【REVIEWS】coldrain – Until The End 〜 世界へ向けた確固たる闘志 〜
Released: 6/18/2014 – vap
ここ数年で飛躍的な発展を遂げた日本のラウドロックシーン。その最重要バンドとして圧倒的な存在感を見せつけ、日本のラウドロックを牽引してきたcoldrainが今度は世界を魅了する。Bullet For My ValentineやBring Me The Horizonらを擁するイギリスの名門マネジメント会社= Raw Power Managementへの所属、YellowcardやThe Used、Taking Back Sundayらの所属するアメリカの優秀ロックレーベル= Hopeless Recordsとの契約、そしてヨーロッパ最大級のフェスであるDownload Festivalや Rock am Ring、Rock im Parkへの出演と、満を持してワールドワイドに照準を合わせた彼らの最強の武器となる一作が、ここに完成したのだ。
前作「THE REVELATION」、前々作「Through Clarity」ではプロデューサーを務めたDavid Bendethがミックスダウンを担当し 、久々のセルフ・プロデュースとなった本作。様々な経験を踏まえ、再びバンド自らが指揮を取り制作されただけあって、彼ら特有の血の滾るようなライヴパフォーマンスを見据えた重さや激しさ、そして確実に体の疼くメロディアスな旋律がさらに研ぎ澄まされている。エモーショナルな咆哮と胸を突き刺すソリッドな音色が衝撃を与える “Aware And Awake”、弾丸の如く浴びせられる屈強なリズムとリフに思わず腕を振り上げたくなる “Evolve”、絶妙なバランスで配合されたヘヴィネスと疾走感が心地よく鼓膜を刺激し続ける “Fade Away” と、一聴すれば瞬時にアドレナリンが大放出される即効性の高さはまさにワールドクラスだ。一方で、聴けば聴くほどその美しい哀愁と情感の虜になる “You Lie”、激情と繊細の両極端を行き来するシアトリカルな展開が印象的な “March On” など、初期衝動と中毒性を兼ね備えた楽曲も並んでいる。そして極めつけは、アルバムのラストを飾る “House Of Cards” だろう。メランコリックな鍵盤と艶のある儚げなヴォーカルワーク、そして物憂げに刻まれるリズムが絡まり合い、靄のかかったようなダークさを帯びつつ叙情的に広がっていく音の組み立てには、思わず息を飲んでしまう。紡ぎだされる耽美な音像が凄まじい余韻を放ちながら、アルバムは幕を閉じるのだ。
濃厚かつ多彩な楽曲がコンパイルされた今作は、6曲と言う構成の中で壮大なスケールを描き出している。いよいよ世界に向けてエンジンを切ったcoldrainの、確固たる闘志が込められた1枚だ。
テキスト:Leyna Miyakawa