデビュー以降、出身国・カナダやUSを始めここ日本でも大きな人気を呼び、数多のリスナーを魅了してきたMANAFEST。ロックとヒップホップと言う二つのシーンを交錯しながら、新たな音楽の可能性を模索し続ける彼が、いよいよニュー・アルバムとなる「The Moment」をリリースする。近年のMANAFEST作品に見られるオルタナティヴ・ロックの要素をフィーチャーしつつ、よりメロディアス&シアトリカルに進化を遂げた彼のサウンドは、どのような道筋を辿り生まれていったのだろうか?その真相に迫った。
“過去を背負うのではなく、過去から学めば良いんだよ”
── ニュー・アルバム「The Moment」制作の際には、PledgeMusicというクランドファンディングシステムを取り入れたそうですね。
MANAFEST:うん、そうなんだ。Midemと言う音楽のコンベンションがあってフランスに行ったときに、PledgeMusicの創設者の話を聴いてね。彼自身がアーティストだし、アーティストに対する情熱もすごくあったから、これこそが僕の求めるものだ!と確信して、PledgeMusicでのキャンペーンを行ったんだよ。
── アルバムタイトルの「The Moment」と言う言葉には、どのような意味が込められているんでしょうか?
MANAFEST:人生って言うのは、今この小さな一瞬一瞬が重なって出来上がっていくものだよね。ファーストキスや最初のステップ、初めての車運転、初のライヴ、とかね。そして“初めて”と言うのはとてもスピリチュアルな経験になるかもしれないし、痛みを感じるきっかけになったり、失恋の始まりだったりするかもしれない。でも僕らはそのすべてから学ぶことが出来るし、その経験は未来へ持っていけるものなんだ。過去を背負うのではなく、過去から学めば良いんだよ。
── では、あなたにとって大切な「The Moment」は何ですか?
MANAFEST:14歳の時に経験したバイブル・キャンプと、妻のMelanieに出会ったこと、そして今、小さな女の子の父親でいること。あとはもちろん、日本に初めて行った時だよ!
── それは私たち日本のファンも嬉しいです。今作ではこれまであなたの作品プロデュースを手がけてきたAdam Messingerの他に、新たなプロデューサーとしてJoel Prueirreも迎えているんですよね。
MANAFEST:彼は「Fighter」に収録された曲のリミックスをいくつかやってくれたから、新しいアルバムではプロデュースもお願いしようと思ったんだ。Joelのやり方がすごく好きだし、制作面でも素晴らしい仕事が出来たと思うよ。
── 「The Moment」は「Fighter」のサウンドも継承しつつ、よりメロディアスでオルタナティヴな作品となったと感じました。制作するにあたって、アルバムの方向性を決定した曲などあるのでしょうか?
MANAFEST:Joelが “Paradise” を作り直したんだけど、それがきっかけで、アルバムがメロディックでオルタナティヴな方向になっていったんだ。そして “Criminal” が完成したことによって、アルバムの全体像が出来上がっていった。最初から何かを決めこんで制作にとりかかるのではなく、自然に出てきたものをそのまま音に反映させているよ。
── MANAFESTのサウンドは、作品を追うごとにロックのテイストが増していますよね。
MANAFEST:ロックは常に僕の中にあるものだし、自分自身でもどんなものが作りたいのかがわかってきているんだ。次のMANAFESTとしてのアルバムはもっとロックで、メロディックなフックがさらに増したものになると思ってるよ。
── あなたの音楽はミクスチャーと形容されることが多いと思いますが、ヒップホップやロックはもちろん、ポップパンクやオルタナティヴ、ロックンロール、ニューウェイヴなどあらゆるサウンドを持ち合わせています。今作ではますます、その幅が広がりましたよね。
MANAFEST: 今回はJoelが制作に携わってくれたおかげで、これまでと違ったアプローチをすることができたと思う。あと、 ボーナス・トラックの “Let Go” と言う曲は、ナッシュヴィルで作ったんだけど、歌詞が共作なこともあって、これまでと少し違う制作プロセスを踏んでいるんだ。僕は、プロデューサーがより良いものを作ろうとして、僕が作ったものと反対のものを要求されても構わないし、むしろそのスタイルがすごく好きでね。Adamはスタジオでいつも僕をつついて、もっとより良いものを作るように仕向けてくれる。素晴らしい曲を作りたいのであれば、自分のエゴは一旦ドアの外に置いておかないとダメなんだよ。
── なるほど。リリックもMANAFESTの重要なファクターだと思いますが、歌詞の面で特に気にいっている曲や、印象的だった楽曲はありますか?
MANAFEST:“Edge of My Life” かな。僕らはみな例え拍手喝采の中で生きていても、いつまでも戦い続けないといけないからね。実はこの曲を書いたとき、自分が向き合うべき痛みから生き抜いてみようと思ってベッドルームで泣いていたから、その感情が曲にも出ていると思う。この曲をライヴでパフォーマンスするのも大好きだよ。
── “Love Wide Open” はノスタルジックなメロディに伸びやかなヴォーカルや美しいコーラスワークがフィーチャーされた、新たなタイプの楽曲ですよね。この曲が出来た経緯を教えて頂けますか?
MANAFEST:実はこの曲は最初、“East Coast Winter” と言うタイトルだったんだけど、 “Love Wide Open” と言うタイトルに変わったんだ。これを書いている時は、寒い路上の上で、絶望的な状況の中物乞いをしている人が思い浮かんでいたんだよ。曲自体はフェスに出演するため移動していた時、バンの中で骨組みを作り、残りをJoelと僕で書き上げたんだ。コーラスの部分を決めるのに、すごく長い時間がかかった曲でもあるよ。
── 日本盤ボーナス・トラックバージョンの “Cage” では、NOISEMAKERのAGがゲスト・ヴォーカルとして参加しています。
MANAFEST:めちゃくちゃカッコよく仕上がったよ!AGは本当に良いヴォーカルをしてくれたし、よりいっそう素晴らしい曲にしてくれた。アメリカのファンも日本のファンも、このヴァージョンを気に入ってくれると思う。
── 「The Chase」に収録されている “No Plan B” ではCrossfaithのKenta Koieをゲスト・ヴォーカルとして迎えていましたが、今後も日本のアーティストとコラボしてみたいと言う希望はありますか?
MANAFEST:うん、もちろん!!KentaもAGも素晴らしいコラボレーションをしてくれたし、またぜひやってみたいね!
── では最後に、今後のManafestの展望を教えてください。
MANAFEST:サイド・プロジェクトでヒップ・ホップアルバムを出すことと、MANAFESTとしてロック・アルバムをリリースすることかな!楽しみでたまらないよ!
Interview / Translation: Leyna Miyakawa