【REVIEWS】William Beckett – Genuine & Counterfeit
Released: 9/25/2013 – Equal Vision / KICK ROCK INVASION
エモ界の “貴公子” ワールドはどこまでいってもカラフルでドリーミーだ。BEYOND[THE]BLUE TOURでの来日公演でもその類稀なるルックスと微笑ましいパフォーマンスで日本の観客を魅了し、独特の世界へと誘ったex-The Academy Is… のフロントマンにしてエモ界の“貴公子”ともいえる彼、ソロになってからも間髪入れず3枚のEPをリリースし、その集大成ともいえるのが初のフル作となる本作。ダンサブルな軽快エレクトロからロマンティックなバラードまで、幅広い楽曲群に一貫した爽快ポップネスと、TAI時代から全く褪せることのない伸びやかで艶のある歌声がどこまでもキラキラと、そして生き生きとした色鮮やかな輝きを放ち続ける。クラップ必須のパーティー・チューン “Pick Up The Phone”、一聴するだけでWilliamの楽曲とわかる、独特なメロの流れを持つ爽快ポップネス “In My Blood”、軽快シンセとオールド・スタイルなギターのオーバードライブの心地良い絡みが新たな可能性を示す “Benny & Joon”、一気に花開くようなサビのせつなメロが涙を誘うダイナミックなミドル “Time For A Sign”。個人的に嬉しかったのは作品を聴いている際に、TAI時代の作品 『Fast Times At Barrington High』 を聴いているかのような不思議な郷愁感を味わえたこと、それほどバンド形態での楽曲が強く印象に残る。『本物と偽物』 そのタイトルの真意は推して知るべしだが、彼のメロディー・センスと独自の世界観はまぎれもなく本物である。
テキスト: 村井 祐樹 a.k.a. Sway