【FEATURES】The Color Morale, Newアルバム「Hold On Pain Ends」インタビュー 〜聴いてくれるみんなに希望を持って、ポジティヴな気持ちになってほしいと思っているよ〜
USはイリノイ州出身のポストハードコア/メタルコアバンドThe Color Moraleが、4thアルバムとなる「Hold On Pain Ends」を完成させた。2014年もVans Warped Tourの全日程参戦やUS、ヨーロッパ、オーストラリアなど各地を飛び回る過密なツアー生活を送っていた彼らだが、今作においてはヴォーカルのGarret Rapp自身がツアー中に目の当たりにした、若者たちの自傷行為や自殺未遂といった社会的な問題がテーマとなっている。苦難に直面しているあらゆる人々の役に立ち、希望を与えていきたいというThe Color Moraleは、どのような道を辿り本作を創り上げたのだろうか。Garretに訊いた。
“The Color Moraleのファンは、俺の人生そのものだ。彼らがいなければ、俺がこのバンドにいる理由は何もなくなってしまう。俺は一度だって、ロックスターになりたいと思ったことはないよ。”
──今作「Hold On Pain Ends」は、Garretが実際に出会ったファンの経験を元に制作されたそうですね。その経緯を詳しくお聞かせいただけますか?
Garret Rapp(以下Garret):昨年、ツアーに行く時は必ず物販のテーブルにいるようにしていたんだ。実はこの経験は、体力的にも精神的にもかなり厳しいものだったよ。でも、自分自身が前に立つことでどんな人がバンドを見に来てくれ、サポートしてくれているのかをどうしても見ておきたかった。そこで目にしたのは、長い行列に並んで俺に合いにきてくれた若い子たちの体中に、自分を切り刻んだ跡がくっきりと残っている光景だったんだ。そこで俺たちは彼らに対して、何の役に立ってもいないんじゃないか?と思ってしまった。だからこのアルバムは俺たちためではなく、彼らのために作ったんだよ。
──実際彼らに会って話を聞くことで、ご自身の中で共感する部分があったのでしょうか?もしくは、この現状を問題視されての行動だったのでしょうか。
Garret:どちらもあるかな。俺自身、何度も危機的な状況に陥ってきたし、神経が疲弊しきってしまったこともたくさんあった。多くのキッズは俺がバンドのヴォーカルだからという理由で尊敬してくれるし、目指すべき存在だと思ってくれるんだ。それなら、俺は完璧ではない今の自分自身をさらけ出して行きたい。俺も、まだ自傷行為なんてものを知らなかった14歳のころに、自らつけてしまったたくさんの傷が胸に残っているんだ。現在ではSNSがあって、ティーンが誰かの注目をすぐに得られる状況になっていると思うんだけど、とても残念なことに、自傷行為はその中で注目を浴びられるオプションの一つになっている。傷のサイズを自慢し合うような、下品極まりないSNSのページも存在しているんだ。すごくタチが悪いものだと思ってるよ。
──自傷行為といった問題は、人の心の奥深くに触れるテーマだと思います。歌詞においても、苦労される部分も多かったのではないでしょうか。
Garret:うん、実は歌詞に関してとても悩んだ。というのも今回歌詞の面でベースになっているものは、少なくとも、ポピュラーなものではないはないよね。でも結局、その根底にある部分がどうしても気になってしまう。いろんな段階でこの問題に直面しては解決していく、の繰り返しだった。一つの段階でものごとをクリアにすると、他の部分で悩んでいたことに対して、良い影響があったりもしたんだ。頭の中では常に、キッズは彼らがやるべきこと、なすべきことをするだけで正しいものだと思っていた。一方で、自傷行為による傷跡や、自殺未遂に大きく影響された人々や家族にもたくさん出会ってきたから、彼らに対する疑問のようなものもあった。いつもその葛藤の中で戦っている状態だったよ。
──若者を中心に捉えつつ、人々に存在する心の闇や孤独など様々な問題を取り扱った作品ですが、アルバムの頭文字を並べると「HOPE」となるように、全体として非常にポジティヴなメッセージ性を全面に打ち出しています。
Garret:このアルバムは最初から結末を迎えるまで、旅そのものなんだ。作品を通して難しい問題に立ち向かってほしいし、最後には聴いてくれるみんなに希望を持って、ポジティヴな気持ちになってほしいと思っているよ。
──ラストトラックである “Hold On Pain Ends” では、ファンを招きコーラスを収録されたそうですね。こういった構想は以前からあったそうですが、実際にやってみていかがでしたか?
Garret:やっと念願叶えることができて本当に嬉しいよ!「Know Hope」ではまだこうしてファンを迎えて何かをできる段階ではなかったから、個人的にも達成感のある作品になった。このアルバムは俺たちのファンに向けて作ったものだから、絶対に彼らに参加してもらって何かをしたいと思っていたんだ。常にファンを巻き込んで何かをできないか、俺たちがバンドであり続ける限りこの先もずっと模索していくつもりだよ。彼らなしに、俺たちは何も成し遂げられないからね。
──あなた方はファンとの繋がりを非常に大切にしている印象がありますが、彼らに対する想いなどお聞かせいただけますか?
Garret:The Color Moraleのファンは、俺の人生そのものだ。彼らがいなければ、俺がこのバンドにいる理由は何もなくなってしまう。俺は一度だって、ロックスターになりたいと思ったことはないよ。ただ、俺と似たような経験をしてきた人の手助けをしたいだけなんだ。 今は、自分の短所やこれまでにあった苦難に感謝することができている。その経験こそがこうした社会的な取り組みや、カウンセリングに役立っているからね。それらを混ぜ合って、The Color Moraleを作り上げているんだよ。
──今作では “Suicide;Stigma” にWe Came As Romans のDave Stephensが、 “Developing Negative” にChiodosのCraig Owensがゲスト・ヴォーカルとして参加していますね。
Garret:実はこの2曲は、それぞれDave StephensとCraig Owensのために書いた曲なんだ。彼らが俺の親友というだけでなく、2人とも非常に才能に溢れたアーティストだからね。俺自身がそうであるように、自分が信じる道へ直球で向かっている同士に作品へ参加してもらうことができて嬉しいよ。
──Garretはアルバムの中で “Developing Negative” が一番好きだそうですが、その理由を教えて頂けますか?
Garret:“Developing Negative” はすごく速くてアグレッシヴな曲だから、ライブで演奏するのが最高に気持ち良いんだ。Craigが歌い上げてるパートもめちゃくちゃカッコ良く仕上がっているよ。この曲は歌詞的にも音的にも、自分にとってすごく意味のあるものなんだ。
──“Outer Demons” や “Lifeline (Left To Write)” のような激情的かつヘヴィな曲もあれば、“Prey for Me” のように心の琴線に触れるようなエモーショナルな曲、そしてアコースティック・トラックである “Hold On Pain Ends” と、The Color Moraleの激しくもメロディアスな部分は継承しつつ、より幅広く洗練された楽曲陣が並んでいますよね。
Garret:Aaron Saundersと俺、そして外部の人も入れてこのアルバムを制作していったんだけど、自分たちをギリギリまで追い込んで曲の構成にこだわっていったんだ。結果として目標は達成することはできたと思うし、The Color Moraleとしての良さもそのまま残すことが出来たんじゃないかな。このバンドのとても良いところは、演奏面においても創作面においても、それぞれがやりたいことを恐れることなく取り込んでいける部分だと思うんだ。もちろん、次のアルバムにもその良さは受け継がれていくよ。もっとヘヴィになったり、以前のようなヴォーカルスタイルに戻るかもしれないし、逆にもうスクリームは入れないで、胸のうちを吐き出すようなアルバムは作らないかもしれない。まあ、次回をお楽しみに、ってことだね!
──期待しています。では日本のファンへ一言、メッセージを頂けますか?
Garret:本当に、日本に行ってみんなに会うのが待ちきれなくてたまらないんだ。TwitterやFacebook、Instagramでも良いから、いつでもメッセージを送ってくれ!そして俺たちの親友である、FACTやONE OK ROCKの活動も心から応援してほしい。大至急彼らと一緒にショウをしたい、と思っているよ!もしまだバンドや俺のTwitter /Instagramをフォローしていなかったら、@thecolormorale、@garretrappをぜひフォローしてくれ。日本のみんなに会えるのを楽しみにしているよ!
最新アルバム「Hold On Pain Ends」はTRIPLE VISION / Fearless Recordsから現在発売中。以下アルバム全曲ストリーミングをチェック!
Interview / Translation: Leyna Miyakawa
2 thoughts on “【FEATURES】The Color Morale, Newアルバム「Hold On Pain Ends」インタビュー 〜聴いてくれるみんなに希望を持って、ポジティヴな気持ちになってほしいと思っているよ〜”
Comments are closed.