【REVIEWS】New Found Glory – Resurrection 〜 徹頭徹尾、NFGサウンド 〜
Released: 10/8/2014 – KICK ROCK INVASION / Hopeless
ファンの人はご存知の通り、結成時から一度もメンバーの交代や脱退のなかったバンドから2013年にギタリストであるSteve Kleinが脱退。結成してからずっとバンドの一部として活躍していただけでなく、昨今はThe Story So Far、Heroes For Hire、Man Overboard、State Champsといった若手ポップパンクバンドの作品を手掛け高い評価を受けている程の人物だっただけに、その抜けた穴の大きさは計り知れないのではと話題となっていた。そしてバンドはHopeless Recordsへ移籍。これまでFiddler、Eulogy、Drive-Thru、Geffen、Epitaph等、数々のレーベルを渡り歩いてきた彼らだけにレーベル移籍のニュースそのものは最早驚く事でもないが、心機一転、こうして4ピースバンドとして新たに活動する事となった彼等の想いはこれまでとは比較にならない程強く感じる。タイトルは「Resurrection」。こうしてまさに「復活」を華々しく印象付ける、極上のポップパンク作が出来上がった。
Chadのへヴィなリフから一気に扇動感あるメロディーへ流れていく展開に、思わずガッツポーズインマイハートな “Selfless” で早くも不安だったファンすらもニヤける事だろう。ここに収録されているのは紛れもなくNew Found Gloryだ。Jordanの相変わらずイノセンス溢れまくりの歌声が、ハモリを重ねる事でより美しさを持つ “The Worst Person”。突き抜けるほどにキャッチーな “Living Hell”。青い疾走感に思わず空を見上げる “Ready & Willing” や “Degenerate” 等、全体的には非常にオーセンティックなポップパンクが収録されている。今回どことなくハードコアインフルエンスなアートワークであるが、それを象徴する様な楽曲も勿論収録。キャッチーなメロディーの中、突如TerrorのフロントマンScott Vogelが強烈なスクリームを叩きつけるタイトル曲 “Resurrection” を筆頭に、現在のDCエリア最重要ハードコアバンドとして名を馳せるTurnstileのフロントマンBrendan Yatesがハイトーンをキメる “On My Own” 等、流石のチョイス。客演はその他にも“ Stubborn” でレーベルメイトとなったBaysideのAnthony Raneriがいぶし銀の唄声を披露している。今回のプロデューサーはこれまでにAtreyuやThrice、Underminded等を手掛けてきたDeath By StereoのPaul Miner。バンドが本来持つポップパンクのキャッチーさとハードコアのアグレッションを、荒々しくもリアルなサウンドプロダクションで構築/表現している。
こうして新たな気持ちで「原点回帰」 を果たしながらも、結成から17年、ほぼぶれる事無く突き進んできた彼等の新たなる決意表明が見事なまでに詰まった一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada