【FEATURES】Alesana, Newアルバム「Confessions」インタビュー 〜直感を信じて、本能の赴くままに、自分たち自身の作品をようやく作ることができたんだ〜
Alesanaが4年ぶりとなるニューアルバム「Confessions」を完成させた。本作は、3rdアルバム「The Emptiness」、4thアルバム「A Place Where The Sun Is Silent」から続く、Annabel Leeという女性を取り巻くホラー・ストーリーを元にしたコンセプト・アルバムだ。この三部作は、「モルグ街の殺人」などで知られる作家、Edgar Allan Poeの詩「Annabel Lee」から着想を得て制作された。シリーズのフィナーレを飾る「Confessions」は、サウンド面においてもバンド史上最もプログレッシヴかつメロディアスな傑作となっている。自らのレーベル= Revival Recordingsを立ち上げたことで、しがらみに捉われず極限まで突き詰めて制作したという本作。その中に隠された真相とは?Vo./Gt.のShawn Milkeに訊いた。
“出来上がった作品に対しては100%満足しているよ”
──今作「Confessions」は「The Emptiness」、「A Place Where The Sun Is Silent」と続いて来たコンセプト、Annabel Leeシリーズの最終章です。なぜ、三部作でシリーズに幕を閉じようと思ったのでしょうか?
Shawn Milke(以下Shawn): 今がこの三部作を終わらせるのに、一番良いタイミングだったからだよ。昨年、Alesanaの10周年を記念したEP「The Decade」をリリースして、すぐにこの「Confessions」の制作に取りかかったんだ。Vo.のDennis Leeと僕で、アルバムの軸となるプロットの概要を仕上げていたから、それに基づいてこのAnnabel Leeシリーズの最終章を作っていったんだ。
──「The Emptiness」はEdgar Allan Poeの詩、そして「A Place Where The Sun Is Silent」はダンテの「神曲」がベースとなっているんですよね。それぞれジャンルの違う文学をコンセプトにしていますが、今回はMadeleine L’Engleのジュヴナイル作品、「Time Quintet」シリーズをモチーフにしています。なぜ今回、彼女の作品を選んだのでしょうか?
Shawn:Annabel三部作の最終章である「Confessions」には、タイムトラベルや多次元的な要素を含ませたかった。Madeleine L’Engleの作品にはそれらの要素が物語の中に多く出てくるし、長きに渡って、子供たちをそういった世界観の虜にしてきているんだ。もちろん、僕やDennisも含めてね。だから、彼女の作品をトリビュートしたいと思ったんだよ。
──タイムトラベルや多次元的なものを取り入れようと思った理由について、詳しく伺っても良いですか?
Shawn:このアイディアは、最初から決まっていたんだ。「The Emptiness」と「A Place Where The Sun Is Silent」でそれぞれの背景を描き、この「Confessions」で、主人公であるAnnabelについてのストーリーを描こうと思っていた。前の二作とは全く違った時間軸と場所という視点からね。だから、タイムトラベルや、多次元的なものを含ませたいと思ったんだ。
──長きに渡って続いてきた三部作のラストということですが、歌詞の面で制作作業はいかがでしたか。
Shawn:「Confessions」に収録されている楽曲陣は、今までで一番スムーズに歌詞が出来上がっていったよ。
──オープニング・トラック “It Was A Dark And Stormy Night” とラスト・トラック “Catharsis” にはそれぞれ、Have you ever actually seen yourself without a mirror?” = 鏡を通さず自分を見つめたことがあるか?というフレーズが出てきます。この言葉が繰り返しアルバムで語られるのには、どんな理由があるのでしょうか?
Shawn:人は、「自分自身がどんな人物で、どんなものを持っているか」を振り返って見つめることが、すごく少ないと思うんだ。この作品の中ではみんな「Annabelとはどんな人物なのか」という部分について色々と推測すると思うんだけど、実際には目で見える以上のものが込められている。「Confessions」では、Annabelは自分自身の真の姿を見つめなくてはならなかったからね。
──サウンド面では、Alesana特有の激情的なメロディアスさやキャッチーさは残しつつ、よりプログレッシヴで攻撃的な音像へと進化を遂げましたね。
Shawn:まさしく、プログレッシヴな作品になったよ。「Confessions」は僕のレーベルであるRevival Recordingsからリリースしているから、自分が納得いくまで突き詰めて作品を作ることができた。今までのように「このくらいの長さの曲にしなくちゃいけない」とか、「売れるためにはこういう音にしなくちゃならない」っていう制限はなかったからね。直感を信じて、自分たち自身の作品を作ることができた。本能の赴くままに作品を作ってみたいとずっと思っていたけど、今回ようやくそれを叶えることができたんだ。
──制作過程はいかがでしたか?
Shawn: すごく集中して取り組んだ。制作とレコーディングに締切を設けて、そこへ向けて急いで作っていけるようにしたんだ。すごく疲れたけど、出来上がった作品に対しては100%満足しているよ。これまでの人生の中で、一番力を振り絞って創り上げたアルバムだからね。
──どの楽曲も三部作のラストに非常に重要なパーツになっていると思いますが、ストーリーを読み解くうえで重要な楽曲を敢えて挙げるとすれば、どの曲になりますか?
Shawn: ストーリー的にいうと、間違いなく “Paradox” だね。この曲の中では、物語の大きな真実が明かされている。音楽的に言えば “The Puppeteer” かな。今までAlesanaが作ってきた曲の中で、一番プログレッシヴなサウンドになっているよ。
──その “The Puppeteer” をはじめ “The Goddess” や “Through The Eyes Of Uriel” など、非常に美しくドラマティックで、鮮烈なコーラスを聴くことができますね。
Shawn: コーラスはAlesanaのサウンドに不可欠な要素で、かなり集中して作り込んでいくんだ。曲に関してはカオティックでプログレッシヴなものにしていこうというアイディアだったけど、コーラスに関しては、言わば息を飲むようなものにしたいと思っていた。Alesanaの楽曲ではダイナミックさがキーになっていて、そのサウンドを覆う鋭いコーラスは、曲をより不思議な雰囲気に仕立て上げていると思うよ。
──アルバムのラストを飾るのは、 “Catharsis” = 浄化、という意味のタイトルを持つ楽曲です。この曲を最後に持って来た理由を教えていただけますか?
Shawn:この曲にたどり着くまでにすべてのストーリーが複雑に絡んでいたけど、ここで一気に解放されるんだ。作品を通して感じて来たあらゆる感情がここで解き放たれて、やっとそのすべてに説明がつく。だから、この曲をラストに選んだんだよ。
──日本盤のボーナス・トラックは、CDには未収録だった “Fatima Rusalka” となっています。この曲も、Annabel Leeシリーズにおける重要な意味を持つ楽曲なんですよね。
Shawn: “Fatima Rusalka” は「A Place Where The Sun Is Silent」と「Confessions」のブリッジ的な役割を果たす曲なんだ。「Confessions」の重要な内容を示す曲でもあるよ。
──Alesanaの楽曲は文学が軸になっているものが多いですが、あなた自身がAlesanaのファンに読んで欲しいと思う本はありますか?
Shawn: Paulo Coelhoの「The Alchemist」(邦題:「アルケミスト – 夢を旅した少年」)と、Albert Camusの「The Stranger」(邦題:異邦人)だね。今すぐ読んでみて!
──Alesanaは過去にSCREAM OUT FESTでのヘッドライナー公演を含め、3度の来日を果たしています。また日本でショウを行う予定などあるのでしょうか?
Shawn: 日本は、世界で最も好きな国の1つなんだ。日本でのショウは、忘れられないくらい素晴らしいものだった。またすぐに日本に行ってショウを開いて、「Confessions」の曲をみんなと共有したいな。
──では最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
Shawn: 長いことAlesanaをサポートしてくれて、本当にどうもありがとう。君たちがいなかったら、僕らはここにはいられていない。すごく感謝しているよ!
Alesana「Confessions」
2015.6.24 In Stores
TRIPLE VISION entertainment
TRVE-0116 / ¥1,800(w/o tax)
Interview / Translation:Leyna Miyakawa