【FEATURE】The Used, Newアルバム「Imaginary Enemy」インタビュー
約2年ぶりとなるThe Used待望の新作『Imaginary Enemy』がここに完成した。2011年にはそれまで所属していたWarner Music/Reprise Recordsを離脱し、自らのレーベルであるAnger Music Groupを設立。翌年2012年には5thアルバム『Vulnerable』、そして2013年にはEP『The Ocean of the Sky』をリリースするなど、近年もバンドの勢いは加速し続けている。ここ3年ほどで自らを取り巻く環境は大きく変化していったようだが、その姿勢がブレることはなく、エモ/スクリーモ界の重鎮として常に最高峰のエンターテインメントを描き出してきた。そんな彼らのニュー・アルバムは、この暗い時代を必死で生き抜く人類すべてへ向けた作品なのだという。今回はベースのJephに、アルバムの内容やバンドの歴史まで時にシリアスに、時にユーモラスに、たっぷりと語っていただいた。
“人類は自分たちの力を取り戻すべきだよ。戦争や差別はもうたくさんだ。”
── まず、アルバムからの1stシングル「Cry」についてお聞きしていきたいと思います。なぜ、この曲をシングルカットしようと思ったのでしょうか?
Jeph: 僕たちは去年、『The Ocean of the Sky』と言うEPをリリースしたんだ。「Cry」と言う曲はそのEPと、今作の『Imaginary Enemy』との音やヴァイヴスの違いが表れているから、二枚の良い懸け橋になると思ったんだよね。
── 「Cry」では、久しぶりにBertのスクリームがフィーチャーされていますよね。
Jeph: そうだね。バートはその時の感情をこめて曲を書いているから、その感情にスクリームがフィットする、と感じたら入れるんだ。僕はつま先をぶつけるか、足を滑らせたときによく叫ぶけどね(笑)!
── 「Cry」のミュージック・ビデオは、THE USEDらしいエッジィなビジュアルが美しく、まるで映画のようでした。このビデオのコンセプトなどあれば聞かせてください。
Jeph: ビデオに関しては、ドラマティックさを演出しつつシンプルに仕上げたいと常々思っていたんだ。そこへ、「Cry」と言う曲に対して明確なビジョンを持ったGus Blackがコンタクトしてきてくれて、そのアイディアを送ってくれた。何度も何度もやりとりを重ねて、やっとああ言ったビデオに仕上がったんだ。ストーリー性よりも、ビジュアル的な部分で映画のような仕上がりにしたかった、と言うこだわりがあったからね。
── Gus Blackがあなたたちのビデオを手がける初めてだと思いますが、なぜ彼を監督として迎え入れたのでしょうか?
Jeph:彼なら凝り固まった複雑なものにすることなく、「Cry」のと言うイメージを完璧に映像で表現してくれる、と思ったからだよ。
── なるほど。今回のアルバム『Imaginary Enemy』は、タイトルやアートワークからも、ポリティカルな印象を受けました。昨年リリースしたEP『The Ocean of the Sky』もそのようなイメージがありましたが、なぜ政治的な要素を取り入れようと思ったのでしょうか?
Jeph: 今、悪夢の中に生きている人たちに目を覚ましてほしいと思ったからだ。僕たちはみんな平等で、自由だ。会社、銀行、欲は国や人生のルールじゃない。人類は自分たちの力を取り戻すべきだよ。戦争や差別はもうたくさんだ。そう言ったものが無くなり、世界が一つになってほしいから、今回のようなイメージになったんだ。
── そうだったんですね。音についてもお聞きしたいのですが、前作の『Vulnerable』ではヒップホップやドラムンベースのサウンドも取り入れていましたよね。本作ではそう言った要素は抑えられ、コーラスやメロディー、リズムの美しさにフォーカスしているように感じました。今回のアルバムのサウンドプロダクションにおいて、特に意識したのはどんな部分なのでしょう?
Jeph: そうだね……あえて言うとすれば、このレコードには、僕たちが過去にやってきたものも反映させたんだ。例えば、ブリッジやコーラスなんかは、以前僕たちが作ったものベースになっていたりする。僕自身は、やりたい、と思ったことをすべてこのレコードに詰め込んだつもりだよ。このアルバムを制作している時はすごく集中していたけど、実は最後までどんな音になるかまったく想像がつかなかったんだ。
── EP『The Ocean of the Sky』はロウ・ファイな音にこだわって制作されたそうですが、今作でもそう言ったこだわりはあったのでしょうか。
Jeph: 実は僕たちは、ロウ・ファイな音が大好きでね。日本のバンドで、Borisっているだろ?あのバンドの作りだす音は素晴らしいし、最高だよね。『Imaginary Enemy』はこれまでの僕たちの作品と、ロウ・ファイな音で作った『The Ocean of the Sky』との中間になるアルバムなんだ。完璧に作り上げられた音よりも、生々しさも含んだクリーンなロックサウンドを目指したんだよ。個人的には、もっと荒々しいライブのような音にしても良かったかな、とも思うけどね。
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