【FEATURES】Worthwhile, Newアルバム「Old World Harm」インタビュー 〜聴いてくれる君が、このアルバムの中に希望を見出してくれるといいと思ってる〜
APフリーペーパー8月号に掲載!
本誌の新人プッシュ企画「36 Bands You Need To Know 2015」にも選出したサンフランシスコ出身メロディック・ハードコアバンドWorthwhileが今年InVogue RecordsからHopeless Recordsに移籍。2枚目となるNewアルバム「Old World Harm」で遂にKICK ROCK INVASIONから日本デビューをを果たした。今回ボーカリストのJames Teylerにバンドの経歴からNewアルバムまでを語ってもらった。
“最も恐れるべきことは、夢を叶える前に死ぬことじゃない。ずっと夢見ていたことを叶えても、自分が死んだような気分でいることなんだ。”
──AP JAPANとして始めてのインタビューになりますので、バンド結成の経緯から教えていただけますか?
James Tayler(以下James): 弟のLukeと僕、それに友達と何人かで2009年に音楽を作り始めたのが最初だね。始め数年間は音楽性にも色々変化があったし、バンドのラインナップもコロコロ変わっていたんだ。それで僕が2010年に、大学のためにLAへ引っ越してね。Lukeはまだサンフランシスコのベイ・エリアにいたんだよ。その時僕たちはどうしてもメロディック・ハードコアのアルバムを作りたいと思っていたから、お互いにアイディアを送り合ったりしていた。300マイル離れた場所にいたけど、一緒にアルバムを作って行ったんだよ。ちょうどアルバムを仕上げようとしていた頃に、今のギタリストであるDanielとJoe、そしてベーシストのKyleと大学で出会ったんだ。彼らは僕たちの作った曲を絶賛してくれて、「Carry On Kid」を一緒という作品を一緒に磨き上げてくれたんだ。
──最初ポップパンク/エージーコア寄りのサウンドでしたが、1stアルバムでTouche Amoreなどのような今のメロディック・ハードコア・サウンドにシフトしています。なぜ今のサウンドにシフトしたのでしょうか?何かきっかけはあったのですか?
James: 僕たち聴いてくれる人にインスピレーションを与えられるような曲を作っていきたいと考えている。歌詞の面でも、音の面でもね。これまでリリースしたアルバムでは、歌詞とサウンド、その両方においていかに雰囲気をマッチさせていくか、という部分に、全力を込めて来た。そしてバンドを続けていくにつれて、音楽を作ることに対して長く向き合うことができ、同時に今までを振り返ることもできた。今回は、これまで作って来たすべてのリフやフィル、そして歌詞を楽曲に反映させていくことができるように力を入れて、自分たちが納得のいくものを完成させられるように努力したよ。
──今年AP「100 Bnads You Need To Know」そして本誌「36 Bands You Need To Know 2015」にも選出されたことについて、どう思われましたか?
James: すごく光栄なことだよ!バンドを始めた頃、こんなことになるなんて想像もできなかった。APが僕たちに可能性を感じてくれたなんて、とてもクールなことだよね!彼らの判断は正しかった!と言われるようにならないとね!
──InVogue RecordsからHopeless Recordsに移籍して初のリリースとなるわけですが、Hopelessと仕事をしてみていかがですか?
James: 僕たちはHopelessと一緒に仕事をするのが、好きでたまらないんだ。WorthwhileがHopeless Recordsに所属した当初から、素晴らしい時間を過ごしているよ。Hopeless Recordsの仲間に入ることができたなんて、夢のようなんだ。僕自身が大好きなバンドたちも、Hopeless Recordsに所属しているしね。Hopeless Recordsのウェブサイトをスクロールして、伝説のバンドがたくさんラインナップされている中に、僕たちの名前が出てくるのを見るとつい笑ってしまうんだ。とても誇りに思っているよ。
──今年はじめにはレーベルメイトになったTrophy Eyesとオーストラリアツアーも行っていましたね。
James: ヤバかったよ!僕たちはTrophy Eyesの連中が大好きでね。めちゃくちゃイイ奴らなんだよ!彼らの母国で一緒にライヴをすることができて、本当に楽しかった。すべてのショウが、最高の瞬間だったよ。素晴らしい人たちにもたくさん出会うことができたしね。美しいビーチに行ったり、コアラを抱っこしたり、ベジミートを食べたり……これはすごくマズかったけど(笑)、すべてがとても良い思い出になった。Trophy EyesとAmblesideと一緒だったからこそ、またオーストラリアに行くのがこんなに待ちきれなくなっているんだ。
──Newアルバムについて聞かせてください。今作はDefeaterのJay Maasを迎えて制作したそうですが、何故彼を選んだのでしょうか?また彼との作業はいかがでしたか?
James: お世辞を言うつもりは全く無いんだけど、僕たちは彼のバンド、Defeaterが本当に大好きだから、どうしてもJayと一緒に仕事をしたいと思っていたんだ。Invogue Recordsから「Carry On Kid」をリリースしてから、アルバムをリミックス・リマスターしてくれる人を探していて、その時にJayの名前がふと頭に浮かんだんだよ。彼の仕事が素晴らしかったから、ニューアルバムではその一部を彼にぜひ担ってほしいと思っていた。実はJayと会ったのは、ボストンにある彼のスタジオ、Old World Harmでドラムのトラッキングをした時だったんだ。彼が最高の仕事をしてくれることは知っていたし、実際にそうしてくれた。Jayは超一流の仕事ぶりを見せてくれたから、とてつもなく良い時間を一緒に過ごすことが出来たんだ。Jay、愛してるよ!
──前作の流れを汲みつつも、今作ではよりボーカルが前に出てきていて、歌がより伝わってくる印象を受けました。歌詞を伝えるという部分は意識されているのでしょうか?
James: 僕は歌詞を書くのが大好きでね。「Old World Harm」を作る時は、これまでよりもさらに時間をかけて、歌詞を書いていったんだ。実は歌詞を書くのって僕にはすごく辛くて、長い時間なんだ。というのも、言葉を組み立てていくにあたって、完璧なものを仕上げたい、と常々思っているからね。音だけを何ヶ月もかけて作っていってスタジオに入り、前の晩にサラっと書き上げただけの歌詞をつけるのは、ちょっと哀しいから。僕自身は、何の意味も持たない曲は絶対に書きたくないと思っているんだ。
──今作のアルバムタイトル「Old World Harm」に込めた意味や、アルバムを通してのコンセプトなどがあれば教えてください。
James: まさにこのアルバム、「Old World Charm」の内容そのものを決定づける言葉だよ。実は去年、古い文学をたくさん読みあさっていたんだ。その中に漂うヴァイヴだったり、イメージ、象徴、そしてそこに使われている言葉が大好きだった。だから今回のアルバムには、その時僕が感じた古き良き雰囲気を漂わせたいと思っていた。これは隠すことができる事実ではないと思うんだけど、この世の中って、完璧からはほど遠いよね。何世代にも渡って、同じようなミスを何度も何度も繰り返してる。例えば薬物の乱用や女性蔑視、正義がいつまでも認められない、とかね。このアルバムではそんな世界を僕自身の、少し皮肉な色味も入ったものの見方で表しているんだけど、それが「Old World Harm」という言葉に結びついたんだ。
聴いてくれる君が、このアルバムの中に希望を見出してくれるといいと思ってる。アルバムに収録されている曲には、悲しい出来事を通じて得た様々な出来事や、経験が込められているんだ。過去に、僕たちの人生を壊しかけたものを表現するために、ストーリー仕立てになっている曲もある。そして、このアルバムで一番言いたいことは、最後の曲のサビで表されていると言ってもいい。それは「The scariest thing is not dying before you reach your dreams, but reaching them and still feeling dead=最も恐れるべきことは、夢を叶える前に死ぬことじゃない。ずっと夢見ていたことを叶えても、自分が死んだような気分でいることなんだ。」という歌詞だよ。このアルバムの中には、聴いてくれる人たちに気づいてほしいことがたくさん詰まっている。人は人生を送るにあたって、どんな時間を過ごしていくかを選ぶことができるよね。そのことに対してよく考えて、生きていってほしいんだ。
──今作で特にお気に入りの曲はありますか?
James: 難しい質問だね!“A Fool’s Paradise”は、僕が書いた曲の中でも一番悲しく、困難な内容を歌った曲になっていると思う。これは、性の売買に関する曲なんだ。この問題を解決し世界から根絶させるために、僕たちは全身全霊を込めてアクションを起こさないといけないと思ってる。だから、アルバムの中で最も重要な曲だよ。あとは “Hollow Son” と “A Name, Two Dates, and a Phrase” が、個人的にも好きな曲かな。
──最後に日本のファンにメッセージをお願いします!
James: みんな、大好きだよ!日本のみんなが僕たちの曲を知ってくれているなんて、信じられないくらいだ。はやく日本という美しい国に行って、みんなに会い、ショウをやって一緒に盛り上がりたくてたまらないよ!
Worthwhile「Old World Harm」
In Stores Now
Hopeless Records / KICK ROCK INVASION
EKRM-1316 / ¥1,800(w/o tax)
テキスト:Nobuya Fukawa / Translation:Leyna Miyakawa