【REVIEWS】Carousel Kings – Unity 〜 目が覚めるほどの「青」を持つポップパンク 〜
Released: 4/22/2014 – CI
自分の体験を綴ったリアルな歌詞。ハードコアやオルタナティヴに歩み寄ったサウンドやメロディーライン。コアであればある程クールであるという、メロディーそのもの以上に空気感だったりアーティスティックさ、オリジナリティーがフィーチャーされる事が多くなってきた昨今のシーン。元々は、メロディーやポップネスの探求が飽和状態になってきた故のアゲインストとして派生した時流ではあると思うが、今度はこっちが増えてきた。パンクやハードコアに限らず、これまで音楽シーンのトレンドはいつだってメジャーとマイナーのシーソーゲームだった訳だが、個人的にはChunk! No Captain Chunk! に代表される、バランスの良いサウンドを鳴らすバンドがもっともっといても良いんじゃないかとも思っていた。
そんな中、2008年に米フィラデルフィアで結成され、初期こそEasycoreの括りで語られがちであった彼等が痛快なまでにキャッチーな新作を発表してきた。2009年に自主制作で発表されたEP時から彼等の武器であるヘヴィなギターサウンドはそのままに、俄然キャッチーさの増した “Headphones” や “Free”。 “Stuck” での切ないメロディーラインやエモメロ度合いに磨きをかけた “Cycles”。メロディックハードコアの要素を打ち出した “Change” や超ファストな “Chainsaw”。そしてA Loss For Wordsっぽさも感じられる “Mistakes” といった男らしい楽曲も収録。前作に続き今作のリリース元であるCI Recordsの看板バンドTexas In Julyから、昨年脱退してしまったフロントマンAlex Goodが強烈なスクリームを披露する一分強のハードコアソング “Zombie” も然り、これまで通りハードコアの要素はありつつもどの曲も空を見上げる様な青空感を持つ圧倒的バランス感覚。そして同時にChunk! No Captain Chunk! やFour Year Strongともまた異なる、キャッチーさを持ち合わせるメロディーラインがとにかく秀逸な一枚だ。決して目新しさがある訳ではないが、良い曲の詰まりまくった傑作である事は間違いなく、特にラスト“Hope” の絶句する程にエモーショナルなメロディーは、久々にこの手のサウンドを聴いて涙腺が緩んでしまった。メロディーを愛する全てのポップパンクファンは是非とも聴いて欲しい。
テキスト:Yuji Kamada
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