【FEATURES】coldrain, Newミニアルバム「Until The End」インタビュー
イギリスの名門マネジメント会社であるRaw Power Managementとの契約、Bullet For My Valentineとの初のヨーロッパツアー、UKでのワンマンツアー、そしてアメリカの優秀ロックレーベルであるHopeless Recordsとの契約、Download Festival 2014への出演……怒涛の勢いで輝かしいキャリアを重ね、もはや世界基準の最注目バンドとなっている coldrainが、通算6 枚目となるミニアルバム「Until The End」を完成させた。そこでAP Japanでは、 無類のカリスマ性と圧倒的な実力で各地に巨大なファンベースを築き上げている彼らにインタビューを実施。アルバムの制作過程から海外進出に対する想いまで、たっぷりと語ってもらった。
“単純にもっと歌いたい、って言う衝動があったんですよね”
── 「Until The End」は久しぶりにセルフプロデュース の作品とのことですね。
Y.K.C:レコーディングは自分たちでやって、ミキシングを「THE REVELATION」や「Through Clarity」のプロデューサーであるDavid Bendethにお願いしたんです。アメリカでレコーディングするとどうしても機材面の制限が出てきてしまうので、今回はそう言った不安を解消して、個々の楽器の音に踏み込んでいきたいと思ってこの形を取りました。
── 制作自体はいつ頃から始めたんでしょうか?
Y.K.C:デモを作り始めたのは、‘THE REVELATION TOUR 2013 ONE MAN SHOWS’の最中だったので、2013年の9月ぐらいからでした。Masatoにデモを渡して、みんなで合わせてみることになったのは11月過ぎてからで、実際にレコーディングを始めたのは、新木場STUDIO COASTの「EVOLVE」が終わった後だったので、今年の1月の終わりからですね。
Masato: 3曲目に収録されている “You Lie” って曲が最初に出来て、それからBullet For My Valentineとのヨーロッパツアーに行ったんです。なかなかレコーディング中に録った一曲を聴き込むことって出来ないんですけど、今回はそれが出来たことによって、帰ってきて残りのレコーディングへ向かうときの照準にもなりましたね。
── では “You Lie” がアルバムを作る上でキーになった、と言うことでしょうか?
Masato:そうですね。“You Lie” みたいな歌中心の曲はここ2年くらいあまり無かったし、そもそもアルバムを作っていく上で最初に作る曲って、振り切って激しい曲が多かったんです。ああいう、勢いだけじゃない、具体的な世界観がある曲を最初に作って最初にレコーディングするって今まで無くて。だから自分たちでも意外だったし、新しい感覚でした。
── 「Until The End」は確かに、これまでのヘヴィさや激しさもしっかり継承しつつ、歌やメロディアスなパートも際立っていますよね。
Masato: 自然とそうなって行ったんです。最近バンドとしてはシャウトパートが増える方向に行ってて、今回気づいてみたらそれが減っていたから、新しい感覚だったな、と。 いわゆる‘歌モノ’って言われる曲が多かったcoldrainの初期の頃の感覚が、何枚かを経て戻ってきたと言うか。単純にもっと歌いたい、って言う衝動があったんですよね。
── 意識されていたわけではなかったんですね。
Y.K.C:はい。今回は、もしかしたら今までで一番、何かを意識したってことは無かったかもしれないです。実は前回Davidとの作業の中で、coldrainとしてどこまでヘヴィに振り切るか、どこまでポップに攻めるか、と言う線引きの作業もしていて。そのおかげで自然に音楽を作っていったらどんな形になっていくのか、と言うことが今までよりわかっていたので、頭の中で「かっこいいな」って思っている音を、今までよりも素直に出力できたんです。
Masato:バンドとしては、こう言う音を狙った、とかこのバンドのこの感じ、って意識は今まで以上になくなっていました。ただ個人的にはSaosinみたいな、幅広いオーディエンスが聴いているようなメジャー感もありつつ、シーンの中心にもなっていくような音のイメージはありましたね。coldrainは洋楽のヘヴィロックに影響を受けたサウンドでありながら、J-POP的な ポップカルチャーの要素も含んでいるバンドだってこともありますし。
── なるほど。
Masato: 例えばさっきのSaosinで言うと、今だったら簡単にシャウトが入るバンドだと思うんですよ。でも彼らはそこを歌で表現して、エモーショナルにすると同時に、チャートインするようなメジャー感も持ち合わせている。そう言う部分は自分としてはすごく意識しましたね。
── メジャー感と言うと、今回のアルバムではアンセム的なコーラスも印象的でした。
Masato: あまり多用せずに、ここは絶対に必要って言う強調したい部分だけに置いてたのと、今までと比べてバランス的に音量が大きくなってたから印象的なんだと思います。泣きのメロディーと言うか、ハモりが聞こえてるほうが生きてくるメロディーだったんで。
Sugi:アメリカでは僕はコーラスに関わっていなかったんですけど、今回はMasatoが作ってくれたメロディーラインに、一緒にコーラスをつけていったんです。 気づいたら口ずさんでしまうような印象的なメロディーが多かったんで、いかにそれをコーラスでプッシュ出来るか、と言うのをセルフプロデュースでやれたのはデカかったですね。
── 久しぶりのセルフプロデュースと言うことで、新たな要素や試みも多かったんでしょうか?
Katsuma: 5曲目に入っている “March On” って曲は直球でストレートなんだけど、深い世界観があって。初めてこの曲をデモで聴いたときに、こう言う曲って意外とcoldrainとしては無かったな、と思ったんですよ。リフの上にサビが乗っている感じとか、出来上がったメロディーもそうですし、リズムの展開も色んなバリエーションが一番込められている曲なので。
RxYxO: “March On” って、他の曲と比べてミドルテンポだし、激しかったりバラードだったりとはまた違う表現が必要になるんですよね。一辺倒では行かないんで、アプローチの仕方も今までとは結構違ってきていて。自分的にもこう言うディープな、情感のある曲が好きですし、そう言った部分をcoldrainらしく新たに表現出来るようになったな、って思います。
── ギターのお二人はいかがですか?
Sugi: 曲で挙げるとしたら “You Lie” と……“Aware And Awake” もそうですね。 ドライヴ感もありつつ、一回聴いたら口ずさめるようなキャッチーなメロディーが乗っているあたりはcoldrainらしいんですけど、新たな要素としてはAメロとかでは重たくしなるような感じが入っていて。自分が一番レコーディングで苦労した部分でもありますね。
Y.K.C:僕自身はあまり音を詰め込みすぎないことを意識しているので、例えば新しい曲もシンセのパートが増えたりした分、自分のフレーズはいかに少ない音で意味を持たせるか、と言うことに力を入れているんです。今回は伸びている音が多い分、一つ一つの音の質感を追求することに今までよりも時間を使いましたね。
── ヴォーカルの質感もさらにクリーンになったように感じました。
Masato: 曲を作る時点から、自分の声で「何をどう表現したいのか」を細かく、突き詰めて意識してたんです。どうやったら自分の声が活かされるのか、と言うことをエンジニアも考えてくれたので、これまでは薄れてしまっていたような声の表現も出てきてると思いますし、音源としてそう言った部分により力が入ってますね。個人的にはライヴを重ねることによって、シャウトも好きな形で出すことが出来たし、理想に近づいたアルバムだと思います。
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