【FEATURE】Their/They’re/There, Owen, Into It.Over It. Japan Tour 2013ライヴレポート@10/28 新代田Fever
ex.〜という説明も最早不要、インディー/エモ界最強の唄心として確固たる地位を築いたOWENことMike Kinsellaが7枚目の新作を携えて約1年半振りの再来日。今回はそのOWENとしてだけでなく、自身が再びドラマーとして新たに結成した新バンドTHEIR/THEY’RE/THERE、そして同バンドでVocalをとる新世代大注目アーティスト、Evan Weissのソロ・プロジェクトであるINTO IT. OVER IT.というシカゴの新旧最強のメンツによるカップリングツアーとなった。ツアー初日新代田FEVERにお邪魔した。
週アタマのド平日にも関わらずチケットはソールドアウト(!)ともあって、会場はパンパン。仕事終わりに駆けつけたであろうスーツ姿の方もチラホラ、思ってた以上に年齢層は高め。
本日のサポートアクトはCOMEBACK MY DAUGHTERS。長い事PIZZA OF DEATHに所属していた彼等だが、最新作から移籍。そんな最新作から雄大かつ深遠な「21 years old」で幕を開け、MARITIME直系の「Alone in the dark」等、エヴァーグリーンだったりアンニュイだったり甘酸っぱさの底にはしっかりとした円熟が光る素晴らしいLiveだった。OWEN初来日時もサポートを努めた彼等も結成して約15年。彼等を知らない若い世代にも確実に刺さったであろう。1stのタイトルトラックである彼等の鬼名曲「Spitting Kisses」も演奏され思わず涙腺が緩んだ。
続いてはINTO IT. OVER IT.の登場。先で書いた様にEvan Weissのソロ・プロジェクトなのだが、この初来日となったEvanの魅力全開のパフォーマンスとなった。元々Equal Visionに所属していた最上級ポスト・ハードコアDAMIERAを始めとした数々のインディー・バンドを渡り歩いてきた現USインディー界最注目と謳われる逸材。アコギ一本という極限のミニマルな編成ながら既存の弾き語りとは一味も二味も異なる、エモやインディーとだけ表現するには言葉足らずなサウンド。自身のフェイバリットとする、EVERYONE EVERYWHEREの秀逸なカバーも披露。自然体なパフォーマンスながら、力強く、時に繊細に鳴らされる圧倒的なメロディーラインで会場を一気に自身の世界へ誘っていた。
続くはOWEN。個人的にはずっと都合が合わず、2007年O-EASTで行われた兄のTim率いるMAKE BELIEVEとのカップリング来日以来だったので本当に久しぶり。前回来日公演時はiPodを使ってバックトラックを流しながらだったが、今回は完全にアコギ一本。一音一音爪弾かれるアルペジオから零れ落ちるエモーション。以前見た時と比べて比較にならない程、深みと安らぎを増した温かな唄声。一対一で話すかの様にオーディエンスと語り合い、ハミングを交えて進行していく様はまるで自宅に招かれたと錯覚すら覚える程。大げさでも何でもなく。新作からの楽曲は勿論、全体的にはリラックス感溢れる空気感の中鳴らされる数々の楽曲だったが、名曲「The Sad Waltzes Of Pietro Crespi」だけはとりわけ力強く届けられていたのが印象的。その他にも名曲の1フレーズが流れる度に歓声があがっていた。至極の時間とはまさにこの事。ん〜たまらぬwww
そしてパフォーマンスを終えたMike、Evan、さらにMatthew Frank (ex-Loose Lips Sink Ships, pre-Lifted Bells)が登場。新旧エモ~ポストロックのキーパーソン達による夢の様な共演バンドTHEIR/THEY’RE/THEREがいよいよ登場。
必要最低限のサウンドで鳴らされた2アクトの後だった事もあったのか、発表されたデビュー作の音源より遥かにオルタナティヴなサウンドで、一曲目「Their / They’re / Therapy」から会場大爆発!Mikeのカウントを遮り、なかなか曲を始めないEvanのパフォーマンスで笑いを誘ったりと、メンバー感の息もぴったり(笑)。
何よりもCDで聴く限り未だにわかに信じがたかったMikeのドラミングには心から感涙だった。OWENやAMERICAN FOOTBALLでの彼とは異なる、CAP’N JAZZやOWLS、JOAN OF ARCでのプログレッシヴさを持ち合わせながらもそのどれよりも躍動感と疾走感溢れるパワフルな生ドラムをこの目で拝めるなんて(泣)。
そんなドラムにしばし目と耳を奪われていたが、そこにテクニカルで流麗なリフとノイジーなフレーズを使い分けるバカテクなMatthewのギターサウンドが入り交じる。さらにその中をEvanの実直な唄声が突き抜けて行く様は、正にエモーションの真骨頂。静と動の狭間を変幻自在に行き来する、息もつかさぬタイトなアンサンブルは至極としか言い様なし。デビュー作からに加え、12月にリリースされるNew epから「New Blood」もいち早くお披露目。さらにはSUPERDRAGのカバーも演奏され、それだけでも貴重な選曲だったが、さらに僕達を熱狂させたのは、アンコールに持ってきたSUPERCHUNKのカバーだっただろう!!これには皆相当テンション高ぶっていたなぁ(笑)。
それぞれのアーティスト達の向いている方向は一貫していたものの、自身のソロ、そしてバンドとしての個々の引き出しの量をは圧倒的であり、全体を通しても非常にセンスフルで上質な空間だった。全てのアクトを知らなかった方もいたかもしれないが、これだけ素敵なアーティスト達のパフォーマンスの後だ。終演後の物販も大賑わいをみせていたのも必然。残念ながらツアーファイナルの下北沢ERAもソールドアウトとなっているが、まだこれを書いている時点で他公演は若干チケットもあるとの事。予定が合う方は是非、後に確実に伝説としても語られるであろうこのツアーに足を運んで欲しいと心から思う。
今後のツアー日程は以下。
2013/10/30 (Wed) 京都 METRO
2013/10/31 (Thu) 大阪 CONPASS
2013/11/1 (Fri) 長野 松本ALECX
2013/11/2 (Sat) 東京 下北沢ERA
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
写真:Nobuya Fukawa
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