【REVIEWS】You Blew It – Keep Doing What You’re Doing 〜錯綜する中で響く誠のエモーションとはなんたるか〜
Released: 1/14/2014 – Topshelf
メジャーとインディーの垣根も年々消滅しつつある昨今、インディペンデントレーベルや自主制作でリリースされた作品がチャート上位にランクインする事も、決して珍しい事でもなくなってきた。そしてそれを煽動する形でシーン自体も刻々と変化を続け、特にポップパンクとエモ/インディーロックの歩み寄りはこれまで何度も書いてきた通り顕著になってきた。TransitやGrown Ups、Castevet、Prawn、The World Is a Beautiful Place & I Am No Longer Afraid to Die等、それぞれの畑はパンクやハードコア出身である事は伺えつつも、それぞれ独自に派生し進化している。
90’sエモ・リヴァイバル、ポストロック、激情、オルタナティヴ、を奏でるバンドを数多く輩出するTopshelfは、当時のDeep Elmほどの影のあるレーベルカラーではないにせよ、DIYで非商業的な側面を切り取れば重なる部分も多い。よって爆発的に売れているアーティストを擁する事はないながら、常にその先見性と懐古性を融合したサウンドを奏でるアーティストが多く、コアな層を中心に圧倒的な支持を得続ける。まさにインディーレーベルの理想型である。ちなみに日本でも大人気のtoeのアナログ等もリリースしているレーベルだ。
そんなTopshelfから2012年に1stフル作「Grow Up, Dude」をリリースしたボストン出身の最新作。今作も同レーベルからのリリースとなる。前作と同じくやや男臭いVocalがエモーショナルな余韻を残しつつも、敢えてのチープさ故か初期エモ感の出ていたプロダクションが、透明感を増した事によってポップパンクとポストロックの上をエモーションが練り歩く様な印象を持つ作品へと変貌した。明らかにバンド史上最高のアンセムとなった “Match & Tinder” やメロディックハードコアとエモを掛け合わしたかの様な涙腺崩壊系の “Rock Springs” といったストレートに熱い楽曲もあるが、“Strong Island” や “You & Me & Me” でのトーンを落とし気味に唄われる楽曲に、あの頃感じたどうしようもない感じに記憶を重ね、思わず膝抱えたくなる。心の琴腺に触れるスケールを弾いたもん勝ちなこのシーンのアルペジオも、過剰になる事なく、あくまで華を添える程度で心地良い。いや、そのどれもがリスナーを想定して鳴らされたものではなく、必然である音なのだろう。聴けば分かるが、本当に純粋で愚直なまでに清い。『真』ではなく『誠』のエモーションが詰まった一枚。
テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ
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