【FEATURE】2013年音楽シーンの変化 〜アーティスト、リスナー、シーンの関係性〜
2013年も多くのバンドが消えては現れ、まさに戦国時代の装いは来年以降も続くでしょう。音楽シーン全体の売上が落ちた落ちたと言われているけども、Live等の現場で様々な話を聞く限り、ただ単にそうなっている訳ではなさそう。そもそもインディーでリリースされ、大手CDショップを通さず海外から直接買っているようなパッケージCDやiTunesやamazonを使わずデジタル・ダウンロードされた楽曲は本当にきちんとカウントされているのか。同人音楽と括られる音楽は、毎年発表されているCD総売上にカウントされているのか。
「Liveの動員がCDのセールスとは対極に業界全体では伸びている。」という話は多くの方が何かしらのメディアでも目にした事があるでしょう。しかしその一方で「エモやパンクだけでなく洋楽全体でみると大阪や名古屋の動員が厳しい。」なんて話も聞こえてくる。二つの話には矛盾があるのは、これは今までどんなに売れていてもLiveハウスでしかやらなかったアーティスト達が、どんどんアリーナクラスの会場でやる様になった事が大きいという。最近Liveハウスが経営困難で廃業という話も、もしかしたらこういった状況が少なからず絡んでいるのかもしれない。
そう、メディアが発表しているデータや統計は確かに一部を切り取ったものとすれば正しいデータかもしれないが、その様な一片を切り取っただけでは最早シーン全体を図る事等出来なくなっている程に音楽シーンは横に肥大化し、アーティストの数もリスナーの聴き方や触れ方も莫大な数になっている。よく「ミリオンヒットが出なくなった」とか「過去の年間ランキングと比較すると今年は…」なんていう記事を目にするが、そんなのは至極当然。アーティストもリスナーも多様化して一人一人が昔みたいに同じアーティストを聴く事が無くなっただけ。無論CDの生産数や販売数というのは偽りない数字でしょう。確かに全盛時に比べれば音楽に触れている人は減ったのかもしれないけど、まだ音楽を聴いている人は凄まじい人数いる、間違いなく。
ただし、音楽を作るにはお金がいる。今時バンドマンなんて元々金持ちじゃなきゃ出来ないよ、なんて意見もある位。だから大好きなアーティストはサポートして欲しい。こういう音楽そのものと商売のニオイを買い手に与える言い回しを繋げるのは個人的に好きではないけど、事実だから仕方ない。とあるバンドが解散した→悲しむ声が上がる。ではその悲しんだ人達は各々出来る限り全力でそのアーティストをサポートしたのか。自分自身、とある海外のバンドが好きで、そのバンドが解散した時にそういった事を自問自答して後悔した覚えがあります。もっとサポート出来たんじゃないか、って。
強制はする話ではないし、もっと自由であって良い。熱くなる話でもない。書いておいて恐縮だけど、もっと真っ直ぐの関係であるにこした事はないとも思っている。そしてより熱を持って応援して欲しいな、と個人的には思う。そういう業界の変化があるからこそ、賛同するしないは置いておいて知っておいては欲しい。アーティストが増え、代わりがいくらでもいる時代になったという意見もあるけど、そんな非建設的な意見を持ってアーティストが音を鳴らし、リスナーが音に触れていたら誰もが望まない状況へと進むはず。代わりがいくらでもいる時代ならば、だからこそ一人一人のパワーが重要な意味を持ってくるだろな、そう感じる2013年だったな。2014年も2015年もその先も…これから刻々と変化して行くであろう音楽業界の中で、どうなっていくか。いちリスナーとしても非常に興味深いけど、良い音楽はずっと届けられたら良いな、と。
テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ