【REVIEWS】Handguns – Life Lessons 〜 「ポップパンク」を取り戻す新たな教科書 〜
Released: 7/23/2014 – ICE GRILL$ / Pure Noise
2008年結成以降、凄まじい数のLiveを行いグングンとその知名度を上げてきた彼等の二枚目となるフルアルバムが到着。EasycoreやPopcore、オルタナティヴへの変貌と細分化され語られていく昨今のポップパンク界の中で、そもそもポップパンクってどんなんだったっけ?という事を必然的に思い出させてくれたState Champs「The Finer Things」。そして2014年もまた、その想いを呼び戻してくれる作品がここに誕生した。
やはりポップパンクの醍醐味は突き抜けるほどの青さと疾走感、そして胸掻き毟られるほどのフレーズやメロディーライン。それらを絶対的な説得力で高らかに鳴らす “Sleep Deprived” のイントロでいきなり、忘れていた何かを呼び起こされるリスナーも多いだろう。彼等らしい前のめりのテンションと男らしさ溢れた “Heart Vs. Head” やThe Story So Farに代表されるモダンなメロディックバンドらしい疾走曲 “I Can’t Relate”。これらバンドの持つ要素に加え、キャッチーなメロディーを過去最大に盛り込んだリード曲 “The Loved Ones Who Hate Us”。そして個人的にはエモーショナルな旋律と刹那が詰まった “Queens” にもグッときたりしつつ、本編ラストである “New Years Resolutions” の真っ直ぐで青い誠実なメロディーには、空を見上げるしかないのだ。
今作の制作をAll Time LowのフロントマンであるAlexが手伝った事により、バンド本来の持つアグレッションに加え、潜在的に持ち合わせていたメロディーのライティング能力が完全開花した事も大きなトピックであろう。さらに他のポップパンクとの差別化をどう図っていくか、ここからまた彼等がどういう方向で進んでいくかも注目しつつ、2012年の初来日時以来となる再来日を心から望みたい。
テキスト:Yuji Kamada