【REVIEWS】Periphery – Clear 〜メタルの未来はその手の中に〜

Released: 1/22/2014 – TRIPLE VISION / Sumerian
現在のモダン・メタル界隈で最も独創的で最先端のサウンドは、間違いなく彼等であろう。Meshuggah以降、Progressive Metalをさらにエクストリームにした【Djent】という総称で括られる多くのバンドが個々に同時の進化を遂げてきた訳だが、シーン全体で海面から上に出たバンドは数える程だったのも事実。その中でも異彩を放ち、圧倒的なポテンシャルと何よりもずば抜けたセンスを武器にシーンへ現れた彼等。メタルファンのみならず、多くのエクストリーム・ミュージック・リスナーの度肝を抜いた圧巻のセルフタイトルのデビュー作以降、作品を出す度に完全独走状態だ。そんな彼等の初来日が【Scream Out Fes. 2014】で遂に決定。音源で聴く事の出来る化け物レベルの演奏が生で拝めるかと思うと相当に高ぶるが、その絶好のタイミングで新epが発表となる。メンバー6人が1曲ずつ手掛けた楽曲が収録されているというコンセプチュアルな作品だが、これが結果、バンドの振り幅をさらに広げる事に成功した。
物悲しく儚げなピアノの音色から幕を開け、途中バロック調に転調するオープニング・トラック “Overture”。タイトルのセンスも含め、バンド史上最も爽やかな印象を与えながらも、間違いなくPeriphery以外の何者でもないサウンドに仕上げた “The Summer Jam”。退廃的な旋律からタイトなドラミングと珍しくベーシックに疾走するパートがあると思いきや、デジタライズされたブレイクダウンや彼等らしいアンビエントなエフェクトが顔を覗かせる “Feed The Ground”。同じく浮遊感あるエフェクトを使用しながら、より切迫感を持ち、身震いする程のテクニックが存分に聴けるインストナンバー “Zero”。中盤を過ぎた辺りのギター、ベース、エレクトロがユニゾンしていく様はDream Theaterへのオマージュばり。続く “The Parade of Ashes” では、Linkin Parkも真っ青な硬質で近未来なエフェクトとダンサブルなパート。そして一曲目とは全く印象の異なるピアノのメロディーラインの上を舞う、オリエンタルなギターソロが印象的。“Zero”と同じくインスト楽曲ながら全編アグレションが支配し、【Djent】の王道ともいえるプログレッシヴさを前面に出した “Extraneous”。ラストは叙情感溢れるリフとスラッシーなパートから、スケール感あるサビへ展開する “Pale Aura”。フロントマンSpencerのヴォーカリストしてのレベルが、さらに上がっている事が一発で分かる楽曲で締め括られる。
無論、テクニカルさやブルータルな面、スピード、その他様々な異なる切り口で聴けば他にも素晴らしいバンドは沢山いる。だが、彼等の持つアンビエント要素と近未来感をTech Metalへ融合するセンスが改めてずば抜けている事は、この僅か7曲を聴いても一目瞭然ならぬ一聴瞭然だ。
日本ではCrossfaith、UKからはBring Me The Horizon、そしてUSはこのPeriphery。この素晴らしいバンド達が同じ時代に、それぞれ思うエクストリーム・ミュージックの未来の扉をぶち破っていくのを目の当たりに出来る事を、本当に喜ばしく思う。
「Clear」全曲ストリーミングはこちら
テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ

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