【REVIEWS】Picturesque – Monstrous Things 〜新たなる神の声、降臨〜
Released: 11/20/2015 – Equal Vision
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また圧巻の声を持ったボーカルを擁したバンドの登場だ。米ケンタッキー州レキシントンで結成後、自主制作で発表されたEPでいきなり注目を集めた彼等。その凄まじきポテンシャルを大きなレーベルが見逃すはずもなく、多くのレーベル間での争奪戦の末にEqual Visionが獲得。そしてレーベル契約後初となるEPがリリースされた。これまでSaosinやA Skylit Drive、Secret&Whisper、Sleeping With Sirensを筆頭に数々のハイトーンボーカルを産み出してきたポストハードコア界だが、個人的にも久々に琴線をバシバシ刺激された声質を持つKyleのボーカルがとにかく凄い。透明なまでにひたすらハイトーンのボーカリストはもはやそこまで珍しくなくなってきた昨今ではあるが、要所要所で子供が泣きじゃくるように捲り上げる唄い方はCirca Survive/SaosinのAnthony Green、Sleeping With SirensのKellin Quinnに続いて3人目だろう。そして、Saosin やHands Like Houses等を手掛けてきたErik Ronが手掛けた奥行きのある立体的なサウンドメイクを施したプロダクションで、彼の声は最大限にフィーチャー。
耽美に低音の情念を感じさせるスタートから徐々にエモーショナルな展開を持ち、途中ではヘヴィなパートも顔を覗かせるタイトルトラック “Monstrous Things”。カッティングとメジャーコードを使いながら、サビでは一気に刹那のメロディーが溢れる “Just Exist”。そしてMVにもなっている彼等の代表曲といえる “Speak Softly” は、Equal Visionらしさ全開なアトモスフェリック感。プログレッシヴなフレーズとリズムを多用しながら、アンセミックなサビを持つ “Who We Are”。正当派ポストハードコアの系譜に名を連ねるサウンドとハイトーンを、最大限に発揮した “One of Us”。作品随一の退廃的な世界観とスケール感を叩きつける “Unannounced”。EPにしてはかなりのボリュームを持った作品だが、このバンドはまだまだ化ける。
Picturesque「Monstrous Things」
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テキスト:Yuji Kamada