【REVIEWS】Four Year Strong – Go Down In History 〜 待ちに待った圧倒的音圧とアグレッション 〜
Released: 7/23/2014 – ICE GRILL$ / Pure Noise
原点回帰とバンドの未来を繋ぐ、良い意味でアカデミックな再出発だ。Set Your Goalsと共にポップパンクにヘヴィなサウンドを取り込んだ、現在のPopcore/Easycoreの礎を築き上げたパイオニアが長い充電期間を経ていよいよ再始動となった。Midtownのメンバーが運営し、Valencia等を輩出したI Surrenderと契約しリリースされたデビュー作「Rise or Die Trying」が全米Billboard Heatseekers Chartにていきなり31位を記録。その後Fall Out BoyやParamore、Panic! At The Discoが所属するFueled By Ramenと契約し、ハードコアからポップスまで自身のルーツをカバーした「Explains It All」をリリース。そしてメジャーレーベルであるUniversal MotownとDecaydanceの共同リリースで2nd作「Enemy of The World」、3rd「In Some Way, Shape or Form」を立て続けに発表し確固たる支持を得てきた。こうして2012年まではかなりのスピード感で駆け抜けてきた彼等だが、2013年に入りメンバーの結婚やAlanのソロプロジェクトのスタートにより一時期解散したのではという噂が流れる程に活動速度は落ちてしまっていた。しかしメンバーから解散はしていない、というステートメントを発端にバンドは再始動開始。HandgunsやState Champsといった現在のポップパンク界を牽引するバンドから、最近Hit The Lightsも移籍したPure Noise Recordsと契約を果たし、約3年振りとなるニューマテリアルをリリースした。
今作のタイトルが発表された時点でオルタナティヴなロックサウンドに変化していた前作から原点回帰か?!と盛り上がっていたが、実際もプレイボタンを押した瞬間から凄まじい音圧にぶっ飛ばされる。それを象徴する、僕等が最も聴きたかったサウンドがイントロの頭数秒で集約された一曲目 “What’s in the Box?”。ヘヴィなギターサウンド、タイトなリズム、熱さと突き抜ける様なメロディーを持った “Living Proof of a Stubborn Youth” やタイトル曲 “Go Down in History” でもまた、バンドの存在を聴き手に強烈に印象付けてくる。その他にも過去最高にアグレッシヴさを前面にフィーチャーした “Tread Lightly”、彼等に影響を受けたであろう新世代バンド達を置き去りにする程にぶっちぎりのアグレッションを持ったサウンドを叩き付ける “So You’re Saying There’s a Chance…” と、とにかく振り切れた楽曲が収録。EPというフォーマット故の物足りなさを久々に感じてしまう程に痛快で爽快な傑作だ。
どんなにアグレッシヴでも、どんなにヘヴィでも、やはりDanとAlanのコーラスワークを絡めた陽性のメロディーラインは唯一無二。それこそがこのFour Year Strongというバンドの最大の魅力であると同時に、活動スパンなど意味をなさない程に支持を得続ける証なのだと改めて認識させられる。
テキスト:Yuji Kamada