【FEATURES】Yellowcard来日インタビュー 〜ツアーはYellowcardのすべてであり、僕たちは何もかもをそこから学んできたんだ〜
15年以上に渡って世界中のパンクファンを熱狂させ、シーンを牽引し続けるYellowcard。2014年10月にはニューアルバム「Lift A Sail」をリリースし、ますます多くのリスナーを感動の渦に包んだことも記憶に新しい。かねてから日本公演の回数が多い彼らだが、今回のツアーにおいても各会場で大盛況を納め、改めてその人気の高さを証明して見せた。今回はヴォーカルのRyan Keyに、ニューアルバム「Lift A Sail」の制作秘話やサウンドの裏側、さらにツアーで得た経験などを訊いた。
“若いバンドと一緒にツアーを回ることで僕達のステージを見てもらえる機会も増え、結果として僕たちの音楽が常に新しい世代に受け入れられることに繋がっていくからね”
──「Lift A Sail」がリリースされてから4ヶ月が経ちますが、手応えはいかがですか?
Ryan Key(以下Ryan):聴いてくれた人たちから、すごく良い反応を得られているんだ。「Lift A Sail」は今までYellowcardがリリースしてきた作品とは違った方向性になっているから、僕らの音楽をずっと愛してくれている人たちは驚いたかもしれない。このアルバムに入っている楽曲は、僕という人間と非常に強く繋がっているからね。ポップパンクの色味は薄くなったけれど、とてもポジティヴな反響を得ることができているよ。
──メロディックで暖かみのあるオルタナティヴ・サウンドに、心を惹き付けられるアルバムになっていますね。
Ryan:過去に作ってきた曲にも個人的な感情や経験はもちろん反映されているけど、「Lift A Sail」はそれらよりもさらにパーソナルな部分が色濃く出たアルバムなんだ。音の面においても、歌詞の面においてもね。一つ一つの曲にはより多くのエネルギーが込められていて、深みのあるものになっているから、より多くの人から共感を得られるんじゃないかな。それに自分たちとしても、これまでと似たようなアルバムは作りたくなかった。新たに試したこともたくさんあったから、とても満足の行く作品に仕上げることが出来たよ。
──制作過程において、これまでとは違う部分も多いのでしょうか?
Ryan:これは2、3枚前のアルバム制作時からそうしていたんだけど、以前と大きく変わったのは、曲を先に作り上げていくやり方を始めたことだね。そして出来上がった曲に対して、歌詞とメロディを一緒につけていくんだ。この方法をとり始めてから歌詞、メロディ、サウンド、すべてにおいて相互作用が生まれて、Yellowcardの音に新たなものを吹き込むことができたと思っているよ。
──そこからYellowcardのサウンドさらなる進化を遂げていったんですね。
Ryan:そうだね。僕はこの3月で15年間このバンドにいることになるんだけど、こうして成長していき、バンドを続けていくチャンスをもらえることに対してすごく感謝しているよ。また日本に戻ってくることもできたしね!
──では今回のツアーについても伺わせてください。Yellowcardは来日公演の回数が多いバンドですが、Ten Hundred Miles Tour 2015を回ってみていかがですか?
Ryan:今回は日本という土地で、ONE OK ROCKと一緒にツアーを回ることができて、素晴らしい経験をしているよ。彼らは人気も実力もあって、僕たちのライヴに来てくれるお客さんとはまた違ったタイプの人たちも見に来てくれている。ONE OK ROCKの若いファンの人たちはYellowcardのライヴを見たことがないかもしれないけど、新しいファンの人に僕たちのステージを見てもらえるなんて、すごく光栄なことだよね。
──彼らのようなファンから、どういった印象を受けましたか?
Ryan:すごく情熱的だね。たとえその日初めて曲を聴いたとしても、その場でメロディやコーラスを学んで、一緒になって僕らの曲を歌い、飛び跳ねて、暖かな反応をしてくれる。それに日本のファンの人たちは他の国のファンの人たちと少し違って、例えば僕らがヘッドバンギングをしたらみんなそうしてくれるし、手を挙げてほしいと言えばみんなが手をあげて曲にノってくれるよね。大勢の人がフロアにいる中で、その結束力を見られるのはとても貴重なことなんだ。
──確かに、海外ではあまり見られない光景も多いと聞きます。
Ryan:よく日本に来る海外のバンドが、「曲と曲の間が静かになるのが不思議なんだ」と話しているのを聞くんだけど、その光景って、僕らに対するリスペクトを表してくれている証なんだよね。だからその瞬間を見るのがとても好きだし、日本に来たなあ、という感覚にもなる。僕たちは今海外ツアーでの活動に重きを置いているから、こうして反響を得ることができて嬉しいよ。
──US以外でのツアーにフォーカスしている、ということでしょうか?
Ryan:そうなんだ。Yellowcardとして様々な国でツアーをして成功を収めることができたし、こうして海外で活動することは、バンドの未来にとっても重要なことだからね。
──やはり国外でのツアーは、得られるものも多いのでしょうか。
Ryan:もちろん!個人的にも、思ってもみなかったような土地に行くことができたり、信じられないような貴重な経験ができている。 15年間あらゆる場所にツアーにいくことができて、今もそれを続けられていることができてすごく光栄だよ。
──具体的に、特に印象に残っている国や会場などありますか?
Ryan:実は、それが日本なんだ。日本は、2003年に僕がバンドとして初めて足を踏み入れUS以外の土地でね。その時に感じたことや経験したことがずっと心に残っていて、大好きな国になった。とても幸運なことにYellowcardは日本に来る機会が多いんだけど、みんないつも暖かく僕らを迎えてくれて、どの国のファンよりも大きな情熱を持ってYellowcardをサポートしてくれるんだ。あとは、2006年に行ったブラジル、2013年に行った南アフリカもすごく印象に残っているかな。
──それぞれかなり大きな会場でのショウだったんですよね。
Ryan:そうなんだよ!ブラジルではMix Festivalというイベントに、Fall Out Boyとダブルヘッドライナーとして出演したんだ。たとえば日本でいうと、Fuji Rock FestivalやSummer Sonicに出演したら多くの人が集まってくれるけど、5時間後にMUSEがプレイするとして、彼ら目当ての人もたくさんいるわけだよね。でもその時は、僕たちを見るために4〜5万人もの人が集まってくれた。それまで僕らがブラジルでソロライヴを開催したとしても、4000〜5000人規模の会場が最大だったから、人で埋め尽くされたスタジアムの光景を見たら感動してしまったんだ。それにブラジルのオーディエンスは本当にワイルドで、フロアのいたるところでクラウドサーフやモッシュの嵐があって、人が飛び交っていてね(笑)。それは僕らの人生を変えてしまうくらい、凄まじいショウだったよ。
──南アフリカでは、フェスに出演されたそうですが。
Ryan:その時はOppikoppi というフェスに、Deftonesと一緒に出演したんだ。音楽性は少し違うけど、僕たちはDeftonesに憧れているから、同じステージに立つことができて嬉しくてね。南アフリカに行ったのも初めてだったし、それまではアフリカ以外の大陸にはすべて行ったことがあったから、念願かなって新たな大陸に足を踏み入れることができたんだよ(笑)。
──国ではなく、大陸レベルで数えるんですね(笑)。
Ryan:ここまで海外ツアーが多いとそうなってくるね(笑)。
──しかしそれほどまでに海外でのツアーが多いと、タフな部分も出てきますよね。
Ryan:そうだね。たとえばここ日本だと、どこへ移動するにも便利で、自分たちのホテルがあって、みんなが手厚く迎え入れてくれる。リラックスした環境にいられるから、ツアー自体がとてもやりやすい。実はこの次はヨーロッパでツアーを行う予定なんだけど、このツアーは日本のようにはいかないんだ。物価が非常に高いエリアということもあって、5週間、1つのバスを色んなバンドとシェアしながら回らないといけないからね。16人ものメンバーが長い間1つの空間をシェアしながら、夜は街の外にあるパーキング場にバスを止めて寝泊まりすることになるから、もちろんタフではある。でもそれはすべて自分にも活きてくるし、日本みたいな素晴らしい土地のありがたみもわかるから、貴重な経験になっていくんだけどね!
──あなた方は数多くの若手バンドとも共演されていますが、今回のツアーで一緒になったバンド陣のショウはいかがでしたか?
Ryan:オープニングを飾ってくれたMAKE MY DAYやMELLOWSHiP、COUNTLOSTやNoisyCellといった日本の才能溢れるバンドにも出会うことができて、すごくラッキーだった。中にはYellowcardの大ファンだと言ってくれるメンバーもいたんだ。日本の若いバンドはすごくタイトで、感動的なショウをするよね。Tonight Aliveは2012年のVans Warped Tourで一緒だったから数年知り合いの仲なんだけど、彼らも本当に素晴らしいバンドだよ。今回はショウが終わったあと一緒に街に繰り出したりもして、すごく楽しかった。Ghost Townも実力のある良いバンドで、人気が勢い良く上昇しているよね。そしてONE OK ROCKは……言葉では言い表せないな。本当に、凄まじいバンドだと思う。彼らの演奏を見ているのも、ステージに反応するオーディエンスをみているのも、何もかもが楽しくて、刺激になるんだ。バンドにある一つ一つの要素が洗練されていて、誰しもを魅了してしまうよね。彼らのような若いバンドと一緒にツアーを回ることは、僕たちにとっても大事なことなんだよ。
──それは彼らから受ける刺激、という部分でしょうか?
Ryan:もちろん刺激を受けるという面もあるし、Yellowcardは15年間という長いキャリアがあるから、普通にライヴを行っていたら、若いファンから僕たちのステージを見てもらえる機会も減っていってしまう。 でもこうして若いバンドと一緒にツアーを回ることでその機会も増え、結果として僕たちの音楽が常に新しい世代に受け入れられることに繋がっていくからね。
──おっしゃる通りYellowcardは常に、世界中に若い世代のファンベースを築いています。
Ryan:ありがたいことにね。バンドとしてこうしたキャリアを積むために送ってきたツアー生活には、大変なことも多かった。でもツアーはYellowcardのすべてであり、僕たちは何もかもをそこから学んできたんだ。バンドを始めた頃からレコーディングをして、CDをリリースするだけのバンドにはなりたくないと思っていたし、今もその気持ちは変わっていないからね。年齢も重ねて、ショーンには子供も生まれ、僕やRyan Mendezは結婚して、家族から離れている時間が辛いこともある。でもYellowcardはツアーをとても大事に思っているバンドだから、自分たちが大切にしているもののバランスをきちんと取りながら、今後もこうした活動を続けていきたいと思っているんだ。
──では、今後のYellowcardのプランをお聞かせ頂けますか。
Ryan: 実は今僕個人のプロジェクトとして、スウェーデンのLike Torchesというバンドのプロデュースに携わっているんだ。Yellowcardとしては、Less Than Jakeと一緒にヨーロッパとUKでツアーを行う予定だよ。Less Than JakeとはVans Warped Tour等で何度か一緒になることはあったんだけど、こうして一緒にツアーを回るのは、2002年に僕らが彼らのサポート・アクトをして以来なんだ。だから今回、こうしてダブルヘッドライナーとしてツアーを行うことができて、すごく誇らしい気分だよ。その後はFinchやONE OK ROCKと一緒に、U.S.でツアーを回る予定なんだ。今年の夏にはまたいくつかフェスにも出演して、ニュージーランドやオーストラリアにも行きたいと思ってる。他にもツアーの予定がいろいろあるから、また多忙なツアー生活になる予定だね!
──最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
Ryan:日本は本当に大好きな国だから、いつも早くここへ来て、ショウをやりたいと思っているんだ。 ファンのみんなが変わることなくバンドを愛してくれて、サポートしてくれることに本当に感謝しているよ!僕たちが今一番楽しみにしていることは、日本でツアーを行うことなんだ。嬉しいことにこれまで何度もここへくることができたけれど、これからも継続してまた日本に来られるようにしたいと思っているよ!
Interview / Translation:Leyna Miyakawa
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