【REVIEWS】Cancer Bats – Searching For Zero 〜 泥に塗れた酒池肉林地獄 〜
Released: 3/11/2015 – Grindhouse / Metal Blade
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と見出しを書いたものの、メンバーはほぼ酒を飲まないという(笑)カナダ産4人組。SUMMER SONIC 2009で初来日を果たした後、翌年の2010年にはBullet For My ValentineとBring Me The Horizon来日公演に参戦。2004年に結成されて以降リリースされている作品は全て国内盤化され、コアなファンだけでなくしっかりと若い世代も毎度取り込んできた彼等の5枚目となる最新作が到着した。プロデューサーにはSlipknotやKorn、At The Drive-In等を手掛けてきた史上最強のRoss Robinsonを迎えて制作。バンドの持つモダンな要素とオールドスクールな側面をそれぞれ振りきってサウンドメイクしている。
シンガロング必至のコーラスから一気にダーティーで彼等らしいサザンテイスト溢れたリフへと展開していく “Satellites”。今作から先行で公開されていた “Arsenic In The Year Of The Snake” でも、同じくダーティーな世界観ながらもより重戦車の様なパワフルさを叩きつける。その他にもサイケデリックかつストーナー感に痺れまくる “Beelzebub” や “Cursed With A Conscience”。ドローンのテイストすら持ち合わせる “Dusted”。こうしたミッドテンポな楽曲の合間を射抜くようにカオティックの危険因子を振り撒く “Devil’s Blood” や、昨年急逝したGwarのDave Brockieへ向けて作られたという超スラッシーな “All Hail” が収録。さらには超グランジーな “Kill Me Please”、サザンインフルエンスが大爆発する名曲 “Rust and Bone” と、国内盤に収録された二曲のボーナストラックもまた最高にイカれてて良い。放出しっぱなしのエナジーとドープな両面を見事に共存させており、敬愛するPanteraの後期を思わせるメタリックなのに厚みを持たせすぎないプロダクションがまた、ファンにはたまらないだろう。「いなたい」という表現はまさに彼等の為にある。
テキスト:Yuji Kamada