【REVIEWS】Rookie Of The Year – Canova Presents The Goodnight Moon pt.Ⅱ 〜 約8年の歳月を経て産まれた第二章 〜
Released: 1/15/2014 – CARS & CALORIES
元々ハードコア/エモ周りではバンドとは別軸(もしくはその後)にソロ・プロジェクトをやる流れはあったが、This Day ForwardのメンバーがやったSuperstitions Of The Sky、Futher Seems Foreverから離脱したChris Carrabbaが始めたDashboard Confessional、そして伝説のバンドFarewell To Fashion解散後ヴォーカリストRyan Dunsonのソロ・プロジェクトとして始まった、このRookie Of The Yearは中でも別格レベルに素晴らしかった。全部フロリダ界隈のアーティストだという事は偶然の産物か(笑)。
2005年に1st作「Having To Let Go」をリリース後、メジャー傘下のレーベルOne Elevenと契約し、CopelandやMaeが築き上げWaking Ashlandが大きく広げた【美エモ】シーン、そしてNever Shout NeverやSecondhand Serenade辺りを総称するSSW(シンガーソングライター)ブームの架け橋に。1st時こそFarewell To Fashionを踏襲するエモーションを持ったアコースティック・サウンドだったものの、翌年の2nd作「The Goodnight Moon」ではさらにロマンチックに美しく変化し、喝采を浴びた。その後も国内盤化され、清涼感溢れるバンドサウンドを全面に出した「Sweet Attention」やエレクトロを導入した「The Most Beautiful」等、新たな要素を加えながらも、シンプルに耽美でメロディアスな作品を発表し続けて来た彼。そんな彼がここにきて、その名盤2nd「The Goodnight Moon」の続編を発表した。
続編というコンセプトだけに、ガラス細工の様に零れ落ちるオープニングトラック “Everything” や “Raleigh”、Jimmy Eat World直系の “Save Me” 等内省的なトラックが多いのかと思えば、先行シングル “Love/Me/Crazy”、“Colors Of Summer” 等Boys Like GirlsやMove Out Westを想起させるポップなバンドサウンドも収録。“Leave It All Behind” のコーラスワークからはUKからの影響も見え隠れすると思っていたら、国内盤には話題のUK産The 1975 “The City” のカバーも収録。ボーナストラックは置いといて、これらだけでもお分かりの通り単に2ndを踏襲した作品ではなく、しっかりとこれまでのサウンドを総括した楽曲が交互に顔を出す。コンセプト掲げておいて踏襲していないのかという意見もありそうだが、それはあくまでサウンドの肉付けの部分。聴き込むにつれ、ここ数作とは明らかに次元の違うメロディーが詰まった『あの頃』のメロディーだった事に気付かされる。【美エモ】と括られていたバンドが少なくなって来た今だからこそより輝く、素晴らしきメロディーメーカーっぷり。
テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ