【REVIEWS】Eskimo Callboy – We Are the Mess 〜 ユーロ最強のエレクトロ/トランス・コア 〜
Release: 1/29/2014 – Warner Music Japan
遂にメジャーデビューである。早耳リスナーの間で話題沸騰となったデビューepの後にリリースされた1stフル「Bury Me In Vegas」も国内盤化され、Fear, and Loathing in Las Vegasを筆頭に俄然盛り上がりをみせてきた日本国内のシーンとがっちりリンク。大盛況だった初来日に続き、今作リリースと同タイミングでも再来日という事で今後もさらに多くのリスナーに訴求していくであろうドイツ産の最新作。相変わらずドイツを含めたユーロ圏はこういったレイヴ感のあるサウンドを盛り込んだバンドが注目されているが、Enter Shikari以降でのムーヴメントの立役者は紛れもなく彼等である。
レイヴ・コア、トランス・コア、エレクトロ・コア、ピコリーモ…etc、様々なジャンルの呼称がこれまで作られ、そういったバンドの音を表す時に使われてきた。そしてそういったバンド達がクラブ・ミュージックの最先端サウンドを取り入れるのはもうお決まりのパターンとすらなってきた訳だが、その中でも良い意味でのチャラさやパーティー感を武器にしてきた彼等。今作ではダブステップは勿論、EDM等の要素もガンガン取り入れているのも流石なのだが、全体的には想像以上にシリアスなラインを全面に出してきたな、という印象。モロにCobra Starship調のお馬鹿コーラスとバース、そして振り切れたサザンテイストが炸裂した “Party at the Horror House” は、彼等らしさが全面に出たアンセム。ブレイクダウンをデジタライズ化した “Final Dance” や “Voodoo Circus”。一部ダブステップっぽいエフェクトを除けば、Asking Alexandria辺りのメタルコア勢ともリンクする “Ghosts of the Night”、EDMサウンドにユーロ圏のバンドらしい切ないメロディーを合わせた “Broadway’s Gonna Kill Us”。前作と比較すればそこまで露骨ではないが、シーンに現れた頃に比べると馬鹿騒ぎ感だけではなく、だいぶ大人になったアーティストとして成長したサウンドになっている。作品自体のクオリティーも高く、前作路線の正当進化した要素も沢山ある。ただこれをアメリカナイズされてしまったという聴き方も出来るし、I See Stars等がいる今、彼等がそこを担う必要もないとも思う。次作以降はこのアーティストとしての進化をさらに全面に出しつつも、このバンドの『らしさ』をガンガンに出して良いと思う。
テキスト: 鎌田 裕司 a.k.a. わいけ