【FEATURE】Hellogoodbye “Everything Is Debatable” SPECIAL LIVE in Tokyoライヴレポート @ 3/12 渋谷 CLUB QUATTRO
予定されていた東京公演が震災で中止となった2011年4月。「必ず戻ってくる。」 という言葉通り、そこから約3年の時を経てHellogoodbyeが再びここ日本へ帰ってきた。
Drive-Thru Recordsからデビュー後、エレクトロを取り入れたパンク/ポップのパイオニアとして、その後もサウンドを徐々に進化させながら活動してきた彼等。2013年にリリースされた最新作「Everything Is Debatable」は、Fearless Recordsが新たに設立したレーベルであるOld Friends Recordsへ移籍後初となる作品(国内盤はKick Rock Invasion)だったが、ワールドワイドで軒並み好評価となった一枚だ。本国でも多忙な中、たった一日、あの時の約束を果たす為に再来日を果たし開催されたプレミアムな夜をレポートする。
キラキラとしたシンセが流れ、「ハロートーキョー」 とゆる〜く始まった “And Everything Becomes a Blur”。フロントマンForrestのナードな佇まいは相変わらず微笑ましい限りで、このタイトル含めたシニカルな歌詞も彼以上に唄っていて似合うフロントマンはいないだろう(笑)。続いては等身大ながら、円熟感ある演奏とレトロかつエバーグリーンなサウンドで心地よい空気が会場内を包み込んでいく “The Magic Hour is Now”。そして「三年振りに日本に帰って来れて、本当に嬉しいよ。」とMCを挟み、あの時も演奏される予定だったであろう “When We First Met” が披露される。バンジョーの音色と力強いドラムに観客も大きな手拍子で応えていく。きっと自分だけでなく、このいつ聴いても初恋の甘酸っぱい記憶を蘇らす様なメロディーに、キュンキュンしながら手拍子していたんじゃないかなぁ。本当に大好きな一曲だっただけにようやくこうして生で聴く事が出来て嬉しかったです、はい。
続く “Getting Old” でもバンジョーだけでなく牧歌的な世界観と、穏やかながらゴージャスなインディーロック要素を融合させていく。Maritimeの様にリバーブの効いたギターと軽やかな疾走感を持つ “When We First Kissed”、そして唄い出しから大きな歓声の上がった “Oh, It Is Love” へ。時に囁く様に、時に感情を叩きつける様に唄い上げるForrestのボーカルと彼等なりの解釈で鳴らされるパワーポップ全開のサウンドは、音源以上に緩急ついたアレンジになっていたのがとても印象的だ。“Swear You’re in Love” でダンサブルなリズムとトロピカルなエフェクトを使って会場全体を徐々に横ノリにした後、ここで披露されたのは初期からの名曲 “Here (In Your Arms)” !音源と変わらずヴォコーダーを駆使しながらも、Foster The People顔負けのジャム感溢れる間奏には鳥肌が立ちまくりだったが、その全てにおいてポテンシャルとバンドの今を詰め込んだ素晴らしいアレンジで披露された。この日来た方は、このバージョンを聴けただけでも元をとれたでしょう(笑)。そして最新作でも80’sからの影響を最も強く打ち出した “Just Don’t Let Go Just Don’t” でのニューロマネスク感満載なサウンドでは、唄いながらも気持ちよく踊るForrestに釣られ、場内は完全にダンスフロア化。こうしてドンドンと熱を帯びていく場内の温度をキープしつつ、そこに冷涼感ある風を吹き込んでいくかの様な最新作リードトラック “(Everything is) Debatable” でアーバンに本編は終了した。
しかしまだまだ踊り足らないと熱狂するオーディエンスのアンコールに対して、Forrestがすぐ登場(笑)。ほんとすぐ出てきた(笑)。ウクレレを片手に “The Thoughts That Give Me The Creeps” の弾き語りがスタート。そこに続々と他のメンバーが登場し、徐々にバンドサウンドへと変貌していく楽曲を完璧に再現した。早くもラストは “Finding Something To Do”。変幻自在に疾走しながらもオモチャ箱をひっくり返した様なサウンド、そして絶対ここは皆でコーラスだろうと思っていたバースもバッチリ決まり、場内大円団状態で華々しいフィナーレを飾った。
前回東京公演のキャンセルもあってか、意外と1stフルアルバム「Zombies! Aliens! Vampires! Dinosaurs!」から最新作3rdまで幅広いセットリストで組まれたこの日。冒頭でも書いた通り作品をリリースする度にサウンド自体は徐々に変化しつつあるものの、こうして初期から最近曲まで並べて演奏されても違和感が無いのは、初期から変わらぬForrestの生み出す愛すべきメロディーと世界観がこうしてずっとあるからなのだろう。これからもその温かくも愛くるしいメロディーが届けられるのを待ち望むと同時に、もっともっと多くのリスナーに届いて欲しいと感じた一夜であった。次回は是非もっともっと沢山の曲を聴かせて欲しい。
テキスト:Yuji Kamada
写真:Nobuya Fukawa