【FEATURES】The Family Ruin, デビューアルバム「Dearly Departed」インタビュー 〜この作品を聴いてくれた人たちには、一つの旅を楽しむような感覚を味わってほしいんだ〜
UKメタルシーンの大本命として注目を集めるThe Family Ruinが、1stアルバムとなる「Dearly Departed」をここ日本でもリリースした。Asking Alexandriaの中心人物であるBen Bruceが惚れ込み、自らのレーベル= KBB Recordsに招き入れたというバックグラウンドを持つ彼らは、モダンなメタルコアサウンドにハードロック、メタル、パンクといった様々な要素を取り込んだ独自のサウンドでじわじわと世界中にファンベースを拡大中だ。今回はVo.のJohnny Mennellに、アルバムの制作秘話やレーベル契約の経緯などを語ってもらった。
“自分たちももっとショウでみんなが楽しめる曲を作っていきたい”
──AP Japanとしては今回が初のインタビューとなりますので、まずはバンド結成のいきさつを教えていただけますか?
Johnny Mennell(以下Johnny):もともとそれぞれのメンバーが違うバンドにいて、地元のヨークシャーで活動をしていんだ。でもお互いのバンドの解散の時期がたまたま重なってしまい、どうしても音楽を続けたい、という想いを持った5人が集まった。結成時からしばらくtheFALLENというバンド名で活動していたんだけど、KBB Recordsと契約した際に、バンドとしても新たなスタートを切りたい、と思ったんだ。それでもっと俺たちにピッタリなバンド名にしようということになり、今に至るんだよ!
──KBB Recordsとは、どのような経緯で契約を果たしたのでしょうか?
Johnny:Asking Alexandriaはヨークシャーの音楽シーンでも活躍していて大人気だったから、メンバーのことは知っていたんだ。Ben Bruceがソロプロジェクトとしてアルバムを作っていたとき、たまたま俺たちが一緒に作品作りをしたプロデューサーを迎えたらしくてね。そこでBenがレーベルを設立するという話になったらしく、そのプロデューサーが俺たちのことを推薦してくれたんだ。そこでThe Family RuinのEPをBenが聴いてくれて、あとは知っての通りさ!それからすごく順調に、バンドの活動を続けることができているよ。
──The Family Ruinのサウンドは、モダンなメタルコアサウンドとクラシカルなハードロック/メタルの要素の融合が素晴らしいですよね。今回のアルバム「Dearly Departed」において、その辺りは意識されたポイントなのでしょうか?
Johnny:いいや、それがそうでもないんだ。自分たちの感覚と閃きを信じて、本当に良いと思う音作りをしていったのは確かなんだけどね!俺たちはパーティ感覚の曲を作るのが好きなんだけど、その要素が、The Family Ruinのライヴをとてつもなく楽しい空間にしているんじゃないかな。そしてライヴに照準を置いた曲作り、という点においては、クラシカルなロックのヴァイヴが活きていると思うよ。
──「Dearly Departed」のリリースに先立って発表された “Let It Burn” は、へヴィながらも疾走感溢れる痛快なサウンドが非常に心地良い楽曲ですね。この曲をアルバムから最初にリリースした理由を教えていただけますか?
Johnny:俺たちは長いこと、自分たちよりも重く激しいサウンドを奏でるバンドと時間を過ごしてきたから、その影響は大きかったかな。まずはThe Family Ruinという存在を知ってもらうために、アルバム中でもかなりアグレッシヴな曲調の “Let It Burn” を最初にリリースしよう、ということになった。あまりスロウだったりソフトなタイプの楽曲だと、バンドに興味を持ってもらえないと思ったからね。
──一方で、その後ウェブにもリリック・ビデオがアップされた “Let’s Go” ではアンセミックなコーラスや切り刻んでいくリフ、滾るようなヴォーカルワークが折り重なる、クラシカルなメタルチューンに仕上がっています。
Johnny:実は “Let’s Go” を書いたのはけっこう前で、アルバムの中でもかなり古い楽曲なんだ。リフのセッション中に生まれて、そこから形になるまでがとてもスムーズだった。 制作の段階から自分たちもすごく気に入っていて、いざレコーディングしてみたら素晴らしい曲に仕上がってね。誰しもが歌えるような、ラジオフレンドリーなサウンドになっているんじゃないかな。
──重く濃厚な音像が叙情的に広がる “Us Against The World” やメランコリックなピアノのサウンドをフィーチャーした “Haunting”、哀愁漂う美しい旋律が展開していくラスト・トラック “Sonder” といったミディアムナンバーやバラードも印象的でした。
Johnny:今挙げてくれた楽曲たちは、すごくエモーショナルなサウンドに仕上がっていると思う。“Let It Burn” や “Let’s Go”はパーティやツアーにピッタリの曲なんだけど、アルバム全体をそういう曲調にはしたくなかったんだ。 いきり立つようなサウンドを詰め込むんじゃなくて、心の奥底に響き、残っていくものを作りたかった。この作品を聴いてくれた人たちには、一つの旅を楽しむような感覚を味わってほしいんだ。だから、同じスピードと激しさで駆け抜けていくのではなく、ダイナミックなアルバムになるように、こういった曲も入れようと思ったんだよ。
──なるほど。制作過程において、アルバムの方向性を決めるきっかけとなった曲などあるのでしょうか?
Johnny:これは決めるのがすごく難しいんだけど、“Bring Out Your Dead” に関しては、アルバムのオープニング・トラックにするために作ったんだ。1曲目に収録されている楽曲は、作品全体のトーンを決めるものだからね。この曲は俺たちのFamilyである、ファンのために作った曲でもあるよ。
──制作自体は、どのくらいの期間がかかったのでしょうか?
Johnny:今回の作品はこれまでに作った曲をコンパイルしたアルバムだから、2年以上はかかっているね。でもレコーディングにかけた時間は、トータルで3週間くらいだったよ。Sam GravesとJoe Gravesという俺たちの親友を迎えてレコーディングをしていったんだけど、スタジオでの作業はとても楽しかった。彼らはThe Family Ruinの音楽を、ネクスト・レベルに持っていってくれたと思う。Glamour Of The KillのMike Kingswoodともヴォーカルのセッションをしたんだけど、こんなに満足のいく結果を得られたのは生まれて初めてだったな。
──本作のリリースによってThe Family Ruinのファンベースがより拡大したと思うのですが、既に次作の構想などあるのでしょうか?
Johnny:実は既に、次のアルバムを作り始めていてね。もう2〜3曲は出来上がっていて、レコーディングの準備も整っているんだ。次の作品はもっとインダストリアルな要素をフィーチャーして、グルーヴィーなアルバムにしようと思っているよ。
──皆さんはこれまでAsking Alexandriaやblessthefall、Chelsea Grinといったバンドとツアーを行ってきましたが、彼らから影響を受ける部分などありますか?
Johnny:もちろん、毎回すごくインスパイアされているよ。どのバンドからも学ぶことが本当に多いし、彼らのライヴを毎晩見ることによって、自分たちももっとショウでみんなが楽しめる曲を作っていきたい、と改めて思うんだ。それに、ツアーでの経験はとても貴重なものだよ。常に楽しいことがたくさんあって、時にはパーティで激しく酔っぱらったりもするしね(笑)。
──2014年夏には、Crown The EmpireやIce Nine Killsといったバンドとともに、自身初となるUSツアーを行ったんですよね。
Johnny:そうなんだ。USでは素晴らしい時間を過ごすことができたし、新しい友達ができたり、新たなファンとの出会いもすごく多かった。今まで自分たちがやってきたツアーよりももっと大きな規模の会場ばかりだったから、オーディエンスの反応も凄まじかったよ!このツアーで、人生で最高の経験を得ることができた。でもUKやフィンランドのファンのリアクションもいつも熱狂的だから、ショウをやるたびに毎回感動するんだ。
──いよいよ1stアルバムがリリースとなりましたが、今後のバンドのヴィジョンを教えて頂けますか?
Johnny:まず2015年は、もっと大きな規模のツアーをたくさんやる予定だよ!USやUKはもちろん、日本でもこのアルバムをリリースすることができたから、それを祝うショウをぜひやりたいと思っているんだ。平行してアルバムの制作も続けて、いくつかミュージック・ビデオも作ろうと思ってる。The Family Ruinにとって、大きな意味のある年になりそうだね。
The Family Ruinのデビューアルバム「Dearly Departed」はTRIPLE VISION / KBB Recordsから現在発売中。以下アルバム全曲ストリーミングをチェック!
Interview / Translation: Leyna Miyakawa