【REVIEWS】Slaves – Through Art We Are All Equals 〜 シーン屈指のカリスマ、新バンドで帰還 〜
Released: 6/23/2014 – Artery Recordings
現在のポストハードコア界隈でもChiodosのCraig Owens、Circa SurviveのAnthony Greenに次ぐカリスマとして崇められる男Jonny Craig。僅か14歳で加入したwesterHALTSからそのキャリアは始まり、Ghost Runner on Thirdを経験した後に彼の名を一躍広めたDance Gavin Dance、そしてEmarosaでの活躍は未だ記憶に新しい。さらに前述のCraig OwensやPierce The Veilのメンバー達と結成したスペシャルバンドIsles & Glaciers。それと平行してリリースされてきたソロ作品等、それ以外のフィーチャリングを含めれば相当大忙しの彼だったが、素行やドラッグ問題で周囲にも迷惑をかけてきたのも事実。Emarosa脱退以降ソロ活動に専念してきたそんな彼が、再び新バンドを引き連れてシーンに登場というニュースは当時アメリカで大きなニュースとなった。長らくパートナーシップを築いていたRise Recordsを離れ、今バンドではArtery Recordingsからのリリース。同レーベルに所属していたHearts & Handsのメンバー、さらにはFour Letter LieやD.R.U.G.S.で活躍していたメンバーと共に結成された新バンドのデビュー作だ。
シンフォニックなイントロと、奈落の底から天に向かいその刹那の唄声を響かせる様に始まる “The Fire Down Below”。アトモスフェリックかつポストロックの様に壮大で幽玄な世界観を昇華させた “This Is You Throwing In The Towel”。アコースティックギターと唄のみで高らかに神への存在を訴え続ける “There Is Only One God And His Name Is Death”。そしてタイトルを通じてJonnyが伝えたかった事を最も表現した一曲であろう “Ashes.Dust.Smoke.Love.Stars.The One.”。ゲスト陣も豪華で今最も忙しい人物の一人、IssuesのTyler Carterをフィーチャーした “The Young And Beyond Reckless”。そして “The Hearts Of Our Young” では実姉妹であるNatalie Craig、“The King And The Army That Stands Behind Him” ではラッパーのKyle Lucas、“Starving For Friends” ではPierce The VeilのフロントマンVic Fuentesが参加。Isles & Glaciers以来の共演だ。
Emarosaに加入した時もそうだった。この圧倒的存在感を持つフロントマン故に結局彼のワンマンサウンドに聴こえてしまうのはいたしかたないのかもしれないが、逆に彼の魅力を存分に堪能したい人はバンド名通り“奴隷” となって浸るのが最高の聴き方かもしれない。しかし、他のメンバーがこのカリスマを“調教”する位に船舵を握る事で、また新たなケミストリーが産まれるのではないかという期待も入り交じる。
テキスト:Yuji Kamada