【FEATURE】ギルガメッシュ「2014 tour “MONSTER”」ライヴレポート @ 4/1 渋谷CLUB QUATTRO
今年の2月に新木場で行なわれたMONSTER BOX Vol.00もそうだったが、世間的にV系と括られていたシーンとラウド/メタルシーンのバンド達のクロスオーバーが近年如実に進んでいる。これまでもMarilyn Mansonが主催したBEAUTIFUL MONSTERS TOURにPierrotが出演、Taste Of Chaos日本公演やRock am Ringといった海外フェスの出演を果たしたDir en grey、そしてMUCCのドイツ最大メタルフェスWacken Open Airへの参戦など、これまで幾度となく歩み寄りがあった訳だが、ここ数年はそれぞれのバンドメンバー同士の交流も含めてさらにそれが顕著になってきた。個人的にも元々V系と呼ばれるシーンを通って現在ラウドシーンを聴いているだけに非常に興味深い。本日レポートするギルガメッシュも、元々はV系シーン出身として認知されているかもしれないが、数々の海外公演の成功、そして今やそのルックスやサウンド含め初期から徐々に変化。今や、こういったクロスオーバーを同期させる為に最もアクティヴなバンドだと言っても良い。そんな彼等の活動10周年を記念したツアー初日をレポート出来る事を待ち望み、会場へ足を運んだ。
この日の会場はクアトロ。彼等の人気を考えると少し小さい様な気もしたが、案の定ソールドアウトでパンパンだ。客層は思っていた以上にメンズも多く、海外からのオーディエンスもチラホラ。開場からスタートまでの間、場内ではPierce The VeilやAmarantheといったバンドが流れており、開演を待ちわびるファンも頭を振ったり身体を揺らしていた。
今回のツアーでは各地サポートアクトがそれぞれついていたが、そのほぼ全てがラウドシーンのバンドだ。この初日は先のMONSTER BOX Vol.00でもギルガメッシュと共演していたMAKE MY DAYが出演。改名前ASHLEY SCARED THE SKY 時代からの楽曲 “Thanatophobia” からパフォーマンスはスタート。ボトムの強烈なメタルコアを軸にしたサウンドで、一気に開場を自分達の世界に染めていく。エレクトロを多用したダンサブルなサビが印象的な新曲 “Once”。Julian氏のクリーンパートと新フロントマンIsam氏の強烈なスクリームは続く “My Proof” でも炸裂し、ブレイクダウンではモッシュ、疾走パートではサークルピットが完璧に巻き起こっていく。再び新曲 “What Are You Fighting For” やスラッシーな要素を持った “Life Is Shit”、そして人気コンピシリーズ第5弾である『PUNK GOES POP 5』 に収録されたLMFAOのカバー “Party Rock Anthem” で一気に開場をダンスフロア化。「日本人は世界に負けていない、俺が頂点に立ってお前達を全員アメリカに連れて行く!」 と海外活動経験のあるIsam氏のMCを挟み、ラストは “The Ark Sailing Over Truth” でフィニッシュ。因みにIsam氏はギルガメッシュのフロントマン左迅氏の中学の後輩だそう(笑)。
転換を挟みギルガメッシュの登場だ。イントロが流れるや、開場中に大きな手拍子とコール。そのまま一曲目は10周年を記念してリリースされたばかりの、最新のサウンドにリミックスしたベスト盤『LIVE BEST』 の冒頭も飾る “patchwork”。インダストリアルかつグルーヴィーなサウンドに合わせ、ヘドバンの嵐で波が出来る圧巻の光景だ。その大きなウネリは昨年リリースの最新作『MONSTER』 からの “Drain” や“ VOLTAGE” でも続き、疾走するサビでの全員合唱は鳥肌ものだ。演奏が終わった瞬間に悲鳴にも近い声でメンバーの名を呼ぶオーディエンスも彼等ならではの光景だろう。「頭空っぽにして楽しもうぜ!」と繰り出される “antlion pit” も妖艶に、時にグロウルを交えながら表情豊かに届けられる。曲間のダンサブルなパートもオーディエンスとのコール&レスポンスも一体感は凄まじい。デジタルハードコアの要素で爆走する “FREAKS” や “CRAZY-FLAG” の間にスクラッチとラップをフィーチャーしたミクスチャーナンバー “ULTIMATE 4” を挟み、ラウド要素を大胆に叩き付けた後、キャッチーなメロディーとファンキーなリズムが融合した “BAD END DREAM” と、バンドの持つ多彩さを物語るセット。
「最近はイベント出演が多くて演れなかった楽曲も多いから、今日は沢山演るよ。」と “睡蓮” やスペーシーなイントロから一気に疾走する “Resolution”、“遮断” を次々に披露。そして左迅氏によるお勧めツアーグッズ紹介を挟み、煽動的エレクトロがのたうち回る “Vision” から怒涛の後半戦がスタート。「バンドがここまで来れたのは皆のおかげ。その想いを込めた曲です」 と鳴らされた “Live is Life”。超ファストに駆け抜ける “Never ending story”。メジャーコード全開っぷりが眩く、切なくも希望に満ちたメロディーとコーラスワークが響き渡る “Another way”。改めて10周年を迎えた喜びをファンへ伝えた後、大人気曲 “evolution” で終盤へ加速。そして本編ラストは “お前に捧げる酷い声”。オリジナル音源からはだいぶニュアンスが変わった同曲だが、改めて生で体感するとそのアグレッションは格別。オーディエンスも壮絶なヘドバンとモッシュ、絶叫のオンパレードで応えた。
アンコールは “Break Down”。「人間は涙を流す為に生まれてきた訳じゃなくて、笑う為に生まれてきたはず」 と語られてから披露された、バンドの転機となる代表曲だ。ポジティヴなサビのメロディーとラウドなサウンドの対比は音源以上に表情豊か。そしてこの日ラストは “ALONE”。最新作のラストも飾る、ピースフルで穏やかな空気感を持つ同曲で締め括られた。
終演後、ファンに向けて「これまで辛かった時に支えてくれた皆に恩返しを、今度は俺等が皆の光になります、ツアー行ってきます!」と語った左迅氏。10周年を迎えた彼等の新たなる旅路がスタートする。ジャンルレスにファンが楽しむ姿をみて、彼等がまだここから音楽シーンの新たなる光となる可能性を強く感じる一夜だった。先日のAsking Alexandria来日公演の堂々たるサポート、そして5月から6月にかけては約3年振りのヨーロッパツアーも決定とますます目が離せない。
テキスト:Yuji Kamada
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