【REVIEWS】Echosmith – Talking Dreams
Released: 10/8/2013 – Warner Bros
「時代の寵児」―時たまそんな言葉を目にしたり耳にしたりするけれども、そんな表現にまさにピッタリな新世代であり、さらにはファッションを始めとしたサブカルチャーの総合体としてみても突出した存在感を誇るバンドが登場した。カリフォルニア州ロサンゼルス出身の紅一点をフロントマンにしたバンドだが、まずはその彼女の存在感が抜群だ。今年のWarped Tourで幾多の出演バンドの中、最年少で参加し他のバンドからベストアクトの呼び声も多数だそうだが、それも頷ける。
常に全米トップレーベルであるHopeless Recordsがここ数年で契約した新人アーティストがFor The Foxes、Air Dubai、The Kickdrums、Heroes Of Modern Earthといったアーティストだった事もFUN.のブレイクも、考えれば必然だったのだと思う。現在アメリカのこの界隈のトレンドは大きく分けて二極化しており、それは90年代のオルタナティヴから影響とUSインディーからの影響だ。彼女達もまた後者からの影響を色濃く感じられるアーティストだ。
Foster The PeopleやPassion Pitに代表されるエレクトロ・インディー・ポップ。そして西海岸出身故かBest Coastや昨今のHellogoodbyeに代表される陽性のインディー・ポップ。それらのサウンドが彼女達のサウンドのベースになっているのは間違いないだろうが、面白いのはこれらのバンドから影響を受けながら独自の要素を織り交ぜて進化しているオーストラリアのGypsy & the CatやClubfeet、ニュージーランドのThe Naked And Famous辺りのオセアニア地域のバンド達が持つ、独特のチル感と白昼夢の様なトロピカル感を融合させている点だ。先行で発表された “Cool Kid” や “Come With Me” からは特にそれを感じるが、しかし、ただの逆輸入サウンドとは訳が違う。彼女達の場合は同シーンで良くある引きの美学を武器にするのではなく、”Let’s Love” や “Nothing’s Wrong” で鳴らされている様にそれらを高らかに、太陽に向けて鳴らすのだ。新世代のU.S.E.とも言えるサビで高揚感を放出する “Come Together”、Grouploveの新作にも通じる “Talking Dreams”。
エモと同じく“USインディー”と一つに言っても、その言葉の中には無数の要素が含まれている。しかし彼女達はその数多の要素を全て飲み込んでしまったのだ。これを「時代の寵児」と言わず、何と言えば良いのか。新たなる時代の扉が開く。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
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